昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
12月20日に発表された900ビリオンの追加救済法案についてお伝えしています。
未だ続くコロナウイルス対策の一環として、アメリカ国会は年の瀬ギリギリに来年度の救済措置を決定しました。
議論の中心であったものは
二回目のStimulus Check(スティミュラス・チェック:景気刺激政策としての現金支給)
ですが、それのみならず昨日お伝えしたパンデミック失業手当やその他の分野にも触れる法案が可決されています。
これにより現状をしのぎ、コロナウイルスを乗り越えていこうとする米国としての政策です。
そこで本年を締めくくるにあたり、当ブログでは今回発表された追加救済案の中でも特にアメリカ不動産市場に大きな影響を及ぼすだろう事項にのみ焦点を当ててお伝えしています。
これらのポイントをしっかり押さえて、来年のアメリカ不動産市場に飛び込んでいきましょう。
本日も続けます。
Paycheck Protection Program (PPP:給与保護プログラム)
本年3月にコロナウイルスの拡大が始まり、失業者が一気に増える中でスティミュラス・チェックと同時に大きな注目を集めたのが
Paycheck Protection Program (PPP:給与保護プログラム)
です。
本年はコロナウイルスによるロックダウンの中、数多くのビジネスが一時停止を強いられることになりました。
「経済を回す」とは文字通り、世の人々の生産活動と消費活動の双方によりお金が世の中をグルグル回る状態を言います。
けれどもビジネスが止まるということは
「生産活動が止まる」
ということであり、同時に今回は自宅待機命令により
「消費活動がほぼ止まる」
という現象が起きました。
この状況下では真っ先に懸念されるのが「突然解雇」です。
人件費は基本固定費ですから企業としては生産活動ができない以上、生き残るためには人件費の削減に踏み込まざるを得ないことになります。
けれどもその結果は当然、失業者の大量増加に即つながることになるのです。
そこで米国政府は給与保護プログラムを設け、条件を満たす企業が参加できる政策を打ち出しました。
最初に行われた給与保護プログラムの条件としては融資額の最低60%を人件費(従業員の給与)関連に使うことで、後に申請をすることにより
「返済は不要」
となる大盤振る舞いです。
この給与保護プログラムに申し込みが殺到し、その効果あって急場をしのいだビジネスは数多くありました。
そして今月の20日に可決された追加救済法案には、この給与保護プログラムであるPPPも再度盛り込まれています。
今回の融資上限は$25,000と前回よりは少ないものの、それでも多くの従業員が失業から免れる結果になることが期待されています。
Rental Assistance Programs(賃貸支援プログラム)
そして不動産市場にとっても非常に重要なプログラム、
Rental Assistance Programs(賃貸支援プログラム)
も今回可決された法案に含まれています。
今回の賃貸支援プログラムは
25ビリオン(約2.5兆円)の予算で2022年9月30日まで
という巨額の予算です。
厳密にはこの手の賃貸支援プログラムは以前から存在しており、本年はコロナウイルスの影響を背景に救済措置として緊急の支援体制が敷かれていました。
また賃貸支援プログラムは連邦政府のみならず、各州においてもそれぞれ独自の賃貸支援プログラムが存在しています。
ここは現在投資物件を所有されている方々には朗報ですが、今回の賃貸支援プログラムはテナントのみならず、管理会社が代理で申請することも許されています。
そしてその支援金用途は家賃のみならず、水道光熱費に充てることも許可されるのです。
もしもアメリカで所有されている物件のテナントが家賃支払いが滞る場合、本プログラムの適用を検討してもよいかもしれません。
詳細は各州により条件が全く違いますので、ご自身の物件に適用する場合は州の細かい規定をよくご確認ください。
Eviction Moratorium(エヴィクション・モラトリアム:強制退去の禁止)
ここは予想通りでしたが、案の定、賃貸物件のオーナーにテナントの強制退去を禁ずる
Eviction Moratorium(エヴィクション・モラトリアム)
も延長されることになりました。
本来は明日の2020年12月31日にエヴィクション・モラトリアムは期限切れとなり、翌日からはオーナーには強制退去が許可されることとなるはずでした。
この点は当ブログでも何度かとりあげましたが、もしも延長がなされないのであれば来年初頭から一気に強制退去の数が増え、百万単位の人々が住む場所を失う可能性がありました。
実際には強制退去により住を失う人々はどこかに暮らさねばなりませんから、多くの場合は家族や友人の家に一時的に身を寄せるパターンが多いだろうと思います。
今回はエヴィクション・モラトリアムが延長となり、年明けから強制退去が一気に始まる、という最悪のシナリオは避けられることになりそうです。
とはいえその延長は2021年1月下旬までと、期限が1カ月延長されたに過ぎません(*厳密にはモラトリアムの期限日は州により違いがあります)。
今月は延長により安心して年を越せるにしても、来月には同じ結果となります。
またこのような救済措置も必要である一方で、エヴィクション・モラトリアムで何の得もないのは物件オーナーです。
前述の賃貸支援プログラムと合わせることで家賃を滞納するテナントを抱えるオーナーは政府支援を受けられる可能性がありますから、いずれにせよ州政府の方針をよく確認されるとよいと思います。
。。。
昨日から12月20日に発表された追加救済法案の中でも不動産市場に大きく関わる項目に的を絞ってお伝えしました。
結果としてどれほどの効果があるのかは来年以降の話ですが、今回の追加法案の内容をよく把握しながら来年2021年の不動産市場へと歩を進めていきましょう。
そして年を越える前に最後、もう一つ確認しておきたいのは
Mortgage Forbearance(モーゲージ・フォーベアランス)
の最新情報です。
モーゲージ支払いの滞納を延滞料金なしに認めるモーゲージ・フォーベアランスはどのようになっているのでしょうか。
不動産市場の供給を一気に増加させ不動産価格の下落に作用し兼ねないモーゲージ・フォーベアランスの最新情報を確認して、本年を締めくくりましょう。
明日に続けます。
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