こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨日は
「不動産では、売買技術よりも管理技術の方がよほど重要」
とお伝えさせて頂きました。
不動産そのものは1つの資産ですが、購入した後の管理こそが大切です。
この点は車と同じで、定期的にきちんとメンテナンスしておけばよい状態を長持ちさせることが出来ますし、修繕必要箇所の被害も最小限に食い止めることができます。
「いかなる不動産物件も経年劣化が起こる」
という前提がある以上、話としては
ほったらかして被害を大きくし、大きな修繕費をかけるか
もしくは
定期的にメンテナンスし、修繕費を少なく抑えるか
の二つに一つしかないのです。
とりわけ不動産投資の場合はキャッシュフローの観点からいっても、利益を最大化する上では修繕費を極力少なく抑える必要がありますから、その為には定期的メンテナンスは必須となります。
すなわち、流動性の低い不動産は長期視点で取り組むのが本筋ですが、長期視点で取り組むからこそ不動産管理の方が売買よりもよほど大切なのです。
本日も続けます。
水の力は侮れない
そこで、不動産管理としては定期メンテナンスの意味でいえば、常日頃から重点的に気をつけておくべきポイントがいくつかあります。
中でも最も気をつけておくべきは、
「水回り」
です。
バスルーム、キッチン、洗濯機等は代表的な例ですが、日常的に水を使う場所は修繕率が最も高くなります。
このことは洪水のことを考えればよく分かりますが、水とは「力」です。
人が生命を維持する上で水は欠かせない要素であると同時に、その力は自然災害として人に牙を向くこともあるわけです。
洪水の場合、通常は膝まで高さがくるだけで人は立っていられません。
ヒューストンでも2017年の夏は洪水に見舞われましたが、あの時の洪水でも日頃なら5分で移動出来るような距離が、30分もかかってしまいました。
あと時に水に浸った物件の壁は夏の湿度も手伝って一気に腐食が始まり、上部に水分が染み込んで被害が大きくならないように壁を崩す作業を強いられ、最終的には修繕に思わぬ出費がかかった苦い想い出があります。
このように人を潤すのみならず、被害をもたらす場合もある水は1つの「力」であり、水の力は決して侮れないのです。
そういった視点で水を考えてみると、あなたがたった今暮らす建物の中でも、この瞬間にも壁の裏側ではしっかりと水道管の中を水が流れています。
- キッチンの蛇口をひねる
- 洗面台の蛇口をひねる
- トイレを使う
- お風呂を使う
このような日常の動作の度に壁の向こうでは水が結構なスピードで流動しており、
水道管
排水管
蛇口
等には常に水圧がかかっているのです。
1日の中でも繰り返し繰り返し特定の箇所に水圧がかかるわけですから、その部品の経年劣化も手伝って水圧は更に部品にダメージを与え、やがて水が染み出してくるようなパターンはよく起こります。
よく起こるというよりも、「必ず起こる」と言う方が正しいかもしれません。
そこに水が通う
日常的に使用される
という箇所においては、まず後々に故障が発生しないはずがないのです。
水漏れはすぐに対応するべき
その為、私(佐藤)も物件を管理する際には水まわりに最も注意を払います。
- キッチン
- 浴槽
- トイレ
これらの水回り箇所では、故障が発生するのはある意味時間の問題であり、いつ修繕が必要になってもおかしくない箇所です。
そしてコスト的に修繕被害が最も大きくなのは、「漏れた水が滴り落ちる木材箇所」なのです。
木は水に弱く、水分を含むと腐ってきますが、湿度を伴う場所であればカビも生えてよりダメージが大きくなります。
このダメージを受けた木材は、その対象箇所を取り替える以外に修繕の方法はありません。
これがむき出しになっている箇所であれば、まだ対処方法はあるのです。むき出しになっている箇所に防腐剤をかけ、乾かせばまだ何とか被害の拡大を防ぐことが出来ます。
ところが壁の中の見えない部分に使われている資材の場合は物理的に手が出せませんから、目に見える形で被害が確認できる時には手遅れで、全てを張り替える以外にないものなのです。
例えば、よくあるパターンが「入浴中に浴槽からもれた水」です。
日本の場合はお風呂文化がありますので話が違いますが、アメリカの場合はご存知のとおり浴槽とトイレは同じ1つの部屋の中にあります。
基本的に浴槽は「体の表面の汚れを洗い流す」為の場所であり、お湯をはって入浴を楽しむ、という考え方はありません。
そして浴槽の外側がポイントなのですが、お風呂場そのものが1つの部屋になっている日本とは違い、浴槽内の水が浴槽の外に出ることを前提には作られていませんので、浴槽と床の接点箇所が経年劣化を起こしやすいのです。
もう少し具体的にいうと、通常は浴槽と床の接触部分はシリコンで横一直線にシールされているものですが、時間が立つとこのシリコンに劣化が発生して穴が空いてきます。
すると、浴槽から水が漏れ出た時にこの隙間に水が入り込み、それが日常的に続いてしまうとバスルームの床の下にある、建物構造そのものの資材にダメージを与えてしまうのです。
そこは床の真下で通常は目に見えないだけに、事の深刻さに気づくのには時間がかかります。
被害に気づく時にはすでに手遅れで、大概は床を引剥して構造部分そのものを全て張り替えることになります。
それを張り替えるとなると、通常は数千ドルを費やすことになるのです。
だからこそ、バスルームの場合はシリコンできちんと浴槽と床の間がシールされているかを定期的に確認する必要があり、劣化が発生している場合はシリコンで補強しておくことが大切なのです。
シリコンそのものは$10程度で購入できますが、その補強を怠れば前述のように数千ドルを費やす羽目になってしまいます。
いつも気にせずほったらかし
定期的に点検して必要に応じてメンテナンス
このちょっとした差が大きな金額の違いを生んでしまう、典型的な例なのです。
まとめ
このように、不動産管理技術としては家の内外を定期的に確認する為のチェックポイントがありますが、その中でも水回りは最も気をつける必要があります。
水の力は決して侮れず、水道程度の水の流れであっても水圧が常にかかる箇所では経年劣化と共に水が漏れ始め、そこから建物の構造そのものを痛めてしまうことになるのです。
アメリカで不動産投資を行う場合は、物件購入後の不動産管理にはとりわけ気を使う必要がありますが、あなたが使う不動産管理会社がどの程度の定期メンテナンスを行ってくれるのかは、事前によく把握しておくとよいと思います。
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