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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
ここ数日、実例を基にケーススタディ形式でARM(Adjustable-Rate Mortgage:変動金利)についてお伝えしています。
カリフォルニア在住のM夫妻が$1.25ミリオンの物件を購入した時は
頭金:$225,000
融資額:約1ミリオン
融資形態:ARM 5.875%(最初の5年間は固定金利、6年目以降は毎年調整)
という条件でのスタートでした。
ところが物件購入の翌年、アメリカ不動産バブルの崩壊が始まりました。
そして予想に反して各金融機関は直後にARMの金利を下げる政策を実施し、混乱が広がらないように努めます。
けれども最初の5年間は5.875%の固定金利となっていたM夫妻はこの恩恵に預かることが出来ず、高めのARM金利で毎月$4,895を返済し続けることになりました。
その5年固定金利が終わって6年目。
M夫妻は不動産バブル崩壊の影響でさすがにそこからはARM金利が上がるだろうと予想していたのですが、良い意味でその期待は裏切られてARM金利は引き続き大きく下がりました。
毎年金利に調整がはいる中ある年は金利が3%を切る時期もあり、ミリオンハウスに対して月々の返済が$2,370のみという幸運にあやかったのです。
もともとイケイケの気質があるご主人は自分の見立てでARMを選んだことを誇らしく思い、不動産資産を増やす自分の腕前により自信をつけたのでした。
ところが、ARMによる変動金利ローンの返済が11年目に入った途端に状況は一変したのです。
ARM:10年目以降
ARMの変動金利ローン返済が11年目に入って最初の請求書が届いた日、M夫妻は請求書の額を見て青ざめてパニックになりました。
つい先月まで低い金利で返済を続けて楽勝だったのはもはや過去の話。
新しく金利調整が入った請求書にはなんと「$6,300」と書かれているではありませんか。
この$6,300は一ヶ月の返済額で、今のレートで日本円に換算すると約70万円にもなります。
毎月約70万円を返済していかねばならないという驚愕の事実に、楽観的なご主人も文字通り額に汗をかきました。
一時は$2,370の支払いで住んでいたはずが、なぜ$6,300にまで跳ね上がったのしょうか。
この返済額の急上昇には二つの理由がありました。
一つ目はARMの金利が跳ね上がり、11年目の金利は4.7%に上昇したことです。
ただし、よく考えてみると最初の5年間は5.875%の固定金利で返済額は4,895でした。
その時と比べると4.7%というずっと低い金利なのに、支払いは$6,300と$1,405も上昇しており計算が全く合いません。
実はここが二つ目の理由になりますが、それまでのM夫妻のローン返済額の内訳は「利息のみ」だったのです。
すなわち、通常の固定金利であれば30年間なら30年間で毎月の返済総額は固定される中、その内訳は
固定返済額 = 元金 + 利息(二つの割合は毎月変化)
で構成されています。
ところがM夫妻のARM契約では「最初の10年間は利息のみ返済」となっており、元金の返済が始まるのは11年目からになっていたのでした。
もともとご主人は10年以内の売却を視野に入れていた為に最初の10年間を利息返済のみとした経緯があります。
利息のみ返済することで毎月の返済額を抑え、物件価値も高まったところで売り抜ける計画でした。
けれども運悪く翌年から不動産バブルの崩壊が始まり物件価値が大きく下がった為、塩漬けになっていたのです。
結果として11年目の返済額からは元金返済が含まれることなり、毎月$6,300のうち約$3,000が元金の返済に当てられることになりました。
かくしてM夫妻の事情は一転し、約70万円の請求が毎月続くようになったのです。
そこでM夫妻は慌ててリファイナンスを検討しますが、二つの要素がリファイナンスを困難にさせました。
一つ目に先の不動産バブル崩壊の影響でM夫妻の物件価値が十分に戻っていなかったこと。
そして二つ目に、タイミングの悪いことにその少し前に融資元のリファイナンス条件が厳しくなっていたのです。
当時、M夫妻はそれぞれキャリアを変更してしばらく経っていた時期でした。
ご主人はスモールビジネスの所有権を手放したばかりで実質の無収入。妻はフリージャーナリストに転向していたために、個人事業者では安定した収入があるとは見なされない立場。
結果として、夫婦はリファイナンス出来る条件を満たしていなかったのです。
奇跡のリファイナンスが実現
ところが捨てる神あれば拾う神あり。
高額のローン返済にアップアップするM夫妻の元に、ウェルス・ファーゴ銀行から電話がかかってきました。
「Mさん、あなたのモーゲージ返済額は高すぎますよね?」
「今のタイミングでリファイナンスして、毎月の支払いを下げませんか?」
そんな、信じられないようなオファーの電話でした。
これにご主人は半信半疑で答えます。
「なんで銀行がわざわざリファイナンスの誘いをかけてくるんだ?そもそも我々はリファイナンス基準に満たないはずだが。」
銀行の担当者が説明するには、M夫妻はウェスルファーゴ銀行での過去の融資実績が非常に良く、末永く良好な関係を築く為にリファイナンスで支援したいというのです。
かつ、リファイナンスの手数料は最低額に抑えてくれるとのこと。
しかも更に説明を聞いたところ、M夫妻がリファイナンス出来る為の条件は「30年固定金利であること」というのです。
この条件はARMに辟易していたM夫妻には願ってもないオファーでした。
M夫妻はほぼ即答してリファイナンスを申請し、三ヶ月後には
30年固定金利4.121%
毎月の支払額$4,570
という好条件が提示されたのでした。
余談ですが、このリファイナンスの手続き中にウェルス・ファーゴ銀行のシステムがダウンしてしまい、そのお詫びしてM夫妻は$2,500分の元金減額も得ることができました。
。。。
ここ数日お伝えしてきたM夫妻の実例はARMの特徴を随所で明確に表しています。
低い金利を謳歌出来る時期もあれば、下り坂を転げ落ちるように負の連鎖が続く時期もある。
そしてそれがいつどちらに転ぶのか、全く先が読めないのがARMなのです。
事程左様に、ARMのファイナンス形態を使いたい場合は自分のニーズに見合うのかをよくよく検討する必要あるだろうと思います。
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