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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨日は日本の財政事情の深刻さに言及し、
- 自分の日本円資産は自分で守る必要がある
- 価値が下がらない不動産というハコモノに資産を変えておくことも有効
- 不動産運営が煩わしい方には、10%以上のリターンだけを受け取れる不動産投資手法もある
とのポイントで、「借入証書投資(プロミゾリーノート)」について、その存在をお伝えさせて頂きました。
借入証書投資について、本日も引き続きその概要をお伝えさせて頂きます。
お金を返します、という約束
少し前の話ですが、アメリカ中部の田舎町の知人宅を訪れた時のこと。
知り合いの20歳そこそこの青年が、洋服が必要だからと女友達に服を貸してほしい旨を伝えました。
けれどもこの青年は、その街ではちょっとした札付きのワル。(根は本当にいい子なのですが)
女の子は貸したら最後、まず返してもらえないだろうと最初から疑って服を貸すのを拒否しました。青年は半ば笑いながら「俺を信じてくれよ」と繰り返し言い、女の子に頼み続けます。
女の子は青年のしつこい願いに、半ばしぶしぶながらも最後には折れ、ジャケットを貸してあげることにしました。
けれども疑念の消えない女の子はすかさず紙とボールペンを持ってきて、下記のように書き出したのです。
「
私、○○○○(青年の名前)は○○○○(女友達の名前)からジャケットを○年○月○日に借りました。
このジャケットは○年○月○日までにお返しします。
サイン
日付
」
女の子はやや殴り書きで急いで紙に起こし、青年にサインしなさいよと突き付け、青年は苦笑いしながら、さらさらとサインしてその日の日付を書き、女友達に返しました。
するとその紙を受け取った女の子はサッと私(佐藤)の方を振り向き、
「はいっ、あなた証人ね。これ預かって頂戴。」
と返済を約束したサイン付の紙を手渡してきたのです(笑)
このように、多民族国家であるからこそ法律が重要視されるアメリカでは、子供たちの世代からモノの貸し借りに借用書の真似事をする光景が度々見られます。
返す返さないを口で語ることは容易ですが、それを実行するかどうかはまた別の話。そして口頭の約束は得てして当てになるものではなく、当事者たちですら約束の詳細を忘れてしまうもの。
だからこそ口頭のみの目に見えない形ではなく、文字という目に見える形に落とし込む必要があり、かつそこに本人の署名と日付まで記載することで、書面上の約束に真実味と法的拘束力を体現するわけです。
そして極めつけは、この女の子のように返済の約束を第三者に託し、自分たちの約束の間に第三者を証人として含めることで、借用人との約束を手堅くする方法が商習慣でも行われています。
不動産取引で返済を約束する形
現実の世界でもこのような第三者を間に入れたお金の貸し借りは実際に行われているわけですが、アメリカ不動産の世界では
A. 物件の売主(物件を売却する)
B. 物件の買主(物件を購入する)
C. 金融機関(購入金不足額を融資し、返済を受ける)
の三者間の取引において借入金が動くとき、
B. 物件の買主(物件を購入する)
C. 金融機関(購入金不足額を融資し、返済を受ける)
D. 融資とその返済の約束を見届ける第三者
このDが必然的に発生します。
D. 融資とその返済の約束を見届ける第三者
については、そのまま融資元の金融機関(上記C)であったり、物件が位置する地区を管轄する役所を第三者(D)として登録する場合等、様々です。
いずれにせよ、アメリカでは通常はどこの州でも詐欺防止法(Statute of Fraud)という法律上
「
Certain types of contracts must be in writing to be enforceable.
(契約書が法的に有効たるためには文字に起こされなければならない)
」
と定められており、約束を書式にして関係者のサインを添え、法的に有効な借用書として仕上げるのです。
不動産取引の場合はこの約束書式に物件情報が添えられ、
- 対象となる物件
- 購入金額
- 借用金額
- 返済額
- 返済期限
- 返済先
- 返済条件
- 日付
- 署名
等の情報が通常は不動産専門弁護士の手により準備され、そのまま管轄の役所に登録されることとなります。
そして不動産取引の場合はここが大切なポイントですが、
「融資の元金と利息を全てを返済するまでは、対象となる物件の所有権は買主のものにはならない」
というルールがあるのです。
厳密には、例えば1000万の物件を300万の頭金で購入した場合は
300万の頭金のみ … 30%の所有権
追加で100万円返済(400万支払い済) … 40%の所有権
更に追加で100万円返済(500万支払い済) … 50%の所有権
と、納めている金額に応じて家の所有権率は上昇していきます。
この自分がその時点で持つ、然るべき所有権の割合のことを英語でEquitable Title(エイクタブル タイトル)と呼びます。
そしてこの第三者を絡めて融資と返済の流れを確立した上で不動産物件を譲渡する手法を
Deed of trust(ディード オブ トラスト)
と呼びます。直訳すると
Deed:証書
Trust:信用
で、信用証書という意味です。
ただし、ここで言うDeed of trust(ディード オブ トラスト:信用証書)は第三者を絡める融資取引そのものを表現しており、厳密にはこの流れで登場する現物の借用書のことを「Promissory Note(プロミゾリーノート:借入証書)」と呼ぶのです。
「Promissory」は日本人の私たちもよく知る言葉、「Promise(プロミス:約束)」の形容詞で、これにNote(ノート)という言葉がついてアメリカの商習慣では「Promissory Note(プロミゾリーノート:借入証書)」と呼ばれます。
手形とはやや古めかしい日本語ですが、商習慣の意味では有効かと思いますのでこのまま融資の返済を約束する「借入証書」と日本語訳させて頂きます。
借入証書投資(プロミゾリーノート)とは
そこで、本項のポイントのお伝えが最後になりましたが、「借入証書投資(プロミゾリーノート)」とは何か?というと、
「投資する投資家本人が上記の説明でいう『C. 金融機関(購入金不足額を融資し、返済を受ける)』になる投資」
なのです。
つまり、もしあなたが投資家として「借入証書投資(プロミゾリーノート)」を行うのであれば、(あなたに返済される約束がなされている)借入証書を購入する形となり、結果として投資した直後からあなたは
「返済を受ける側」
となり、あたなの手元には借用人からの返済額がどんどん返されてくることになるのです。しかも元金のみならず利息までついて返されてくるという、金融機関そのものになった気分でお金が自分に流れてくる結果となります。
例えば、あなたがテネシー州メンフィス市で$150,000の物件を購入して
頭金:$100,000
金融機関からの借用:$50,000
とした場合、仮にアメリカのウェルスファーゴ銀行から$50,000の融資を受けたとします。
ウェルスファーゴ銀行ホームページのローン試算ページで計算してみると、
と出てきます。
ここで、返済期間を例えば15年間の定額返済(下から二番目)を選んだとします。
すると、毎月の返済が$376です。大したことない金額に見えますが、実際には
$376 × 12ヵ月 × 15年 = $67,680
となり、購入者は元金の$50,000を差し引くと総額で$17,680($67,680 - $50,000)と、$17,680もの利息をウェルスファーゴ銀行に支払うことになります。
つまり、諸々の諸経費に加えて純粋に融資額からだけでも$17,680がウェルスファーゴ銀行の儲けとなるわけです。現代の錬金術、お金がお金を産み出す金融業界が儲かるのは当然ですね。
そこで、購入者は融資を受ける時点で詳細にわたる「借入証書(プロミゾリーノート)」をウェルスファーゴ銀行と交わしていますから、法律に縛られる形でウェルスファーゴ銀行に返済の義務を背負っているわけです。
つまり投資行為としての「借入証書投資(プロミゾリーノート)」の場合は、この例ではあたかも投資家としてのあなたが融資しているウェルスファーゴ銀行の立場となり、借入人からの返済額を(利息付きで)着々と受け取る形になるのです。
何ともアメリカらしい、ダイナミックな不動産投資の手法ではないでしょうか。
明日はこの「借入証書投資(プロミゾリーノート)」がどれくらいのインパクトを持っているかについて、ケーススタディーとして実例をご紹介しながらお伝えさせて頂きます。
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