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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨日は人体に有害となり得るアスベスト(石綿)に関してお伝えさせて頂きました。
アスベストはアメリカでは1900年代初期から使われはじめ、その耐熱性から重宝されて建築業界でも建築資材として広く活用されてきました。
後に人体への被害が確認されてようやくその深刻な人体への影響が認識され、アメリカでは1978年以降の建造物への使用は禁止されることとなりました。
1978年以前の建造物にはかなりの確立でアスベストが資材に使用されていますので、1978年以前の物件を購入する際は注意が必要です。
もっぱら、1978年以前の物件の売買を行う際には事前にアスベストが使われている可能性の開示が義務付けられていますが、それでも売り主にはアスベストを除去する責任まではありません。
その為、1978年以前の物件を購入する際は「アスベストが使用されている場所はどこか、また必要に応じて処置がなされているか」は確認した方が無難です。
仮に適切な処置がなされていない場合、売り主に昨日お伝えしたキャップ等の方法で専門家に処置してもらうことを購入の条件とすることも考えられます。
そして本日は物件に使われている人体に有害な物質のシリーズとしてもう1つ、鉛含有ペンキについてお伝えさせて頂きます。
鉛含有ペンキによる危険性
アメリカでは従来、鉛はアルキド樹脂塗料内に含まれる色素と乾燥剤として使われていました。
鉛含有ペンキは内装と外装のどちらにも使用され、とりわけ一般的にはドアや窓、またその他の木工製品に使用されていました。
連邦政府の統計によると、1978年以前に建てられた全ての住居住宅のおよそ75%に鉛が使用されています。
このパーセンテージはざっくり考えても、アメリカの1978年以前に建てられたアパートからマンションまで全て含め、約5700万の建物に使われている計算です。
とりわけ鉛含有ペンキの影響は6歳以下の幼児にとって被害が大きく、誤って口に大量に含んでしまうと、後に発達障害・身長短縮・難聴等の症状を引き起こす可能性があるのです。
大人の場合、誤って体内に大量に摂取した場合は貧血や高血圧・胆嚢障害、そして男性と女性共に生殖作用に影響してしまう可能性があります。
鉛はどのように体内に入るか
このように鉛含有の素材は人体に悪影響を及ぼしますが、実際にどのように体内に侵入するのでしょうか。
ありがちなパターンとしては、乳児がハイハイをする際に手に付着してその手を舐めてしまったり、家の基本構造に使われている箇所から普通に吸い込んでしまったり、鉛含有水道管や鉛含有はんだを通って流れてきた水から摂取してしまうこともあります。
また古い射撃上の土や地下水は、捨てられた銃の玉(鉛が使用されている)が埋め立てられた場所から鉛成分が染み出して汚染されることもあるのです。加えて、ゴミ焼却場に近い土からは高い鉛の含有量が検出されるようなこともあります。
アメリカ政府による対策
1996年、アメリカの環境保護局と住宅都市開発省は1992年に発行された「住宅用鉛含有塗料有害削減法(Residential Lead Based Paint Hazard Reduction Act)」の拡大措置として、住宅の購入希望者や賃貸希望者に対し、対象となる物件において鉛含有ペンキが使用されている場合はその事実を伝えることを義務付ける規定を発行しました。
とはいえ、開示は義務付ける一方で連邦政府としてはアスベストと同様に物件で使用されている鉛含有ペンキの量を測定するようなことまでは義務付けてはいません。
またアメリカ環境保護局は2008年6月23日を施行日として、鉛含有ペンキが使用されている物件のリノベーションを手がける業者に対しては、事前に然るべきトレーニングを終了して資格を取得することを義務付けています。
このような政府の取り組みは、かなり真剣なものです。
アメリカの環境保護局と住宅都市開発省の取り組みの実例
2008年初頭
ボストンにある不動産管理会社が$28,000の罰金を支払い、鉛成分を含む窓の取り替えに$290.000を費やす
2009年
低所得者用物件への融資・管理を行う大きな非営利団体と20以上の関連する物件の所有者が$200,000の罰金を支払い、それぞれの所有物件において鉛成分を除去する為に$2,000,000を費やす
2009年
ニューヨーク市の物件管理会社と連邦政府の援助を受けている米軍従事者用物件の所有者20名が$20,000の罰金を支払い、17のアパート物件の合計639箇所において鉛含有ペンキからの影響を軽減するための作業を実施
まとめ
人々が暮らす住居物件に使用される建築資材についてはとりわけ1900年代に大きく進歩してきました。
その過程で、昨日のアスベストと同様に鉛成分を含むペンキもまた人体への影響が確認され、同じく1978年以降の使用が禁止されることになったのです。
このような経緯がありますから、アメリカで中古物件を購入する際は築年が1978年の以前か以後かをよく確認する必要があります。
2018年時点の取引ではほぼそのようなことはないかと思いますが、売り主から開示される鉛含有ペンキの使用箇所、もしくはあなたの不動産エージェントと物件を確認する際に気づく箇所について、明らかに危険性があると判断する場合、然るべき措置を所有者と交渉する必要があるのです。
私(佐藤)自身は、そもそも30年以上前の物件についてはあまりお薦めはしていません。
30年以上も前に建てられた物件になると修繕箇所が極端に増える可能性が高く、長期的にはキャッシュフローに大きく影響してしまうからです。
その意味では1978年以前の物件は必然避けていることになりますが、もしあなたが何らかの理由で1978年以前の物件を購入する場合は、不動産エージェントによくご相談ください。
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