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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
GP(ゼネラル・パートナー)が提示するプロフォルマ、つまり収支計画書は、投資家にとっての「航海図」のようなものです。
とはいえ、その地図が常に正確であるとは限りません。
中には投資家を惹きつけるために、現実とはかけ離れた「バラ色の景色」を描き込んでいるケースも存在します。
プロフォルマの数字を鵜呑みにすることは、霧の中でコンパスを持たずに森へ入るようなものです。
今日は、百戦錬磨のGPたちがどこに数字の「化粧」を施しやすいのか、その裏側を詳しくお話しします。
これは、あなたの資産を守るための強力な「濾過器」となるはずです。
1. 空室率(Vacancy Rate)に施された「目隠し」
まず最初にチェックすべきは、空室率の設定です。
多くのGPは、ここを「5%」という非常にクリーンな数字で設定したがります。
けれども現地のマーケットの実態が10%の空室を抱えている場合、その差の5%はそのまま収益の欠損につながります。
「このエリアは需要が強いから大丈夫です」という言葉を安易に信じてはいけません。
それは、嵐が来ているのに「うちは窓を閉めているから大丈夫」と言っているようなものです。
過去の実績(Actuals)と、彼らが描く未来の数字の間にどれほどの乖離があるか。
ここを確認することが、嘘を見抜くための第一の「防波堤」となります。
2. 運営費(Operating Expenses)の「ダイエット」
次に嘘が隠れやすいのが、物件を維持するためのコスト、つまり運営費です。
GPはネット運営収益(NOI)を高く見せるために、経費を過小評価する傾向があります。
特に、老朽化した物件(バリューアディ型)において、修繕費やメンテナンス費を低く見積もるのは常套手段です。
「管理を効率化すれば、経費率は35%まで下げられます」
といった甘い言葉には注意が必要です。
実際には、アメリカの古いアパートメントを運営すれば経費率が45%から50%に達することも珍しくありません。
経費を削って見せるのは、いわば「安全装置」を外して加速しているような状態です。
物件の築年数や過去の修支報告書と照らし合わせ、その数字に「実態」が伴っているかを厳しく精査してください。
3. 家賃上昇率(Rent Growth)という「根拠なき自信」
プロフォルマの中で、毎年「5%ずつ家賃が上がっていく」という前提が置かれていることはありませんか。
インフレ局面ではあり得る数字かもしれませんが、それを5年、10年と継続できる保証はどこにもありません。
家賃上昇を高く設定しすぎると、出口でのリターン(IRR)が劇的に跳ね上がって見えます。
しかし、これは「まだ見ぬ獲物」を担保に借金をしているような危うい論理です。
マーケットの平均上昇率が2〜3%であるならば、なぜその物件だけが5%も上げられるのか。
その具体的な裏付けがないのであれば、それは単なる希望的観測、あるいは数字のマジックに過ぎません。
4. 出口のキャップレート(Exit Cap Rate)という「手品」
これが最も恐ろしく、かつ見抜きにくいポイントです。
不動産の売却価格を決定する「キャップレート」を購入時と同じ、あるいはそれよりも低く(価格が高くなるように)設定しているGPがいます。
しかし、建物は古くなればリスクが高まり、キャップレートは上昇するのが市場の摂理です。
購入時が5%であれば、出口では少なくとも5.5%や6%でシミュレーションするのが保守的で誠実な姿勢です。
出口のキャップレートを「0.5%」操作するだけで、最終的な利益の数字は$1,000,000(約1.5億円)単位で変わってしまいます。
この数字の操作は、投資家の目をくらませる「目くらまし」として機能します。
市場が冷え込んだ時のことを想定し、保守的な出口戦略を描いているか。
ここを確認することが、あなたの投資における「最後の砦」となります。
5. 大規模修繕費(CapEx)の「隠し場所」
最後に、プロフォルマの「NOI(純運営収益)の下」に注目してください。
大規模修繕費(CapEx)は、通常NOIの計算には含まれません。
そのため、物件を魅力的に見せるために、本来経費として計上すべき項目をCapExに回し、見かけ上のNOIを高く見せる手法が使われることがあります。
屋根の修理、エアコンの交換、外壁の塗装。
これらをすべて「投資」として処理し、日々の「運営費」を軽く見せていないか。
ここを突き止めるには、プロフォルマだけでなく「資金使途計画書(Sources and Uses)」を読み解く力が必要です。
数字の表面を撫でるのではなく、その裏にある資金の流れを追うことが、真実への「羅針盤」になります。
まとめ
プロフォルマの数字を見極めるためのチェックポイントを整理します。
- 空室率の現実性: 市場平均と乖離した「理想の数字」になっていないか。
- 経費率の妥当性: 築年数に見合った維持費が計上されているか。
- 家賃上昇の根拠: 永久に右肩上がりという非現実的な前提はないか。
- 出口の保守性: キャップレートの上昇を織り込んだシミュレーションか。
- 修繕費の仕分け: 運営費をCapExに付け替えてNOIを水増ししていないか。
GPが提示する数字は、あくまで彼らの「意図」が含まれたものです。
大切なのは、その数字を自分の手で一度解体し、最悪のシナリオを当てはめてみることです。
美しく整えられた表の中に、どれだけの「余裕」が残されているのか。
そのマージン(余白)を見極めることこそが、投資家としての真の力です。
表面的なリターンに目を奪われず、数字の裏側にあるリスクを突き詰めるのが最短コースだと思います。
明日に続けます。
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