こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
度々寄せられるご質問の中に「学区」についてがあります。
当然、学区については不動産投資においては検討するべき大きな材料の一つです。
その一番の理由は学区と治安は比例する傾向にあることと、学区の良い場所と不動産物件価値の上昇率、また賃貸定着率は決して無関係ではないからです。
そしてアメリカでは日本以上に治安の良い地域とそうでない地域の区切りはハッキリとしてします。
例えば性犯罪者として逮捕歴のある人物はインターネット上でその人物が住む住所が公開されており、画面上でみると犯罪歴のある人物が暮らしている住宅上に印が確認できます。
よく見ると、その印が非常に多く固まっている地域もあるかと思えば、少し画面をズラしてみるとその印がほとんど消えていたりするのです。
そしてその境は市境である場合が多いもの。差別的意識をもって見るわけにはいかないものの、こと自分の不動産物件を所有するとすればやはり極力学区の良い場所に立地する物件を購入したいと考えるのは自然です。
それでは、学区のよい場所とそうでない場所はどのように判断するべきなのでしょうか。
また、学区のレベルはどの程度まで許容するべきなのでしょうか。
今日は、不動産投資において大切な検討事項の一つとなる学区について見ていきましょう。
学区を参考にできるサイト
まずは、あなたがアメリカの不動産物件を吟味する際に学区について吟味できるサイトをいくつかご紹介します。
不動産物件MLS
どのMLSにも良し悪しがありますが、私(佐藤)にとっては学区をざっと確認する上では上記2つが便利です。
総合評価サイト
学区とその評価についてさらに深くみたい場合はこれらを利用します。
とはいえこのレベルはそれこそその地域で暮らすことを視野に入れている、子供を持つ親御さんが深く調べる為によく使われるサイトです。
不動産物件を評価する上ではここまでのものは必要なく、前者のMLS程度で大丈夫だろうと思います。
そこであなたが投資用の不動産物件を見る場合は、まずは上記のようなMLSで必ず「School Rate(学区の評価)」も見るようにしましょう。
通常は評価が1~10の10段階評価になっています。
zillow.com
の場合は例えばメンフィス市場でBartlettと呼ばれる地域なら
このように表示されます。分かりやすいですね。
一方で
trulia.com
の場合は
このように学区がマップ上で確認出来、学区の範囲と合わせてみるのに大変便利です。
おおよそこれらのサイトを使えば学区の評価は分かりますので、実際に自分が投資しようとする物件がどの学区のレベルにあるのかがハッキリと分かるわけです。
学区はどのレベルまで許容するべきか
それでは、不動産投資として考えた時に学区はどのレベルまでを許容範囲とするべきでしょうか?
面白いことに、この点は日本人投資家とアメリカ人投資家(いわゆるアメリカ人と日本人)の間で明確な感覚の違いがあります。
日本人投資家の場合
日本人で不動産投資物件を求めてこられる方々は、事前に「アメリカの不動産投資物件は学区のよい立地を選ぶべき」という点をよく勉強しておられます。
ましてや日本から遠く離れた通常は現場でその物件を見ようにも見れない他国で物件を購入するわけですから、頼るべきは統計しかありませんので学区にも敏感になって当然です。
その為ほとんどの方々は「少しでも学区の良い地域を」という点を重視されます。
この姿勢は決して間違いではありませんし、そのようなニーズが多いことを考えて私(佐藤)自身も日本人投資家さんをご案内する場合にはその不動産市場の中でも比較的学区の良い場所を選ぶように心がけています。
その方がよりご安心頂けるためです。
アメリカ人投資家の場合
ところが面白いことに、アメリカ人投資家の場合はこと投資の観点になると必ずしも「少しでも学区の良い地域を」とは見ません。
10段階評価でいえば真ん中の5を下回る地域の物件を購入することも多く、評価2や3の地域にある物件を普通に購入するのです。
相対的に見れば日本人投資家の方々は少しでも高い学区にこだわり、アメリカ人投資家の方々はそれほど学区にはこだわっていない、このような傾向があります。
結局のところ、どこにその違いがあるのでしょうか。
私(佐藤)自身の観察では、アメリカ人投資家は得てして合理的に投資物件を選ぶ傾向があるように見受けられます。
すなわち、数字上でキャッシュフローパフォーマンスとしての結果が出せるか否かという視点です。
とりわけキャッシュフローの観点から数字上の結果が出せるのであれば
建物が結構古い
学区が良くない
等は気にしない傾向があります。
言い換えると最初は
3勝2敗
でもそれを
4勝2敗
5勝3敗
と、徐々に引き上げていく気負いともいえるかもしれません。
途中で家賃滞納が発生しようが賃貸不履行で退去命令の必要があろうが、そんなことは賃貸物件ではいくらでも発生しますので、それらのリスクを踏まえた上でも「前に進めればいい」という考え方です。
結果としてそれら滞納や退去命令は学区が悪いと必ず発生するというわけではありませんから、この点は賃貸契約の際にしっかりとしたスクリーニング(入居審査)を行うことでリスクを軽減し、むしろ安い物件を購入することで結果としてはキャッシュフロー成績が良くなる場合も多いわけです。
そのようなキャッシュフローパフォーマンスという結果に対して合理的に考えると、彼らにとっては必ずしも学区は最高レベルである必要はない、という考え方になります。
結果として、確かに学区の評価で言えば4や5のレベル、あるいはその下のレベルでも投資として十分に回るケースは多くありますし、私の知る日本人投資家さんの中でも評価が2や3の学区で複数購入されてぐいぐいキャッシュフローを高めておられる方々がいるのも事実です。
リスクをとるかとらないかの違いとも言えるかもしれませんが、私(佐藤)にはそもそも学区に対する日本人とアメリカ人の感覚の違いもあるように見えます。
日本人の感覚としては概ね「学区の良い地域への投資がいい」と思われる方が多いとは思いますし、私(佐藤)もそのあたりの心情をよく理解して投資家の皆さまが安心出来る地域にご案内していますが、少なくとも
学区が良い = キャッシュフローパフォーマンスが高い
と必ずしもイコールにはならないことは確かだろうと思います。
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