こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
不動産物件はおよそ個人が所有する中でもっとも大きな資産といえます。
とりわけアメリカの場合はその資産価値が年々上昇していく前提がありますから、あなたの資産が年々膨らんでいくわけです。
ところが、いざ数年間物件を所有して手放そうとした時に
「物件にリーエン(Lien)があって手放せない」
というパターンが出てくることがあります。
リーエン(Lien)とは日本語で「抵当権」あるいは「留置権」と呼ばれるものです。
このリーエン(Lien)が売却時に残っていると最悪の場合は物件を売りたくとも売れず、大きく計画が崩れてしまいます。
今日はこのリーエン(Lien)について、深くみていきましょう。
リーエン(Lien)とは?
そもそも、米国の不動産投資でいうリーエン(Lien)とは何でしょうか。
一般的なリーエン(Lien)としては大きく分けて3種類あります。
メカニカル/コントラクター リーエン(Mechanical/contractor liens)
あなたの物件を施工した項目に関わるリーエンを「メカニカル/コントラクター リーエン」と言います。
例えば家主であるあなたが施工業者を雇って家のリフォームを行ったものの、全てとは言わずとも、材料費もしくは人件費の一部の支払いを怠っていたとします。
するとこれは「メカニカル/コントラクター リーエン」となり、最初の契約書上で支払いを約束していたものの、その支払いを不履行にする場合は業者が支払い不履行の手続きを行い、あなたの物件に付随するリーエンが現れてしまうのです。
タックス リーエン(Tax liens)
税金未払いから発生する抵当権・留置権のことを「タックス リーエン」といいます。
物件には毎年固定資産税がつきものですが、この固定資産税は通常、物件が立地する管轄郡に納めることになります。
ところが納税を怠るとそれはそのまま借金となり、かつあなたの物件に付随する「タックス リーエン」にもなってしまいます。
また税金未払いがリーエンと化するのは固定資産税のみではありません。
通常の連邦政府に納めるべき税金も未払いにしていると、その借金が所有する物件のリーエンと化することもあるのです。
ジャッジメント リーエン(Judgment liens)
裁判所により、「この借金は、あなたの物件のリーエンとする」と判断されたものを「ジャッジメント リーエン」といいます。
そして借金というのは実は物件に絡んだものである必要はなく(そうでない場合が多い)、
「離婚した妻側に養育費の支払いを怠っている」
「クレジットカードの未払い」
「医療費の未払い」
等、様々なパターンがあります。
不履行を受けているこれら第三者が裁判所に訴え、裁判所が「確かに借金あり」と判断した場合、所有する物件のリーエンになってしまうわけです。
。。。
ここにお伝えした3つのパターンは全ての「自分発のリーエン」です。
つまり上のいずれかのパターンであれば、あなたもおぼろげながらも、頭の中に記憶はあるはず。
例えば税金未払いなど、
「そういえば、税金の追加請求がきていたな。そろそろ支払いしないとな~。」
と思いつつ、日常の喧騒にかき消されて忘れていたところ、気が付いたら自宅のリーエンになっていた、ということが起こりえるわけです。
そしいざ物件を売却しようとしたら、「タックス リーエンがついていた。。」ということにもなりかねません。
ところが、実際には「身に覚えのないリーエン」の類もあります。
例えば、ありがちなのが「新築物件のメカニカル/コントラクター リーエン」です。
日本ではあり得ないかもしれませんが、「新築物件を購入したところ、ゼネコンや下請け業者に支払いが行われていなかった」ということが本当にあるのです。
この場合、ゼネコンもしくは下請け業者は物件のオーナー(あなた)に知らせることなく、裁判所に手続きを行うことが出来ます。
この動きとは別にあなたが不動産会社と契約してすでにオーナーになっていた場合、リーエンが知らないところで発生することになるのです。
この為、アメリカで新築物件を購入する場合は
「建築に携わったゼネコン・下請け業者にきちんと支払いが完了している物件か?」
は必ず確認する必要があります。
リーエン(Lien)が見つかったら
そこで、自宅を売却する前には
「自分の物件にはリーエンがついていないか?」
を念のため確認することをお勧めします。
一番簡単なのは、ネットで検索することです。
「county recorder, clerk, assessor's office online」
これらのキーワードにあなたが暮らす郡(County)の名称を入れれば、当局のホームページが出てきます。
そして「リーエンがついている」ということは、それは公的な記録になっているはずですから、当局にあるあなたの物件情報にリーエンの記録はきっちり現れているはずなのです。
ただし各郡によってシステムには違いがあり、大概はあなたの家からも無料で公的記録が閲覧出来るものの、そのコピーは当局に出向いて有料で発行してもらう場合がほとんどです。
また、タイトルカンパニー(不動産権を専門に取り扱う会社)に依頼して有料で調査してもらうことも一つの選択肢ですが、通常は前述の自分で調べる結果と変わらないものになりますので、自分で調査した方が得策です。
そしてリーエンが発見された場合でも、パニックになる必要はありません。
例えば
「なぜリーエンがついているんだ?このリノベーション費用は全て支払い済だよ!」
ということであれば、それは業者が支払い不履行の手続きをしたタイミングとあなたが支払ったタイミングに入れ違いがあっただけですから、この場合は
「リーエン リリースフォーム」
という、然るべき支払いが済んでいることを証明する専用書式をもって、ゼネコンなり下請け業者なり、対象となる業者に記入をしてもらい、当局に提出することで解決できます。
反対に、あなたが実際に支払いを未だ完了していないのであれば問題です。
最悪の場合、罰則に基づいて支払いが増えている可能性もあり、日ごとに、あるいは月ごとにその追加額は増えていくものです。
その為、故意ではなく支払いを忘れていただけだったとしても、少しでも早くリーエンは解決しておく必要があるのです。
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