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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
手元にあるプロフォルマを例にお伝えしています。
この案件は244ユニットという規模を持つ大型案件の緻密な青写真です。
この数字の裏側を、具体的な$(ドル)の表記を交えて、プロの視点から解剖していきましょう。
これは単なる収支計算書ではなく、投資家としてのあなたの資産を守るための「羅針盤」になります。
1. 購入価格とエントリーの「体温」
まず、このプロジェクトの根幹となる購入価格は$39,250,000となっています。
244ユニットで割ると、1ユニットあたり約$160,860という計算になりますね。
この時点でのマーケット・キャップレート(還元利回り)は5.14%と設定されています。
最近の金利環境を考えると、この5.14%という数字は、市場の「平均的な体温」を反映していると言えます。
高すぎず、低すぎず、適切なエントリーポイントを突いているかどうかが、最初のチェックポイントになります。
2. 資金調達の「レバレッジ」という諸刃の剣
次にこの$3,925万の物件をどうやって買うのか、その「内訳」を見てみましょう。
シニアローン(第一順位抵当権)として、$26,400,000の融資を引く計画になっています。
これは購入価格に対して約67%のLTV(融資比率)であり、保守的な「防波堤」を築いていると言えます。
一方で、投資家から集める必要のあるエクイティ(自己資本)の総額は$15,907,430です。
この資金をどのように運用し、どれだけの果実を手にするのか。
ここで、投資の効率を示す「Cash on Cash Return」が重要になってきます。
初年度の現金配当利回りは2.96%と控えめですが、リノベーションが進むにつれて5.97%(3年目)まで上昇する計画です。
3. 出口戦略の「余裕」を読み解く
投資家が最も注目すべきは、5年後の売却価格をいくらに設定しているかです。
プロフォルマでは、出口のキャップレートを5.50%と見積もっています。
入口が5.14%、出口が5.50%。
この「0.36%」の差を設けていることが、実は非常に重要な「安全装置」になります。
建物が5年古くなる分、市場が少し冷え込んでも大丈夫なように、あらかじめ売却条件を厳しく見積もっているわけです。
この条件での売却価格は$51,686,183と予想されており、約$1,243万の含み益(売却益)を狙うシナリオです。
もし出口のキャップレートを入口と同じ5.14%にしてしまったら、数字はもっと綺麗に見えますが、それは「車のフロントガラスが曇ったまま走る」ようなリスクを孕みます。
4. 投資家への利益分配(ウォーターフォール)の透明性
では実際に投資家であるあなたは、どのようにお金を受け取るのでしょうか。
この案件では「8%」の優先配当(Preferred Return)が設定されています。
つまり、プロジェクトが生み出した利益は、まず投資家が年率8%を受け取るまで優先的に配分されるということです。
その後の利益は、投資家(LP)と運営側(GP)で分け合います。
最終的な投資家(LP)側のネットIRR(内部収益率)は16.79%と予測されています。
これは、5年間で投資した元本が約1.89倍(Equity Multiple)になって戻ってくる計算です。
派手なウルトラCを狙うのではなく、着実に16%前後のリターンを積み上げる姿勢は、非常に現実的だと言えます。
5. 運営の「実力」を試す空室率と経費率
最後にこのバラ色の計画を支える「現場の数字」を見てみましょう。
空室率は約5.0%と設定されており、これは地域の平均的な稼働率に基づいています。
運営費(Operating Expenses)は、実質総収入(EGI)に対して約35.5%から43.6%の間で推移する計画です。
ここで私がツッコミを入れたいのは、「人件費」と「修繕費」です。
244ユニットを管理するには、オンサイトのマネージャーやメンテナンス・スタッフが不可欠です。
プロフォルマ上の運営費が、昨今のインフレによる賃金上昇を十分にカバーしているか。
この数字の精度こそが、最終的なNOI(純運営収益)を守るための「フィルター」になります。
まとめ
Derby Parkの具体的な数字から見えてきたものを整理します。
- 物件価格: $39,250,000(1ユニットあたり$160,860)
- 融資: $26,400,000(LTV 67%の健全な借入)
- 利回り: 入口 5.14% ⇛ 出口 5.50%(保守的なスプレッド設定)
- リターン: 8%の優先配当 ⇛ 最終的なLPネットIRR 16.79%
- 目標: 5年間で資金を約1.89倍に増やす
GPが提示するこれらの数字は、あくまで「目標」です。
けれども具体的な$(ドル)の単位で一つひとつの項目を精査していくと、彼らがどれだけのリスクを想定しているかが透けて見えます。
表面的な16%という数字に躍らされるのではなく、その裏にある5.50%という出口のキャップレートの意味を理解すること。
その立ち位置を突き詰めるのが最短コースだと思います。
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