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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
最近、アメリカの住宅市場を眺めていて強く感じることがあります。
それは、「アメリカ全体」という括りで不動産を語ることが、もはやほとんど意味をなさなくなってきたということです。
2026年1月の全米住宅価格上昇率は前年比わずか0.74%。2025年初頭の3.43%から大きく鈍化しました。けれどもこの「全米平均」の裏側には、まるで別の国のように異なる動きをしている地域が存在します。
いま、アメリカの不動産市場は明らかに「二つの速度(Two-Speed Market)」で動いているのです。
中西部の「静かな好調」
全米で最も堅調な値動きを見せているのは、意外にもMidwest(中西部)です。
中西部全体の平均年間価格上昇率は3.56%。
イリノイ州が4.91%、ウィスコンシン州が4.78%、ネブラスカ州が4.75%と、全米平均の数倍のペースで価格が上がり続けているのです。
なぜ中西部がこれほど強いのか。
理由はシンプルで、「もともと手頃だった」ことと「新築があまり建たなかった」こと、この二つに尽きます。
パンデミック期にSunbelt(サンベルト)地域では建設ラッシュが起きましたが、中西部や北東部ではそこまでの新規供給がありませんでした。
その結果、中西部の在庫水準はパンデミック前と比べて30〜50%も少ない状態が続いています。
物件が少なく、雇用が安定していて、なおかつ価格が手頃。
買い手にとっては魅力的な条件が揃っており、競争が価格を押し上げているわけです。
フロリダの「冷え込み」
一方で、ここ数年「移住先の代名詞」だったフロリダ州は、様相が一変しています。
ケープコーラルやウェストパームビーチといった人気エリアでも、今後12ヶ月でさらなる価格下落が見込まれています。
コロラド州(−1.31%)、ユタ州(−1.11%)、テキサス州(−1.09%)といった他のサンベルト地域も同様の傾向を示しています。
背景にあるのは、パンデミック期の建設ラッシュの「答え合わせ」です。
南部・西部の多くの都市では、過去5年間で大量の新築物件が供給されました。
その結果、一部の都市では在庫がパンデミック前の水準を50%も上回っているのです。
供給が増えれば価格に下押し圧力がかかるのは、需給の法則そのものといえます。
「どこで買うか」が、かつてないほど重要になっている
この「二つの速度」は、不動産を検討する際に何を意味するのでしょうか。
端的に言えば、「アメリカ不動産」という一枚岩の市場はもう存在しないということです。
フロリダやテキサスのように価格が調整局面に入っている地域では、良い条件で購入できるチャンスが生まれています。
売り手がSeller Concession(売り手からの譲歩)を提示するケースも増えており、価格交渉がしやすい環境です。
けれども、そうした地域では賃料の伸びも鈍化している可能性があり、投資のリターンを見積もる際には慎重な計算が必要になります。
逆に中西部のように在庫が極端に少ない市場では、物件の取得自体が難しくなっている反面、購入後の価格上昇が見込みやすい。
「買えれば強い」けれども「買うのが大変」という状況です。
全米平均に惑わされない目を持つ
ニュースで「アメリカの住宅価格はほぼ横ばい」と聞いたとき、それをそのまま受け取るのは危険です。
横ばいの内訳は、上がっている地域と下がっている地域の相殺にすぎません。
Redfin(レッドフィン)が2026年を「The Great Housing Reset(大いなる住宅市場のリセット)」と呼んでいるのは、まさにこの構造変化を指しています。
急激な反発でも暴落でもなく、地域ごとに異なるペースで市場が正常化していく、そういう長い調整の始まりなのです。
「どの国の不動産を買うか」ではなく「どの街の、どのエリアの不動産を買うか」。
その解像度がこれまで以上に問われる時代に入ったように思います。
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