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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカの一戸建て賃貸市場に関する最新のデータが発表されました。
不動産データ会社ATTOM社の2026年版レポートです。
結論から言えば、全米341郡のうち54.8%にあたる187郡で、賃貸利回り(Gross Rental Yield)が前年より低下しています。
「利回りが下がっている」と聞くと不安になるかもしれません。
けれどもこの数字の背景を理解すると、むしろ「どこに目を向けるべきか」が見えてきます。
なぜ利回りが圧縮されているのか
最大の要因は、住宅価格の上昇です。
全米の中古住宅の年間中央値は過去最高の36万ドルを記録しました。
物件の取得コストが上がれば、家賃が多少上昇しても利回りの計算上は分母が大きくなるわけですから、数字は縮みます。
実際、家賃の伸びは鈍化しています。
一戸建ての家賃は前年比で1.3%の上昇にとどまり、これは長期平均の3.4%を大きく下回る水準です。
2025年通年でも2.9%の上昇と、2015年以来もっとも緩やかなペースでした。
つまり「価格は上がるが、家賃は追いつかない」という構図が広がっているのです。
利回りが大きく下がったエリア
人口100万人以上の大規模郡で見ると、カリフォルニア州リバーサイド郡(Riverside County)が8.7%から6.8%へ、ジョージア州フルトン郡(Fulton County、アトランタの中心)が5.2%から4.7%へと下落しています。
フルトン郡の4.7%という数字は、日本の不動産投資に慣れた目で見ればまだ悪くないように映るかもしれません。
けれどもアメリカでは固定資産税(Property Tax)、保険料(Insurance)、管理費(Management Fee)といった経費が重く、グロス利回りが5%を切ると実質的な手残りはかなり薄くなります。
一方で、高い利回りを維持している郡もあります。
イリノイ州セントクレア郡(Saint Clair County)が14.5%、アラバマ州モービル郡(Mobile County)が13.6%、イリノイ州ピオリア郡(Peoria County)が12.5%。
そしてオハイオ州クヤホガ郡(Cuyahoga County、クリーブランド)は人口100万人以上の郡でありながら9.5%という高いグロス利回りを維持しています。
これらの地域に共通しているのは、住宅価格が全米平均より大幅に低いという点です。取得コストが抑えられるからこそ、利回りの計算が成立します。
「それなら安い地域を狙えばいいのか」と考えたくなるところですが、話はそう単純ではありません。
住宅価格が低い地域には、人口減少や雇用基盤の脆弱さといったリスクが潜んでいることも多い。
利回りの数字だけを追うと、見えない落とし穴にはまることがあります。
利回りの「質」を見分ける
大切なのは、利回りの「水準」ではなく「質」です。
たとえば人口が増え、雇用が安定し、賃貸需要が構造的に底堅いエリアであれば、グロス利回りが7〜8%台でも十分に健全な投資といえます。
逆に、見かけ上12%あっても空室リスクや将来の資産価値下落を織り込めば、実質リターンはずっと低いかもしれません。
ATTOM社のレポートでは、全米の55%の郡で家賃の伸びが住宅価格の伸びを上回っているとも報告されています。
これは家賃と価格のバランスが徐々に修正されつつあることを意味しており、利回りの底打ちが近いエリアも出てくる可能性があります。
アメリカの一戸建て賃貸市場は、ご多分に漏れず転換期にあります。
「どこでも買えば儲かる」時代は終わり、エリア選定と物件選定の精度がそのまま投資成績に直結する局面に入っています。
かくして、数字の裏にある「その街の物語」を読む力が、これからの投資判断を分けていくように思うのです。
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