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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アーカンソー州リトルロック市の不動産市場について検証しています。
昨日まではリトルロックの物件価格の変化、そして不動産需要の三大要素
人口
人口動態
労働・賃金
の中の人口に関して概要を見てきました。
リトルロックの不動産はメンフィスと同様に、一千万円代で手に入る一戸建て物件が多くあります。
大きくは上がらないけれども大きく下がりもせず、2007年以降のサブプライム問題を事の発端とする不動産価格の暴落時には、なんと2000年を100とするインデックス指標で
サブプライム問題前の最高指標 166.40(2007年)
サブプライム問題後の最低指標 163.18(2012年)
と、3.22しか下げていないという驚異的な打たれ強さが確認されました。
2007年から2012年までの5年間、不動産市場価格の同インデックス指標上の下げはアメリカ全土の平均が71.21、フロリダ州が215.39とう恐ろしい数字でした。
そんな中でリトルロックの下げ、3.22(笑)
ボクシングに例えれば、ボディー狙いのハードパンチャーではないものの、非常に打たれ強く徐々に前に進むタイプ、といったところでしょうか。
また、私(佐藤)個人では企業に例えたときにも、このような「地味だけれども、不況に強く、着々と前進している。」そんな恒久的に発展が見込める会社に安心感を覚えます。
いわゆるハイリスク・ハイリターンの反対のローリスク・ローリターンかもしれませんが、長期的な収益性としては後者がはるかに優れているものです。
とりわけ今の変化の激しい時代には一昔前に言われた「企業30年」どころか、自ら好んで変化していかないことには5年先に生き残っているかどうか分かりません。
グーグルもフェイスブックも、最近ではIT企業なのかAI企業なのか分からないくらいになってきていますし、近年一世を風靡したウーバーなど、日本で一般人の白タクを規制するうんぬん以前に、すでに本社では「無人タクシー車両」の開発実験を開始しています。
このスピード感は流石だなと思いますが、反対にいえばここが株式投資の難しさではないでしょうか。
世界最大の投資会社バークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェットも、IT関連の銘柄にはIBMとアップルといった、限られた銘柄にしか投資していません。
その一方で、不動産の場合は本質的に流動性が低い性質がありますので、健全に利益を享受していく上ではそもそもキャピタルゲイン狙いよりも、キャッシュフロー狙いの方が不動産市場そのものの性質に合っているのです。
その流動性の低さとキャッシュフローのマッチングから考えれば、
テネシー州メンフィス市
アーカンソー州リトルロック市
この2つの都市はアメリカ全土の中でも非常に安定したキャッシュフローが得られる、ピカイチとも言える不動産市場だろうと思います。
そこで、本日は不動産需要三大要素
人口
人口動態
労働・賃金
の中の「労働」について掘り下げて、リトルロックの不動産需要を更に確認してみたいと思います。
リトルロックの産業の将来を推し量る上で、より全体像を捉えやすいようにメンフィスのそれと比較する形で産業別に見ていきましょう。
金融業
メンフィスの金融業
リトルロックの金融業
初っ端から、意外な事実が分かりました。
「メンフィスの金融業のピークは2008年を境に下がり続けて見込みがないが、リトルロックの金融業は近年世界金融危機前の水準まで回復し、その後も堅調」
街として金融業が堅調であることは非常によいことです。アメリカという国自体が良くも悪くも金融の世界において世界をリードする立場であることには変わりなく、だからこそウォーレン・バフェットも自社の投資活動としては金融系の会社に多くの資金を投じています。
このリトルロックの金融業が意外に堅調であることは、メンフィスよりも潜在的な経済力が強いことを示しています。
教育・健康サービス
メンフィスの教育・健康サービス
リトルロックの教育・健康サービス
教育・健康サービスはメンフィスとリトルロックはほぼ同じ動きを示しています。
この分野に関しては世界金融危機の影響は全くと言っていいほど見られず、堅調に伸びていますね。しかもリトルロックについてはメンフィス以上の伸びが確認できます。
観光業
メンフィスの観光業
リトルロックの観光業
観光業でも意外な事実が確認できます。
メンフィスでは観光事業が世界金融危機以降により、それまでの成長に大きく冷水を浴びせられた形です。近年は元の水準に戻してきているように見えて、その実、完全には戻らないまま停滞しています。
その一方でリトルロックの観光業は世界金融危機の時期に成長が鈍化したものの、それ以降も雇用が伸び続けているのです。
街興しの観点でもリトルロックの方に軍配が上がるようで、堅調な人口増加と合わせてリトルロックの不動産市場を安定化させている要因の一つであることが分かります。
情報業
メンフィスの情報業
リトルロックの情報業
情報業については、メンフィスとリトルロックの双方が雇用を下げてきています。
違いとしては、メンフィスでは2000年前後のITバブルを境に一気に滑落し、リトルロックはITバブル時から成長が鈍化しながら持たせていたものの、2007年以降の世界金融危機の時期から、諦めたかのように雇用が下がっています。
メンフィスとリトルロック共に、今後も情報業とは縁の遠い街として定着しそうです。
製造業
メンフィスの製造業
リトルロックの製造業
製造業もメンフィスとリトルロック共に、1990年代後半から大きく雇用を下げ続けています。両者の動きは実に似ていますね。
この背景にあるのは、アメリカ全体の製造業の空洞化です。1990年代後半から、より安い雇用を求めて製造業はこぞってアメリカ国外に出ていきました。この為にアメリカ国内の製造業は近年までにすっかり空洞化したのです。
今月(2017年12月)、トランプ大統領が30年ぶりの大型減税を実行することが確定となりましたので、幾分国内の産業が息を吹き返すことも予想されますが、それでも歴史を見ると一度アメリカ国外に出た産業がアメリカ国内に戻ってきた例はほとんどありません。
メンフィスとリトルロック共に製造業の雇用が大きく下がってきていますが、この先アメリカ全体の製造業が回復するかどうかは、今回のトランプ大統領による大型減税がどれだけ功を奏するかにかかってくると思います。
その答えは5年後あたりをめどに、兆候が見えてくるはずです。
貿易・輸送・公益事業
メンフィスの貿易・輸送・公共事業
リトルロックの貿易・輸送・公共事業
貿易・輸送・公益事業についても、メンフィスとリトルロックは酷似した雇用状況を見せています。
ITバブルの時期に雇用が下がり、戻り気味だった雇用が世界金融危機の時期に更に大きく下がり、けれども近年までに雇用が回復してきています。
しかも、このままいくとITバブル前の絶頂期を上回って成長していく見込みであることがよく分かります。
まとめ
リトルロックの雇用について、メンフィスと比較する形で全体像を捉えてきました。
今後も順調に雇用が見込まれるのは産業別に
- 金融業
- 教育・健康サービス
- 観光業
- 貿易・輸送・公益事業
です。
中でもリトルロックの雇用で特筆するべきなのは
「メンフィスの金融業は将来が見込めない一方で、リトルロックの金融業は雇用が堅調」
「リトルロックの観光業はほぼ不況に影響されることなく伸び続けており、観光業の成長が鈍化しているメンフィスとは対象的」
「貿易・輸送・公共事業は順調に伸びており、その伸びはメンフィスよりも力強い」
という3点です。
そしてメンフィスとリトルロックの比較をまとめると
「リトルロックの雇用はメンフィス以上に安定しており、金融業が堅調であることからも、リトルロック経済の方が将来の安定度がより高い見込み」
という姿が見えてきます。
メンフィスへの投資が有利なことは日本でも随分知られるようになってきましたが、実は将来的な安定度からいえば、メンフィスから2時間半離れたリトルロックへの不動産投資の方が安定する可能性が更に高い、という事実は認識しておく必要がありそうです。
明日は不動産需要の最後の要素、賃金について見ていきましょう。
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