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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカ不動産を含む、オルタナティブ投資系についてお伝えしています。
プロフォルマ(収支計画書)に並ぶ数字の羅列を眺めているだけでは、その投資の真価は見えてきません。
それは車のダッシュボードに表示される計器の意味を知らずに、高速道路を運転するようなもの。
それぞれの数字が何を意味し、どのように計算されているのかを理解することで、初めてその物件の「健康状態」を正確に把握できるようになります。
今日は、プロフォルマを解剖し、その裏側に隠された真実をあぶり出すための「5つの重要計算式」を解説します。
これらは、投資家としてのあなたの判断を支える揺るぎない「基盤」となるはずです。
1. NOI(純運営収益):物件の純粋な稼ぐ力
まず、すべての計算の出発点となるのがNOI(Net Operating Income)です。
これは物件が1年間に生み出す総収入から、運営にかかるすべての経費を差し引いたものです。
ただし、ここには「ローンの返済(元利金)」や「所得税」は含まれません。

このNOIこそが、物件そのものが持つ「素のポテンシャル」を表しています。
運営費の中に、前回の記事でお話しした「隠れた修繕費」が正しく計上されているかを確認してください。
NOIが歪んでいると、この後に続くすべての指標がドミノ倒しのように崩れてしまいます。
これは、建物の基礎がしっかりしているかを測る「水準器」のような役割を果たします。
2. Cap Rate(キャップレート):市場の体温計
次に、物件の価格妥当性を判断するために不可欠なのがキャップレート(還元利回り)です。
これはローンを利用せず全額キャッシュで購入した場合の、1年間の利回りを意味します。

キャップレートは、そのエリアのリスクとリターンのバランスを示す「市場の体温計」です。
周辺の類似物件が5%で取引されているのに、検討中の物件だけが7%であれば、そこには何らかの「リスク(影)」が隠れている可能性があります。
逆にキャップレートが低すぎる場合は、バブル的な価格設定になっているかもしれません。
この数字を客観的に見ることで、感情に流されない冷静な投資判断が可能になります。
3. Cash on Cash Return(現金配当利回り):手元の現金の増え方
投資家にとって最も直感的に重要なのが、このCash on Cash(CoC)です。
実際に投資した「手元資金(ダウンペイメントや諸経費)」に対して、1年間でいくらのキャッシュフローが手元に残るのかを計算します。

この指標は、あなたのポケットに実際にいくらお金が入ってくるかを示す「給与明細」のようなものです。
NOIからローンの返済を引いた後の、本当の「余り」を評価します。
アメリカ不動産の醍醐味である「レバレッジ効果」が、どれだけ機能しているかを測るための重要な物差しです。
4. DSCR(借入金償還余裕率):銀行の安心感
プライベートファンドにおいて、ローン(融資)の安全性を見極めるために使われるのがDSCRです。
物件が生み出す収益(NOI)が、ローンの返済額(Debt Service)に対して何倍あるかを示します。

通常、米国の銀行は1.20倍から1.25倍以上のDSCRを要求します。
もしこの数字が1.0を下回っている場合、その物件は自分の収益でローンを返済できない「赤字状態」であることを意味します。
DSCRは、嵐が来た時に船が沈まないための「浮力」を確認するための指標です。
この数字に余裕があればあるほど、空室が増えたり金利が上昇したりした際への耐性が強いと言えます。
5. IRR(内部収益率):投資の総合力
最後に、保有期間全体のパフォーマンスを評価するのがIRR(Internal Rate of Return)です。
これは、毎年のキャッシュフローだけでなく、最終的な売却益(キャピタルゲイン)や、お金を受け取る「タイミング」まで考慮した複雑な計算式です。
概念的には、「この投資を銀行預金に例えると、年利何%で運用されたことになるか」を算出するものです。

(※Ctは各期間のキャッシュフロー、nは保有期間)
IRRは、短期間で大きな利益を狙うのか、長期間安定して稼ぐのかといった「投資の物語」を一本の線でつなぐ「総括表」です。
プロフォルマに記載されたIRRが20%を超えているような場合、出口の価格設定が楽観的すぎないかを、キャップレートの計算式に戻って再検証する必要があります。
まとめ
今日ご紹介した計算式を使いこなすことで、プロフォルマの数字は単なる「希望」から「検証可能なデータ」へと変わります。
- NOI: 物件の基礎体力を知る。
- Cap Rate: 市場価格との乖離をチェックする。
- Cash on Cash: 実際の現金の増え方を把握する。
- DSCR: 倒産リスクに対する「安全装置」を確認する。
- IRR: 投資全体の「最終的な成績表」を予測する。
これらの数式を電卓で叩き、GPが提示する数字の矛盾を見つける作業は地味ですが非常に重要です。
華やかなパンフレットの言葉に惑わされるのではなく、数式という「フィルター」を通して真実を見極めてください。
数字は嘘をつきませんが、数字の作り手は意図を持って数字を並べます。
その意図を読み解く力を養うことこそが、アメリカ不動産投資を成功させる最短コースだと思います。
明日に続けます。
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