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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
ご存知のとおりアメリカ合衆国とメキシコの間に壁を建設する予算を巡り米国議会は揉めに揉め、今日まで米国政府機関の一部閉鎖が続いてきました。
そうしたところ1月25日の発表によるとトランプ大統領は政府機関を2月15日まで、3週間に渡り一時的に再開させるつなぎ予算案に署名するとのこと。
国家元首の決定が国の政策に影響を与えるのは当然ですが、私(佐藤)がアメリカに来てからここまで長期間に渡り政府機関が一時閉鎖されたことはありませんでした。
アメリカの不動産業界においてはその政府機関のトップは全国の不動産活動を統括する
HUD(United States Department of Housing and Urban Development:アメリカ合衆国住宅都市開発省)です。
米国政府が自国の不動産を統括する機関がHUDですが、現トランプ大統領の政策によりHUDの予算は減らされていました。
そのためにセクション8のような政府による家賃サポート制度にも制限がかかり、従来のような申込者を受け付けることは出来ずにいたのです。
そこにきて今回の政府機関一部閉鎖。
この影響は各方面に出始めていましたが、不動産業界に見えるやや深刻な影響の一つはUSDAローンの制限です。
今回の政府機関閉鎖による影響の一端として、今日はUSDAローンへの影響について取り上げてみます。
USDAローンに影を落とす
USDAとはUnited States Department of Agricultureの略で、アメリカ合衆国農務省のことです。
アメリカ国土で人々が生活する土地の種類を大別すると
Urban:住宅地
Rural:農牧地
の2つがあります。
前者のUrbanは日本語で「大都市の〜」とよく訳されていますが、アメリカ現地では大都市や地方都市にかかわらず
「住宅が固まっている地域」
というニュアンスで使われることが多いようです。
その住宅地の反対が農牧地のRuralということになりますが、
「UrbanとRuralでは、そこに居住する人々の所得はどちらが上か?」
となると論を待ちません。
農牧地で農業に従事くださる方々のお陰でアメリカ国内外の農作物も充実するわけですが、同時に所得としては決して高くないこれらの地域の方々を対象にUSDAローンが用意されているわけです。
いわゆる平均所得よりも低い世帯を対象とするUSDAローンを受けた場合、頭金は全くゼロで融資を受けることも可能になります。’
そしてこのUSDAローンの資金元はどこからくるのかと言えば、冒頭に触れたアメリカ不動産業界の総元締めであるHUDが予算を割り振るわけです。
ところが今回の政府一部閉鎖によりHUD内でも混乱が起こり、USDAローンが一時凍結になる事態に発展しています。
結果として、USDAローンに頼っていた法人・個人が大きく影響を受けているのです。
病院建設がピンチに
USDAローンは何も個人のみならず、条件が揃えば法人にも適用されます。
融資額そのものを言えば、
法人を対象とするUSDAローン
個人を対象とするUSDAローン
この2つを比較すると当然ながら対法人の方が金額が大きくなり、必然的に毎月の返済額も大きくなります。
病院の経営者の観点でいえば、病棟がRural地域にあるのであれば金利が低いUSDAローンを使わない手はありません。
そもそもこれら農牧地の病院は医者の数も多いわけではなく、運営資金そのものも決して余裕があるわけではないのが通常です。
そこで普通に金融機関から融資を受けて施設を建設・増築するとなると結構な利息を支払わねばならないところを、USDAローンを使用することで政府援助を受けてぐんと低い利息で済ませられることなります。
金利そのものは時期により変動がありますが、2%台で融資が引けることもしばしば。
通常の融資機関から用立てすると6 〜 7%になることもありますから、
「USDAローンを使えば5%は金利が低くなる」
というのが通説なのです。
例えばカンザス州のとある病院では、今回のUSDAローン凍結により建設がストップするのみならず融資返済計画に大打撃を受ける事態になっています。
ここでは農牧地のために周辺地域に散らばっていた病院施設を一箇所に集め、医療システムを集中化して効率を図るプロジェクトが進んでいました。
もともと資金が豊富な病院でありませんでしたが、建設費には多額の費用がかかるところをUSDAローンを適用することで乗り切る計画でした。
このような国家予算の使い方は理に叶うものですが、今回のUSDA ローン凍結で資金はたちまち枯渇し、工事が中断されています。
結果として返済金利は約5%のアップとなり、かつ工事を再開する際には改めて工事関係者を集める上で予定外の費用が更にかかることになります。
1月25日に発表された2月15日まで3週間のつなぎ予算では根本的な解決になるはずがなく、このプロジェクトは先行きが非常に暗い状況に陥っています。
最悪の場合この病院そのものが運営できなくなるとなると、地域の医療体制には大きな打撃となります。
そしてこのカンザス州のRural地域にある病院は氷山の一角。
メキシコ国境の壁建設の予算を巡りアメリカ国内では潤滑油を失った結果、あらゆる軋みが出始めているようです。
問題が無難に決着することを願いますが、現時点では不動産業界においてもその影響を注視し続ける必要があります。
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