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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
Pew Research(ピュー・リサーチ・センター)が先週公開したレポートが、賃貸投資の本質を突くような内容でした。
テキサス州Austin(オースティン)の家賃が、2022年のピーク時から20%以上下落しているというのです。
「アメリカで最も勢いがあった街で、いったい何が起きたのか」
といえば、その答えは極めてシンプルです。
「建てすぎた」
ということです。
Austinはパンデミック以降、テクノロジー企業の移転やリモートワーカーの流入で爆発的な人口増加を経験しました。
家賃は急騰し、デベロッパーたちはこぞってMultifamily(集合住宅)の建設に乗り出しました。
けれどもここに、不動産投資における古典的な落とし穴があります。
需要の伸びを見て投資が殺到すると、やがて供給が需要を追い越してしまう。
過去1年間でAustin圏の総賃貸ストックの8.6%にあたる新築物件が完成し、空室率は急上昇しました。
Vacancy Rate(空室率)が上がれば、家賃は下がります。
Austin圏の家賃中央値は直近12ヶ月で5.9%下落し、2022年のピークからは20%以上の下落を記録しています。
これはAustinだけの話ではありません。
いわゆるSun Belt(サンベルト)と呼ばれる南部・南西部の都市圏で、同じ現象が広がっています。
Denver(デンバー)で4.1%の下落、Phoenix(フェニックス)でも4.1%の下落、Las Vegas(ラスベガス)で2.1%の下落。
いずれも2021年から2022年にかけて建設ラッシュが起きた地域であり、その「ツケ」が今になって表面化しているわけです。
「それなら、もうアメリカの賃貸市場には手を出すべきではないのか」
そう考えるのは早計です。
なぜなら、同じアメリカ国内でまったく逆の動きをしている地域があるからです。
New York(ニューヨーク)では家賃が前年比5.7%上昇し、Chicago(シカゴ)で3.8%、Twin Cities(ミネアポリス・セントポール)で3.2%の上昇を記録しています。
Northeast(北東部)やMidwest(中西部)の多くの都市では、新規供給が限られていたために需給バランスが保たれ、むしろ賃料が着実に伸びている。
ここに、賃貸投資における非常に重要な教訓があります。
家賃の上下を決めるのは、その街の「人気」ではありません。
Supply and Demand(需要と供給)のバランスです。
どんなに人気のある街でも、供給が需要を大幅に上回れば家賃は下がる。
逆に、派手さはなくとも供給が抑制されている街では、家賃は堅調に推移します。
では、投資を検討する際に何を見ればよいか。
ひとつは、Building Permits(建築許可件数)です。
その都市でどれだけの新築物件が計画されているかを追うことで、数年後の供給過多リスクを事前に察知することができます。
そしてもうひとつは、Vacancy Rate(空室率)の推移です。
空室率が上昇傾向にある地域は、すでに供給過多に向かっている可能性があります。
Austinについては、専門家の見立てでは2026年半ばごろに過剰供給が吸収され、その後はVacancy Rateが6〜7%、家賃の年間上昇率が3%前後という歴史的な均衡水準に戻ると予測されています。
つまり「建てすぎ」は永遠に続くわけではなく、いずれ調整が入る。
けれどもその調整期間中は、オーナーにとって厳しい時間が続くことになります。
2026年全体では、全米の家賃は2〜3%の上昇が見込まれており、北東部で4〜5%、中西部で3〜4.5%、Sun Beltでは1〜2%の緩やかな回復という見通しです。
「建てすぎた街」と「建てなかった街」の差は、今後の投資判断に大きな示唆を与えてくれます。
人気のある市場に飛びつくのではなく、供給の動向を冷静に読むこと。
ご多分に漏れず、賃貸投資においても地道な市場調査がものを言うということを、Austinの事例は改めて教えてくれているように思います。
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