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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
今日はワシントン州で施行された新しい「家賃上限法(Rent Cap)」について取り上げます。
この法律はすでに初めての執行例が出ており、250世帯以上の住民を保護した一方、8人の大家に合計16,000ドルの罰金を科しました。
その影響は州境を越えて、今後全米に波及する可能性があります。
今回のワシントン州の新しいルールは明確です。
製造住宅(モバイルホーム)に対しては年間5%まで。
その他の賃貸は「7%+インフレ率」もしくは「10%」のいずれか低い方。
さらに、入居1年目には家賃を上げてはいけない、という制限も設けられました。
これに違反すれば、1件につき最大7,500ドルの罰金で、違法に集めた家賃も返還義務があります。
今回のケースでは法律施行前に値上げ通知を出していた大家が施行後も強行しようとしたため、住民の支払済み分は返金され、さらに大家には2,000ドルずつのペナルティが課されました。
この新法、誰が得をして、誰が負担するのでしょうか。
まず、製造住宅に住むシニア世代や低所得層は明らかに恩恵を受けます。
例えばバンクーバー郊外の55歳以上コミュニティでは、地代が2017年の610ドルから2025年には1,300ドルに倍増しました。
自宅を所有していても土地を借りている以上、毎年の値上げに怯える生活。
「薬代を削って家賃を払う」「暖房を60度まで下げて節約する」という声も現実です。
その一方で、大家側は「維持管理費が削られる」「新規建設が減る」「市場から撤退するオーナーが増える」と警鐘を鳴らします。
ニューヨークの調査では、家賃規制のある物件はそうでない物件より維持管理不良の割合が高いというデータも出ています。
そうすると、この政策は本当に有効なのでしょうか。
支持者は「急激な値上げを抑制し、安定を与える第一歩」と評価しており、特にワシントン州は全米で3番目に賃貸が高い州で平均家賃は1,800ドル近くです。
州の中央値所得(47,149ドル)では、家賃の目安とされる「収入の30%」を守ろうとすると1,200ドルが限界です。
つまり、「すでに平均家賃と600ドルの乖離がある現実を放置できない」、というのが立法側の立場です。
けれども反対派は「長期的には供給減少を招き、結局家賃を押し上げる」と主張しています。
特に共和党やオーナー団体は「住宅市場にとって壊滅的」とまで批判し、法的な挑戦も検討中です。
このことについて、私たち投資家としてはどう捉えるべきでしょうか。
まず、ワシントン州やカリフォルニア州、オレゴン州のように規制色が強まる地域では「キャッシュフロー狙い」の投資は厳しくなる可能性が高いです。
規制が強化されると予想される市場では、賃料上昇による収益増は期待しにくくなり、リターンは頭打ち。
その一方で安定志向のテナントが集まりやすく、入居率の安定や長期保有戦略には向くとも言えます。
また、今後他州でも同様の規制が広がるかどうかは注目です。
フロリダなど、モバイルホームパークの退去率が高い州では住民保護の声が強まっており、ワシントン州モデルが採用される可能性は十分にあります。
。。。
こうして俯瞰すると、ワシントン州の新しい家賃上限法はテナントには安定を、大家には制約を与える「二面性」を持っています。
短期的には住民保護が強まり、政治的には他州への波及も見込まれます。
けれども長期的には供給不足や投資縮小を招くリスクがあり、投資家としては規制強化の動きを常にモニターする必要があると思うのです。
かくして、ワシントン州の事例は「今後の不動産投資の方向性を占う試金石」とも言えるのではないでしょうか。
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