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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
トランプ政権下で話題となった「50年住宅ローン構想」が、事実上トーンダウンしたようです。
この50年ローン案が後退したこと自体は、住宅購入者にとって決して悪い話ではありません。
むしろ、アメリカの住宅問題がどこに本質的な難しさを抱えているのかが、はっきりと浮き彫りになった出来事だと思います。
もともとこの構想を主導していたのは、連邦住宅金融庁(FHFA)のトップであるビル・パルテ氏です。
FHFAはFannie MaeやFreddie Macを監督する、アメリカ住宅金融の中枢機関。
その責任者が
「50年という超長期ローンで、月々の支払いを軽くすれば住宅が買いやすくなる」
という発想を、トランプ大統領に直接持ち込んだわけです。
一見すると、月々の返済額が下がるのは魅力的に見えます。
けれどもローンの本質を理解している人ほど、この案に強烈な違和感を覚えました。
50年ローンでは、支払総利息がほぼ倍増する可能性があります。
さらに住宅の持分、つまりエクイティがほとんど増えない期間が、30年以上も続くことになるのです。
試算では、最初の37年間は支払いの大半が利息に消えるとされています。
これは「家を買う」というより、「家を一生借り続ける」感覚に近いものです。
保守派の論客からも
「死ぬまで銀行のものになる家はいらない」
という強い反発があり、これは極めて生活感覚に近い拒否反応だったように思います。
結果として、パルテ氏自身が「他に優先事項がある」と述べ、50年ローン構想は事実上棚上げされました。
そもそも、アメリカの住宅価格高騰の背景には供給不足、土地利用規制、建築コストの上昇、そして投資マネーの流入があります。
特に近年問題視されているのが、機関投資家による戸建て住宅の大量購入です。
トランプ大統領は現在、こうした大口投資家が一戸建て住宅を買い占めることを禁止する案に強い関心を示しており、このことは一般の自住目的の買い手にとっては、むしろ歓迎されやすい方向性です。
また、トランプ政権はFannie MaeとFreddie Macを通じて約2,000億ドル規模のモーゲージ債を買い入れ、金利を下支えする案も検討しています。
これは市場に直接働きかける、かなり実務的な政策です。
さらに「ポータブル・モーゲージ」という、新しい概念も浮上しています。
ポータブル・モーゲージは、今の低金利ローンを、引っ越し先の住宅にも引き継げる仕組みです。
もし実現すれば
「今の金利を失いたくないから引っ越せない」
という、いわゆるロックイン効果を和らげる可能性があります。
。。。
かくして、トランプ政権は、住宅価格と住宅金融の両面から30〜50の選択肢を検討しているとしています。
その中からどれを実行するかは大統領の政治判断に委ねられますが、少なくとも50年ローンのような「見た目だけ優しそうな案」が後退したことは、市場にとって健全なシグナルです。
住宅は、人生最大の買い物であり、同時に長期的な資産形成の基盤です。
短期的な支払い軽減だけを追い求めると、かえって将来の選択肢を狭めてしまいます。
かくして今回のニュースは、「住宅問題に魔法の解決策はない」という当たり前の事実を、改めて私たちに思い出させてくれたように思います。
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