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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨日は業績が良いのに自社ビルを売却してしまうパターンをご紹介しました。
「○○社、自社ビルを手放す」
このような見出しが記事に出ると、経営が立ち回らなくなったのだろうと誰もが思います。
実際にそのようなケースもあるわけですが、どう見ても業績が伸びている会社なのに自社ビルを売却してしまう場合もあるのです。
厳密にいえば、
「よし、ビジネスモデルが随分固まってきた。ここで多額の現金を調達して向う20~30年の成長に備えよう。」
このようなパターンです。その流れは概ね
1.自社ビルを所有し、実際に専有して本社(支社)として使っている
2.自社ビルを売却する
3.売却するけれども、同ビルに居座り続ける
4.自社が所有していたビルに対してリース代を支払い続ける
このようなものです。
「2」の時点で多額の現金を手に入れ、そして自分が所有していたビル(或いは占有していたフロアのみ)に対してリース料の支払いを開始するのです。
このようなパターンをSale-Leaseback(セールリースバック)といいます。
英単語を分割すると、
Sale:売る
Lease:リース
Back:戻す
すなわち、「売却するけれども、リースに切り替えて占有権を取り戻す(継続する)」という意味です。
今日は、成長過程にある企業が先の成長期を見越して行う戦略的なSale-Leaseback(セールリースバック)について、その利点を見ていきましょう。
正味資産を現金に換える
まずはここが一番の利点です。
自社ビルを所有しているときはそのビルは固定資産ですね。
商業物件を売却することでキャッシュをつくることになりますが、この固定資産に関わる負債を清算した正味資産がキャッシュに転換されるわけです。
一言でいえば、「潤沢なキャッシュを持つことになるが、物件にはそのまま居座り続ける」という状態になります。
厳密には、不動産資産をもってキャッシュをつくるにはこちらでもご紹介したような方法も考えられます。
建物そのものを担保にして、金融機関から融資を受けるパターンですね。
ところが、金融機関から融資を引く場合には商業銀行であれば通常はその時点の物件価値の70%~80%しか融資してくれないものです。
10憶円のビルだったとしても、7憶~8億分しか融資を受けられないことになります。
けれどもSale-Leaseback(セールリースバック)の場合は事情が違います。
この場合は純粋な売買ですから、物件価値の100%(厳密には売却時のキャピタルゲイン課税と売却費用はマイナス)のキャッシュが手に入ることになります。
商業銀行から融資を受けるよりも圧倒的にキャッシュボリュームが有利なわけです。
また商業銀行から融資を受ける際には
・申し込み料
・ポイント料
・不動産鑑定料
・弁護士料
等、融資を受ける手続きの時点で結構が飛んでしまいます(商業ビルの場合は余計に額が大きくなります)。
けれどもSale-Leaseback(セールリースバック)はいわゆる買主との取引ですから、契約期間中にクロージング後に支払いが開始されるリース契約に署名するだけで済みます。
また商業銀行のとのもう一つの違いはSale-Leaseback(セールリースバック)の場合は「更新オプション」がつくということです。
すなわちリース契約を更新するかどうかのオプションがつけられますから、安心して売却してその場所を占有し続けることが出来るわけです。
バランスシートを改善
そしてSale-Leaseback(セールリースバック)を行うことの利点は会社としてキャッシュを潤沢にするだけにはとどまりません。
自社ビルは不動産という名の固定資産ですから、バランスシート上は「固定資産」として計上されていますね。
ところが今度は自社ビルをキャッシュ化したわけですから、「固定資産」が「流動資産」に変化することになります。
またこのリースバックが「オペレーティングリース」として科目分けされると、買主(クロージング後の所有者)と交わしたリース契約は「負債」にはならず、通常はバランスシートの欄外に脚注として追加される扱いとなるだけなのです。
するとどうなるか。
結果として流動比率が上がる、もしくは同時に流動負債に対する流動資産の割合が高まるわけです。
そうすると融資機関から見るとバランスシート上は改善され、流動比率の上昇は「更なる短期借入金も可能」となり、自社ビルの売却に加えてさらに潤沢な資金を調達できる可能性が高くなります。
そして最後にこれはおまけですが、上記のような流れで負債が減ってくると「敵対的買収されにくい状態」になってきます。
・自社ビルを抱えている
・負債が大きい
・自社ビルの評価額が下がっている
アメリカではこのような状態が敵対的買収をされてしまいやすいと言われています。
けれどもSale-Leaseback(セールリースバック)を行うことで負債を大きく減らし、かつ「20~30年のリース契約がついている会社」などは縛りは買収側は嫌いますから、敵対的買収の予防にもなるわけです。
ちなみに売主(クロージング後の賃貸人)が支払うリース料そのものも経費として落とせることになりますね。
。。。
このように、会社の業績が良い時にこそ時期をみて自社ビルを売却するパターンがあります。
「売却はするけれどもリースバックすることで同じ場所に居座り続ける」
「同時に負債を減らしてバランスシートを改善し、金融機関から更に融資を引いてビジネス拡大に使えるキャッシュを潤沢にし、先の拡大に供える」
まさに「ビジネスモデルが確立され、方向性が絞られてきた」というタイミングで行われやすい自社ビルの売買方式ですね。
けれども、もちろんこのSale-Leaseback(セールリースバック)にも欠点はあります。
明日はSale-Leaseback(セールリースバック)の欠点について焦点を当てていきましょう。
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