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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
トランプ大統領が提案した「50年ローン」は、住宅価格が高騰し続けるアメリカで毎月の支払いを下げる新しい打ち手として注目されています。
けれどもこの政策はメリットとリスクが混在しており、不動産投資家としては冷静に読み解く必要がありそうです。
今日は、その背景と実際のインパクトを、投資家視点で深掘りしていきます。
トランプ大統領はSNS上で「50年ローン」を示唆する画像を投稿し、続けてFHFA(住宅金融庁)のビル・プルテ長官が「本当に進めている」と明言しました。
けれども詳細はまだホワイトハウスの発表ページにも掲載されておらず、現時点では予告的なアナウンスにとどまります。
とはいえ、就任直後から住宅価格の緊急対策を掲げ、パウエル議長に金利引き下げを迫るなど、これまでの動きからも住宅価格対策に強いこだわりがあることは確かです。
今回の提案のポイントは、ローン期間を伸ばして月々の返済額を抑えるというもの。
たとえば金利6.575%、20%ダウンの条件だと、以下のように支払いが下がります。
$300,000の住宅
30年ローン:1,529ドル
40年ローン:1,418ドル
50年ローン:1,366ドル
$500,000の住宅
30年ローン:2,548ドル
40年ローン:2,363ドル
50年ローン:2,277ドル
確かに数字で見れば支払い負担は軽くなります。
その一方、40年から50年への変化はほんの数十ドルしか変わらず、効果が急に薄くなります。
つまり、期間を伸ばしたからといって劇的にラクになるわけではありません。
投資家にとってさらに重大なのは、エクイティ(元本部分)の増え方が遅くなるという点です。
ローン期間が長くなれば長くなるほど、序盤は利息ばかり払い続ける時間が続きます。
不動産投資の最大の魅力は、「返済が資産になる」という点。
ところが50年ローンでは、このスピードが著しく遅くなります。
長期で保有するなら構いませんが、10年・15年のタイミングで売却する投資家にとっては、エクイティが薄い状態が続くのは明らかなデメリット。
キャピタルゲインを狙う投資家には相性が悪いローンになります。
さらに決定的なのは、「今は合法ではない」という事実です。
リーマンショック後に制定されたドッド=フランク法では、Qualified Mortgage(QM)として認められるローン期間は30年までと定められています。
つまり、現状では40年・50年ローンは法律上NG。
これを実現するには、法律の改正が避けられません。
もし法律を変えずに導入するなら、Non-QMローンとして提供する形になりますが、これは金利が高くなりやすく、結局のところ支払いが安くならないという矛盾が発生します。
住宅価格の上昇により、多くの地域では中間層でも家を買いづらくなっています。
その状況を考えると、月々の支払いを少しでも下げられる50年ローンは、政治的には効果のあるメッセージです。
けれども不動産市場全体で見ると、需要をさらに刺激する政策になります。
住宅が足りない状態で需要だけ増やせば、価格はさらに上がる方向へ。
結果として、若い買い手層の負担はむしろ増える可能性すらあります。
投資家視点からまとめると、ポイントは以下の通りです。
- 50年ローンは支払いが少し下がるだけで、劇的な効果はない
- エクイティが貯まらないため、投資効率が低下する
- 現状の法律では違法で、制度変更が必要
- Non-QMとして出る場合は金利が上がり、結局支払いが高くなる
- 住宅価格をさらに押し上げる可能性がある
。。。
投資家が歓迎すべき政策かと言われると、答えは慎重です。
特に、長期で不動産をコントロールしたい投資家ほど「エクイティをどれくらいのスピードで積み上げられるか」は極めて重要な指標だからです。
もし50年ローンが本格的に登場した場合、それを利用するのは自宅購入者が中心になり、不動産投資家にはむしろ使わない方がいいローンになる可能性が高いと思います。
住宅市場の変動が激しい今だからこそ、目先の支払い額ではなく「資産としてどう育つか」を基準に判断することが大切です。
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