こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサル タントとして働く佐藤です。
昨日はバケーションハウスについてお伝えさせて頂きました。
典型的な一戸建てのバケーションハウスを自力で購入するとなると、まずは融資を引く段階で躓くことになります。
融資機関にしてみれば
・景気変動に影響され易い
・物件の使われ方が荒く修繕頻度が高くなる可能性
・固定資産税、保険等を含めるとランニングコストが高い
等を加味すると、バケーションハウス用の物件はリスクが高いと見られてしまうのです。
貸し倒れを避ける策を講じるのが融資機関の仕事ですから、当然ながら結果として
・高い頭金
・高い利率
を要求してくることになります。
もっぱら、それでも風光明媚な場所であれば一年を通してプラスで運用される物件も多くあるものですが、それでもバケーションハウスの場合は全体的に運用の難易度が高いことは間違いありません。
そこで今度はバケーションハウスを使う視点に立ってみましょう。
バケーションハウスの中でも人気の高い「タイムシェアリゾート」の場合はどうでしょうか。
日本でもタイムシェアリゾートはそれなりに知られていると思いますが、タイムシェアリゾートは分かりやすくいえば「リゾートホテルのオーナーになり使用権を得る」ことです。
このタイムシェアリゾートの場合は一戸建てを個人で所有するわけではなく、複数の他人同士がホテルリゾートを所有することになります。
もちろん施設そのものの運営に携われるわけではなく限定されたオーナーシップではありますが、オーナーだけが利用できるプライベート施設はそれなりに人気があるものです。
そしてこのタイムシェアリゾートが個人でバケーションハウスを所有する場合と根本的に違うのは「管理はリゾート施設側が行う」ということです。
オーナー同士が時間を別々にして一つの施設を共有することになりますが、実際のところタイムシェアリゾートはお買い得なのでしょうか。
今日は、物件所有の一つの形態であるタイムシェアリゾートについてお伝えさせて頂きます。
間違いなく利便性の高いタイムシェアリゾート

従来、タイムシェアリゾートの概念はホテル側のマーケティング手法として発展してきたものです。
通常のホテルは宿泊客を希望の日数だけ滞在させてその対価を頂くことになります。
リゾートホテルであれば通常は宿泊料金も割高になるものですが、そのリゾートホテルを完全なプライベート制にして、いつでも利用可能なオーナーシップを売りに出すわけです。
購入する側にしてみればリゾートホテルの使用権を所有することでいつでも利用できるわけですから、個人で購入すると一千万単位はするだろう権利を複数で所有することで格安に手に入れられることになります。
このタイムシェアの形態は実際に買い手にとってはオトクなのでしょうか。
実は、私(佐藤)は世界最大のタイムシェア企業「Club Wyndham(クラブ・ウィンダム)」から現地施設案内式の営業を受けたことがあります。
アメリカのそれですから、それは凄まじい狩猟型の営業でした。
最初はリアルターであることを隠していたのですが、話を聞きながら費用対効果を考えていた次第。
内覧の案内を受けながら、その良さは確かにあるなと感じたものです。
・世界150箇所以上の施設の使用権を得る
・ホテル利用と変わらない感覚
・けれどもホテルよりもかなり広い部屋の数々
・プールを始め各種エンターテイメント施設付属
・プライベートバルコニー付き
・キッチン付き
・洗濯機付き
と、リゾート地でホテル住まいをする感覚です。
バケーションにかかる費用は純粋な宿泊料金だけではありませんね。
アメリカであれば
・宿泊料金に含まれるリゾートフィー(1泊毎)
・高いレストラン料金
等に始り、有名なホテルでもレストランで食事を促すべくキッチンはおろか冷蔵庫すらない場合も多いものです。
そして平均的なアメリカ人は生涯にバケーションに費やす費用は宿泊代のみで$150,000を超えるという統計があります。
「それならばタイムシェアリゾートの権利を購入した方がお得ですよ」
というのが売り文句なわけです。
世界各国150箇所以上の施設でホテル暮らしが出来るのなら、それなりに高い頻度でバケーションに出かけるのであればお得感があるように感じてしまいます。
投資家は購入しないだろうタイムシェア

とはいえ、それではタイムシェアは買いかといえば、少なくとも私(佐藤)の感覚では数字的に割に合いません。
バケーションハウスを個人で購入する時のような銀行とのやり取りはなく、クラブ・ウィンダムであればウィンダムグループが融資を組んでくれることになります。
最初に提示されたのは
$250/週
です。
一ヶ月で約$1,000、一年で約$12,000の計算になりますね。
クラブ・ウィンダムは平均的には年間$19,000と言われていますので、かなり割安ではあります。
けれどもとてもバケーション先に年間$12,000を支払おうという気にはなれません。
そこから話を進め、佐藤の交渉術は割愛しますが次に出されたのは
現金一括 $79,000
でした。
そこから更に価格を下げ、最後は
現金一括 $49,000
です。
$49,000で世界150箇所以上を使えるクラブ・ウィンダムの権利を得られるのなら、、と一瞬心がグラッとしましたが(笑)、やはり購入には至りませんでした。
$49,000ならクラブ・ウィンダムの平均からすれば3年も払わない価格。
けれども、タイムシェアリゾートは結局のところ「お金を生まない資産」です。
$49,000だったとしても、それを8%で回したとしたら
$3,920($49,000 × 8%)
と、毎年$3,920のリターンになります。
税金を引いたとしても優に$3,000以上の旅行資金になると思うのです。
ましてや通常の価格で毎週クラブ・ウィンダムに支払っている人々は、投資の観点では大負けしていることになります。
そこに支払うお金があるのであれば投資に回した方がよほど年々楽になり、またバケーション時にも他のホテルを含めて選択肢が増えると思います。
。。。
酷評との誤解を受けないようにクラブ・ウィンダムを持ち上げて締めくくりますが、クラブ・ウィンダムの施設そのものは本当に素晴らしいと思います(お世辞抜きに)。
オーナーのみが使用できるプライベートに感たっぷりの場で、かつ全てが綺麗にきちんと整えられている中でのホテル暮らしです。
ただ、数字としては投資家の感覚ではとても納得出来ないというだけ。
タイムシェアリゾートという一見よく出来たコンセプトも、少なくとも投資家用ではないことは確かだろうと思います。
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