こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサル タントとして働く佐藤です。
アラバマ州ハンツビル市場についてお伝えしています。
いつもの如く不動産需要の三大要素、
人口
人口動態
賃金・雇用機会
の三つの切り口で市場を俯瞰しています。
昨日はハンツビルの人口変化を見ていきましたが、グラフをもう一度見てみましょう。

このように特異な変化が見受けられますが、この点は昨日お伝えした通りハンツビルの人口は軍需産業の参入と撤退に伴って変動してきた経緯があります。
今でこそ「航空宇宙産業」として知られるようになったハンツビルですが、1941年に化学兵器工場が建設されたことがきっかけとなり、軍需産業を中心に街が大きくなってきたのです。
そして現在は州の政策によりマツダ・トヨタの合併社やFacebookを上手に誘致、従来の軍需品に関連したテック産業も2000年以降はとりわけ盛んになり、上記の如く人口は増え続けています。
このような流れがある上で、30年後にハンツビルが廃れている可能性は極めて低いもの。
アメリカ南部地区の中でも中西部よりの奥まった田舎街のハンツビルですが、非常に手堅い産業により人口は着々と増え続けていくだろうことが分かります。
継続的な不動産需要を産み出す人口増加の意味では十分な合格点といえるのではないでしょうか。
今日は、人口動態の観点からハンツビル市場を見ていきましょう。
ハンツビルの人口動態
人口動態は人口の流入による増減のみならず、出生や死亡等を含む自然現象による人口増減も加味した統計となります。
ここでは加えて人口の多様性の観点からもみていきましょう。
まずは年齢別人口からです。
ネイティブと移民で分けられた統計でみてみます。
このようにハンツビル住人は約95%がネイティブで、移民は極めて少ないことが分かります。
平均年齢は
ネイティブ:38歳
移民系:43歳
となり、ネイティブの平均年齢は38歳ではあるものの全体の割合としては近年は
5歳 ~ 17歳
が最も多い年齢層である状態が続いており、若者が大多数を占める中でハイテック産業等の近代産業が盛んなことからも将来の継続的な発展に期待が持てます。
そこで今度はハンツビル住民を人種別に見ていきましょう。
このようにハンツビルの住民を人種別に見ると、案の定白人がほとんどであることが分かります。
1980年代の入植時には奴隷として連れてこられた方々が全人口の大多数を占めていたはずですが、1940年代から軍需産業集積地として切り替わった影響か、現在は全体に占めるアフリカンアメリカンの割合は20%ちょっとに留まっています。
それに続くのがヒスパニック系、そしてアジア系ですね。
2020年にマツダ・トヨタ合併工場が稼働し始めたらともすると赴任する技術者の為にアジア系の人口が一時的増加をみせるかもしれませんが、それでもヒスパニック系を超える割合にはならないだろうと予想します。
そしてもう一つ、興味深い統計を見ておきましょう。
1940年代以降に軍需産業が盛んになった街らしく、ハンツビルには退役軍人(Veteran:ベテラン)が数多く暮らしています。
その退役軍人の近年の割合を示すグラフがこちらです。
近年はハンツビル在住の退役軍人の中ではベトナム戦争従事者の割合が多くいました。
それがつい最近では2001年以降のアフガニスタン侵攻等に従事した退役軍人の方が増えています。
ベトナム戦争に従事した退役軍人方々はお年を召されて亡くなられる割合が近年多いだろうことは予想できます。
それでも1990年台の湾岸戦争に従事した退役軍人よりも、2000年初頭のアフガニスタン侵攻に従事した退役軍人の方が多いことは興味深いところです。
いずれにせよ、退役軍人の場合はあらゆる面で国からの補償プログラムが充実しており、また物件を購入するにしてもVAローンに至っては頭金ゼロも許される等の優遇ぶりです。
安定した引退生活を送っている退役軍人が比較的多い街だとしたら、そのことは不動産市場の安定にも一定の寄与があると思います。
このように人口動態を俯瞰していくと、ハンツビルは今も昔もほぼ白人社会であることが明確に分かってきます。
軍需産業から航空宇宙産業へと広がりを見せる中で、その立役者とマネジメントの中心は常に白人社会でした。
最近の新しいハイテック産業の盛り上がりにより外からどんどん人材の流入が続くとは思いますが、少なくとも近年の割合を見る限りでは白人が大多数を占める傾向は変わりません。
。。。
さしあたり、ここまでの
人口増加
人口動態(多様性を含む)
を総括すると、ハンツビルの将来性は高いことは間違いありません。
カリフォルニア州サンフランシスコ近辺やテキサス州ダラス近辺のように派手に盛り上がっているわけではありませんが、アラバマ州の政策が功を奏して南部の中にあっても非常に堅調な成長を保っていると言えるのではないでしょうか。
全米各地の歴史的な傾向と合わせて考えると、ハンツビルはこのまま
街の中で育つ若門を上手に地元に根付かせる
外から企業を誘致する
この二つをバランスよく進めることが出来れば、将来的には今よりも更に大きく街が発展しているかもしれません。
その将来の様相は、ここまでにご紹介した若者の割合と街に次々と根付く産業の傾向を見ることではっきりと読み取れるのです。
そこで、ハンツビルの「賃金・雇用機会」の詳細はどのようになっているのでしょうか。
明日は不動産需要三大要素の最後、賃金と雇用機会の観点からハンツビルを俯瞰していきましょう。
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