投資案件をメールマガジンで無料購読。
下記よりメールアドレスをご登録ください。
こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
今日はマサチューセッツ州が新たに施行する、不動産取引における画期的なルールについて触れておきたいと思います。
この新ルールとは
「ホームインスペクションの権利を放棄することを事前に申し出ることを禁止する」
というものです。
マサチューセッツ州ではボストンなどの人気エリアを中心に、複数のオファーが競合するケースが非常に多くなっています。
こうした状況の中で、多くの買い手が「ホームインスペクション(住宅検査)の権利」を放棄し、少しでも魅力的な買主にオファーするという手法が一般化していました。
すなわち、通常は
1.契約に入る
2.Inspection Contingency(ここでいうホームインスペクション)で専門家を雇って物件調査
3.結果をもって、必要に応じて売主と交渉
という流れになりますが、買主が
「私は契約期間中のホームインスペクションは必要としません(どんな状態であっても文句なく、クロージングまで進めます)」
と、事前にホームインスペクションの権利を放棄することで、売主にとっては
「これは楽な買主だ。確実にクロージングに進める」
と、とりわけ購入希望者の多い中では売主に選んでもらう可能性を高めることができたのです。
けれどもこの手法には大きなリスクが伴います。
例えば住宅検査を省略した結果、購入後すぐに莫大な修繕費が必要になる問題が発覚するケースも少なくありません。
実際にある夫婦は、マサチューセッツ州で約100万ドルの家を購入した直後に、基礎部分の重大な欠陥(ピロタイトという鉱物が原因のコンクリート劣化)が判明し、その修理費が約30万ドルにも上るという悲劇を経験しました。
こうした事例は珍しいものではありません。
別のケースでも見た目は非常に美しくリフォームされた家を購入した若いカップルが、実は配線やシロアリの被害などの重大な隠れた問題に直面したことも。
このような購入後のトラブルを回避するため、マサチューセッツ州は2025年10月15日から、「買い手がホームインスペクションを放棄する意図を事前に示すこと」を禁止する新たなルールを施行します。
このルールは、売主やそのエージェントがインスペクションの放棄を前提としたオファーを受け入れることを禁止するものです。
もちろん買い手自身がインスペクションを行わないことを決めるのは自由ですが、その決定を売主側が推奨したり条件付けたりすることはできません。
この規制を推進する協会の会長は
「ホームインスペクションはもともと当たり前だった。最近15年で、権利の放棄が横行するようになっただけだ。元の健全な市場に戻すだけ」
と強調します。
その一方で、不動産業界の中には反対意見もあります。
「このルールはエージェントが買い手の希望を売主に伝えることを制限してしまう。交渉の幅を狭めてしまう」
との主張。
確かに、交渉力の一部を失うという見方も理解できます。
けれどもそれ以上に重要なのは、
「買い手が安全で透明性の高い取引を行う権利を守ること」
なのです。
この新たな規制は買い手だけでなく、売り手や不動産業界全体の透明性と信頼性を向上させることに寄与するのではないでしょうか。
かくして、マサチューセッツ州の新ルールは今後のアメリカの不動産取引における消費者保護の新たな基準となるかもしれません。
投資案件をメールマガジンで無料購読。
下記よりメールアドレスをご登録ください。