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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
2026年の年明け、アメリカの住宅市場には久しぶりに楽観的な空気が漂っていました。
30年固定のモーゲージ金利は2月末に一時5.99%まで下がり、「いよいよ6%を切るか」という期待感が。
購入希望者も少しずつ動き始め、Spring Market(春の売買シーズン)への期待は例年以上に高まっていたように思います。
けれども、その空気は一変しました。
きっかけは、中東です。
アメリカとイランの軍事衝突が始まってから、住宅市場を取り巻く数字が急速に悪化しています
。なぜ、遠い中東の出来事がアメリカの住宅ローン金利を直撃するのか。
今日はその「つながり」を整理してみたいと思います。
まず押さえておきたいのは、モーゲージ金利は米国10年国債(10-Year Treasury)の利回りに連動しているという点です。
戦争が始まると何が起きるか。
イランはホルムズ海峡の実質的な封鎖に動きました。
この海峡は世界の石油供給の約20%が通過する要衝であり、封鎖の影響でBrent Crude(北海ブレント原油)は1バレル119ドルを突破しています。
原油価格の急騰は、当然ながらインフレ懸念を呼び起こします。
そしてインフレ懸念が高まると、債券市場では国債の利回りが上昇する。
国債利回りが上がれば、それに連動するモーゲージ金利も上がる。
この連鎖が、今まさに起きているわけです。
数字で見てみましょう。
軍事行動が始まる前日、30年固定モーゲージの平均金利は5.99%でした。
それが3月下旬には6.5%前後にまで跳ね上がっています。
わずか数週間で0.5ポイント以上の上昇です。
「0.5ポイントくらい」と思うかもしれません。
けれども、住宅ローンの世界では0.5ポイントの差は決して小さくありません。
たとえば40万ドルの物件を30年ローンで購入する場合、金利が5.99%から6.5%に上がると、月々の支払いは約120ドル増える計算になります。
年間にすれば約1,440ドル、30年間の総支払額では数万ドルの差になる。
この金利上昇は、住宅市場の数字にすぐさま反映されています。
MBA(Mortgage Bankers Association・全米モーゲージ銀行協会)のデータによれば、Refinance(借り換え)の申請件数はこの1カ月で40%以上も減少しました。
Purchase Application(購入ローンの申請)も前週比で5%減少しており、全体のMortgage Application Volume(住宅ローン申請量)は10.5%の落ち込みを見せています。
「ようやく金利が下がってきた」
と動き始めた人々が、再び足を止めてしまった格好です。
もうひとつ、見逃せない変化があります。
それはFRB(Federal Reserve Board・連邦準備制度理事会)の利下げ期待が大きく後退したことです。
今年の1月時点では、市場は2026年中に2回から3回の利下げを織り込んでいました。
けれども現在、CME FedWatch(金利先物市場の指標)では、年内据え置きの確率が74%にまで上昇しています。
つまり、「金利が下がるのを待って買おう」と考えていた人にとって、その「待ち」の期間がさらに延びる可能性が高くなったということです。
不動産投資の観点から言えば、こうした地政学リスクは「予測できないが、備えることはできる」類のものです。
実際、戦争や国際紛争が住宅市場に影響を与えた例は過去にもあります。
2001年の同時多発テロの後、住宅市場は一時的に凍りつきましたが、FRBの大幅な利下げもあって比較的早く回復しました。
2022年のロシア・ウクライナ紛争の際も、エネルギー価格の高騰を通じてインフレが加速し、その結果としてモーゲージ金利が急上昇した経緯があります。
今回の状況が過去と異なるのは、すでに金利が高止まりしている状態で、さらなる上昇圧力がかかっているという点です。
もともと6%前後で「高い」と感じていた人にとって、6.5%への上昇は心理的にも大きなハードルになっています。
では、こうした局面でどう考えればよいのか。
ひとつ言えるのは、「金利のタイミングを完璧に読むことは誰にもできない」ということです。
年初に6%を切ったとき、それが底だったとは誰も断言できなかった。
そして今の6.5%が天井かどうかも、やはり誰にもわかりません。
大切なのは、金利の数字そのものよりも、その物件が自分の投資基準に合っているかどうかです。
キャッシュフローが回るのか、長期的にそのエリアの需要は見込めるのか。
金利は後からRefinance(借り換え)で調整できますが、物件のロケーションは変えられません。
「Marry the house, date the rate(物件とは結婚し、金利とはデートせよ)」
というアメリカの不動産格言があります。
金利は一時的なパートナーであり、いずれ条件のよいときに乗り換えればよい。
けれども物件選びは長い付き合いになるのだから、慎重に選ぶべきだ、という意味です。
地政学リスクが市場を揺らすとき、目の前の数字に振り回されず、自分なりの判断軸を持っておくこと。
それが結局のところ、いちばんの「備え」になるように思います。
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