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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
「金利3.99%で新築が買えます」
こんな広告を、最近あちこちで見かけるようになりました。
市場金利が6%前後を推移している中で、なぜ3%台の数字が出てくるのか。
そこには、アメリカの新築住宅市場で静かに進行している大きな構造変化が隠れています。
Rate Buydown(レートバイダウン)という仕組み
答えは、Builder Incentive(ビルダーインセンティブ)、つまりビルダー(建売業者)が自らのポケットマネーで買い手のモーゲージ金利を引き下げる仕組みにあります。
具体的には、Rate Buydown(レートバイダウン)と呼ばれるものです。
これはビルダーが買い手に代わって金融機関にDiscount Point(ディスカウントポイント)を前払いし、モーゲージ金利を一定期間もしくは永続的に引き下げるというもの。
たとえば全米最大手のD.R. Hortonは、30年固定FHAローンの金利を3.99%に設定したうえで、さらに2/1バイダウンを適用しています。
初年度は1.99%、2年目は2.99%、3年目以降に3.99%に戻るという、驚くべき条件です。
Meritage Homesも3.99%の金利に加えて5,000ドルのクロージングコスト補助を打ち出しています。
なぜ価格を下げずに金利を下げるのか
「そこまでするなら、いっそ家の値段を下げればいいのでは」
そう思うかもしれません。
けれども、ビルダーにとって「値下げ」と「金利補助」はまったく別の意味を持ちます。
住宅価格を下げると、その周辺のComparable(コンパラブル=比較対象物件)の評価額にも影響が及びます。
つまり、一軒を値下げした瞬間に、同じ区画の他の物件の価値まで押し下げてしまう。
一般に、モーゲージ金利を1%下げることは、住宅価格を約11%下げるのと同等の月々支払い削減効果があるとされています。
ビルダーにとっては、物件価格を11%下げるよりも、金利を1%分買い下げるほうが遥かにコスト効率がいい。
かくして、「価格は下げないけれど金利は下げる」という独特の戦略が、全米の新築市場で主流となったわけです。
インセンティブの規模はかつてないレベルに
この動きは一部の大手に限った話ではありません。
NAHB(全米住宅建設業者協会)の調査では、ビルダーの65%がインセンティブを11ヶ月連続で提供中という結果が出ています。
約40%が直接的な値引きを実施しており、平均値引き幅はおよそ5%。
そして75%ものビルダーがモーゲージ金利のバイダウンを実施しており、そのうち32%は30年間の全期間にわたる永続的なバイダウンを提供しています。
ここまでの数字を見ると、いまのアメリカ新築住宅市場がいかに買い手に有利な状況になっているかがわかります。
投資の視点で見るべきこと
「金利が低いなら、今が買いどき?」
その判断は、もう一歩踏み込んで考える必要があります。
Temporary Buydown(テンポラリーバイダウン=一時的な金利引き下げ)の場合、2〜3年後には本来の金利に戻ります。
投資物件として購入する場合、バイダウン期間が終わった後の支払い額で収支が成り立つかどうかを冷静に計算することが欠かせません。
一方で、Permanent Buydown(パーマネントバイダウン=永続的な金利引き下げ)であれば、30年間ずっと低い金利が適用されるため、長期保有の投資では大きなアドバンテージとなります。
ビルダーインセンティブの中身を正確に理解し、一時的なものか永続的なものかを見極めること。
これが、いまのアメリカ新築市場に向き合ううえで最も大切な視点ではないかと思います。
いま新築市場で起きている変化は、一過性のセールではなく、高金利時代にビルダーが編み出した構造的な対応策です。
この仕組みを正しく理解しておくことが、これからのアメリカ不動産投資において大きな武器になっていくように思います。
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