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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
カリフォルニアの住宅保険市場にまた一つ大きな動きがありました。
軍人とその家族を対象に保険を提供するUSAA(United Services Automobile Association)が、来年から平均7.3%の住宅保険料の引き上げを申請したのです。
この改定が承認されれば、カリフォルニア州内で約35万件の契約を抱えるUSAAの加入者は、2026年4月30日以降の契約更新時から新しい保険料が適用されます。
現在、USAAの住宅保険の平均保険料は年間2,428ドル。
仮に今回の申請がそのまま認められると平均で178ドルの値上げとなり、年間保険料は2,606ドル前後に上昇する計算です。
けれども、値上げ率は地域によって大きく異なります。
たとえばマリブ地区では平均732ドルの値上げで、一部の顧客では年間4,800ドルを超える増額も見込まれています。
またオリンダ地区では平均384ドルの上昇、一部の顧客は約1,700ドルの値上げになると予想されます。
USAAはカリフォルニアで第7位の住宅保険会社であり、市場シェアはおよそ5.5%。
この申請が承認されれば、2024年に続く大幅な値上げとなるのです。
実際、USAAの子会社4社はいずれもここ数年で大幅な引き上げを実施してきました。
2024年初頭には最も小規模なGarrison Property and Casualty Insuranceが住宅保険を26.8%、コンドミニアム保険を25.4%値上げ。
その後、USAA Casualty Insuranceが住宅で25%、コンドで40%の引き上げを実施しました。
さらに本体であるUSAAも住宅16%、コンド31%の引き上げを行っています。
またUSAA General Indemnityも2024年11月に、住宅で30%、コンドで60%の値上げを実施済みです。
これほど頻繁に保険料が上がる背景には、カリフォルニア特有のリスクがあります。
住宅価格の上昇、建築・修理コストの高騰、そして山火事をはじめとする自然災害の激化です。
今回の申請は、カリフォルニア保険局が導入した新しい制度を活用したものでもあります。
この制度では、保険会社が「キャタストロフィーモデル」と呼ばれる将来予測型の災害リスクモデルを用いて保険料を算出できるようになりました。
この仕組みにより、より現実的なリスク評価が可能になる一方で、結果的に保険料の上昇を招くことも予想されています。
さらに、この制度では再保険(保険会社が加入する保険)のコストを加入者に一部転嫁できるようになりました。
ただしこの恩恵を受ける代わりに、保険会社は山火事リスクの高い地域で一定数の新規契約を引き受ける義務を課されます。
けれどもUSAAの4つの子会社はいずれもすでに規定数を上回る住宅を引き受けているため、新規契約の拡大義務は発生しない手はずです。
中でもUSAA CasualtyとGarrisonの2社は、現在新規契約そのものを受け付けていません。
またUSAAとUSAA Generalの2社についても、山火事リスクスコアが32段階中「2以下」の住宅のみを対象に契約を受け付けています。
要するに、実質的にはリスクの高い地域での新規引き受けはほとんど行われていないわけです。
その一方でこれら4社はすべて、現行の山火事リスク地域での契約を維持することが義務付けられています。
大量の契約を一度に更新拒否する予定はないと明記されており、現加入者の保険継続は基本的に保証されます。
。。。
こうして俯瞰すると、USAAの動きは単なる値上げ申請ではなく、カリフォルニアの保険制度全体が新しい局面を迎えていることを示しているかのようです。
保険会社はリスク評価をより現実的に行えるようになったものの、その分コストは顧客に転嫁される傾向にあります。
まさに、保険加入者にとっては「選択の時代」が到来しています。
特に山火事リスクの高い地域に住宅を持つ方にとって、今回のUSAAの申請は、今後の市場動向を占う重要な指標となりそうです。
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