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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
3月20日、アメリカは春分の日を迎えました。
不動産業界にとっては「春のホームバイイングシーズン(Spring Buying Season)」の幕開けとも言える節目です。
その日、30年固定モーゲージ(30-Year Fixed Mortgage)の平均金利は6.53%まで上昇しました。
3週間前の2月末には5.98%だったことを考えると、わずか数週間で約0.55%跳ね上がったことになります。
5.98%という数字は、2022年秋以来3年半ぶりに「5%台」に突入した瞬間でした。
「ようやく金利が下がってきた」という空気が、購入を検討していた人々の間に広がっていたのは確かです。
それを覆した要因は、ご存知の通り中東情勢です。
2月28日、イスラエルとイランの軍事的緊張が一気に高まりました。これを受けてBrent原油先物価格は1バレル100ドルを超え、インフレ再燃への懸念から長期国債の利回りが上昇。
モーゲージ金利もそれに連動して押し上げられました。
地政学的リスク(Geopolitical Risk)が、遠く離れたアメリカの住宅ローン金利を動かす。
これは教科書的な話ではなく、今まさに起きていることです。
「中東の情勢がアメリカの家の買いやすさを左右する」という事実は、改めて考えると不思議な感覚があります。
けれども、金利だけで市場のすべてを語るのは難しいところ。
NAR(全米リアルター協会)が発表した2月の既存住宅販売数(Existing-Home Sales)は年率換算で409万件。
前月比で1.7%増加しており、前月の落ち込みからわずかに回復しています。
全米の中央値(Median)価格は39万8,000ドルで、前年比では0.3%の微増にとどまりました。
在庫という観点では、3月14日時点のActive Inventory(売出し中物件数)は前年同期比で5.6%増加しています。
「物件が増えてきた」というよりも、売れるまでの時間が延びているため在庫が積み上がっているという側面が大きい。
同じ5.6%増でも、意味合いが少し違います。
売り手の側では、Price Reduction(値下げ)に踏み切るケースが増え、各種のSeller Concession(売り手からの譲歩)もより一般的になっています。
物件が市場に長くとどまる分、交渉の余地も広がっているのが実情です。
地域ごとの違いも際立っています。
中西部ではイリノイ州が前年比+4.91%、ウィスコンシン州が+4.78%と価格の底堅さが続いています。
一方でフロリダ州は-2.36%、コロラド州は-1.31%と、コロナ禍に急騰したサンベルト地帯の一部では調整が続いています。
こうして並べてみると、「アメリカ不動産市場」を一つの言葉で表現することの難しさを、あらためて感じます。
金利が6.53%になった今、購入を迷っている人にとって、これは「待つべき時期」なのでしょうか。
答えは一つではなく、春シーズンは例年、売り出し物件が増える時期でもあります。
売り手が以前より柔軟になり、物件が市場に長くとどまるこの局面は、じっくり選ぶ余裕が生まれているとも言えます。
金利の動向は、イランをめぐる地政学情勢と原油価格に強く連動しており、これを正確に予測することは誰にもできません。
「6%を切ったら買う」と決めていた人ほど、今の6.53%は重くのしかかるかもしれません。
けれども、市場の構造的な変化となった「在庫の増加、売り手の姿勢の軟化、価格の横ばい」は、短期的な金利の動きとは別の次元で着実に進んでいます。
金利は週ごとに揺れても、市場の地殻変動はより長い時間軸で動いているように思います。
春の訪れと金利の上昇が重なったこのタイミングを、どう読むか。
焦らず、しかし立ち止まりすぎず、自分なりの判断基準を持って動いていきたいものです。
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