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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカで物件を購入する際に認識しておくべきことの1つに、「人体に影響する有害素材と有害環境」があります。
不動産の建物そのものを英語でImprovement(インプルーブメント)と言いますが、Improvementとは本来「改善」という意味であり、その土地の上に「改善されたもの」、すなわち人が人工的に土の上に組み上げた建造物がImprovement(インプルーブメント)です。
そして不動産そのものを自然の土地と人工の建物に分けて考えた時に、それぞれに対して人体に害を及ぼし得るもの、すなわち
- 外的要因となる公害要素
- 内部的要因となる物件に使用された人体に有害な素材
これらについて、認識しておくことも大切なのです。
衣食住は人々が生活する上で欠かせない要素ですが、その中でも住は自分にとっても家族にとっても安住の空間であるべきで、一年のほとんどを過ごす場所のはずですから人体にとって有害なものがあるとすれば、それは由々しい問題。
事実、アメリカでは過去には人体に有害とは認識されておらず建造物にごく普通に使われていたものが、後に人体に有害であることが確認されて建造物資材への使用が禁止されたものの1つに「アスベスト(石綿)」があります。
このアメリカの建築業界におけるアスベストへの認識と対応について、深掘りしてみます。
アスベスト(石綿)とは
アスベスト(石綿)は従来耐熱性のある素材で、建造物の構造をなす資材の耐熱性を増強する為に使用されていました。
3000種類以上ある建設素材の1つとして、アスベストは早くには1900年初頭から使われ始め、1940年代から1978年までは住居物件を含む大概の建造物に使用されてきました。
EPA(米国環境保護庁)はおよそ107,000におよぶ学校施設、また733,000もの公的あるいは商業物件においてアスベストを含む素材が使われていると発表しています。
厳密には、アスベストそのものは配管、換気口、暖房、あるいは熱湯器を包み込む素材として使われていました。
性質としては耐火性に優れていることから、床タイル、外壁、屋根用製品、リノリウム床素材、壁素材等、幅広く使用できる素材として脚光を浴びたのです。
とはいえ、温水の配管回りの断熱材等は、アスベストを含む資材の中でも比較的判別し易いのですが、壁の後ろや床の下に使用されている場合、アスベストが含まれる箇所を確認するのは容易ではありません。
またアスベストそのものは繊維であり、その1本の直径は0.02-0.35 μm(髪の毛の5,000分の1)程度と非常に小さいサイズです。
その為に簡単に粉々に散らばったり、また質量がかなり軽いことからひと度空気中に放たれると長時間空気中に浮かび続ける性質があるのです。(改装やリモデリングの作業中に発生し易い)
アスベストは体に有害!
そしてやっかいなのは、当初はその耐火性を中心とする利点にのみ焦点が当てられていましたが、実際はアスベストは人体に有害であることが後から発覚しました。
仮に、空気中に浮かぶアスベストを大量に吸い込んでしまった場合、10年以上経過した後に症状が現れ、命に関わる深刻な呼吸器系の障害を引き起こすことが分かったのです。
この為、公的物件または商業物件の所有者を対象にしたアスベストを含む素材のテストに関するガイドラインが連邦政府により発行されることとなりました。
その一方で、住居物件についてはアスベスト素材に関するガイドラインは今でも存在していません。
除去が難しいアスベスト
アスベストは非常に小さな繊維である為、すでにアスベストが使用されている素材や資材からアスベスト成分を取り除く作業は容易ではありません。
下手に取り除こうとすると成分が空気中に飛び散り、物件内のアスベスト滞留度を高めてしまうことにもなりかねないのです。
その為、アスベストを除去する作業は州政府から認可されている技術者によって適切に除去される必要があり、しかもその作業は極めて密閉度の高い密室で行われる必要があります。
そして除去作業により取り除かれた廃棄素材は、これもまた正式に政府より認可を受けた施設により引き作業が行われる必要がります。
公認技術者による除去作業や公認施設による廃棄作業など、実にコストのかかる作業ではありますが、それくらい気をつけて取り扱わねばならない危険度の高い素材がアスベストなのです。
アスベストにより引き起こされる呼吸器系障害が確認されるまで時間を要したことは残念ですが、少なくとも1978年以前に建てられた物件に関しては、アスベストを含む資材が使われているという認識を持ち、必要に応じて専門家に対策を依頼する必要があります。
最も簡単なアスベスト対策
前述のようにアスベスの除去作業は専門家により行われなくてはなりませんが、アスベストによる人体への被害を抑制するという意味では、除去以外の方法として「資材そのものに蓋をする」という手法が取られることもあります。
むしろ、繊維が空気中に散らばる危険性のある直接の除去作業よりも、広がらないように資材全体をキャップしてしまう方がより安全であり、好ましいといえます。
この場合はキャップされている箇所に損傷がないかを定期的に確認する必要がありますが、「臭いものには蓋を」式の方が簡単かつ安全なのです。
そして当然ながら、取り扱う物件が1978年以前のものである場合にアスベスト調査を行うには、専門家に依頼する必要があります。
専門家は通常、調査と同時に推薦される除去方法とコストを教えてくれます。
まとめ
アスベストの性質と人体への影響、そして除去方法についてお伝えさせて頂きました。
ここまでで分かるとおり、もしあなたが1978年以前に建てられた物件を購入する場合は、「物件のどこにアスベスト繊維が使用されているのか?」を確認しておくことは非常に大切です。
とりわけ修繕・リモデル・取り壊し、あるいはその箇所の通常の使用方法には十分留意し、自分が雇う各種請負業者に対しても築年数を伝える必要があります。
また、アスベストの存在とその危険性については、あなたが契約を結ぶ不動産エージェントも物件取扱のプロとしてよく理解しているはずですから、1978年以前の物件購入を検討する場合は不動産エージェントに対応をよく相談されることをお薦めします。
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