昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
少し前の項で本年の不動産投資を検討するにあたり、アメリカ経済で今現在起こっていることについて触れていました。
アメリカ合衆国連邦政府は1776年に歴史をスタートさせており連邦政府のバランスシート(貸借対照表)はその当時から記録されていますが、その245年の歴史の中でFED(連邦準備制度)の資産は少しずつ増え続けていました。
近年の打ち明けを見ると、その資産総額は2007年8月の時点で$1=100円換算で87兆円台です。
ところがその直後にサブプライムローン問題が引き金となって2008年9月のリーマンショックが起こり、引き続いて世界金融危機の中で取られた量的緩和政策の結果、FED(連邦準備制度)の資産は初めて100兆円台に突入しています。
ポイントは連邦政府の始動から232年後に100兆円台に乗った、ということです。
当時もゼロ金利を始め量的緩和政策がとられ、かつ民間企業を公的資金で救済する形でドル紙幣がどんどん刷られた結果、FED(連邦準備制度)の資産が一気に100兆円台に乗ったことになります。
その後もFED(連邦準備制度)の資産は徐々に増え続け、昨年のパンデミック直前には400兆円台にまで上昇しています。
けれども昨年の一年間だけでこの資産が一気に700兆円台に突入したわけです。
結果として245年の歴史の中で間近の過去12年間だけで
87兆円 ⇒ 740兆円
と急激にFED(連邦準備制度)の資産が増えたことになります。
そして今のアメリカ不動産市場で見抜いておきたいのは
上から … ゼロ金利政策によるモーゲージ金利の低下(2%台という空前の低金利)
下から … セカンダリーマーケットで不動産担保債権の買い取りによる資金の注入
というサンドイッチによる「FED(連邦準備制度)に演出された不動産市場」の構図です。
先日はこのあたりの流れを要約してお伝えしていたところ、かなりの反響を頂戴しました。
加えて将来に向けてインフレが続く中で
「貯蓄が負債になる」
という趣旨でお伝えしていたところ、こちらも不動産ネタと同等、もしくは今の時期に至ってはそれ以上に関心をお持ちいただいたようです。
警鐘乱打というには当ブログの力は小さすぎますが、このあたりは気づいた時点で自分の将来は自分で準備をしていくべきですし、実際に残された時間はそう多くはないように思います。
煽り記事の論調にはならないように気をつけているつもりですが、現実に事は尋常ではないことは誰の目にも明らかです。
このFED(連邦準備制度)のバランスシート(貸借対照表)の不健全さは日本でも報道され始めると予想しますが、先日は非常に大きな反響をいただいたおり不動産市場につなげて項を上げておきたいと思います。
実体経済との乖離が拡がり続ける
とどのつまり、今のアメリカ経済の好調さはフェイクであることは間違いないと思います。
未だに失業者も多く、本年はここからしばらく厳しさが続くことはパウエル議長の公表しているとおりです。
賃貸物件に至っては本日の時点でなんと5件に1件は家賃の未払いが発生しており、エヴィクション・モラトリアム(強制退去の禁止)がなければ多くの人々がすでに退去を余儀なくされています。
それでも
米国株式市場は上がり
不動産市場も盛況が続く
というのはあまりにも不自然な構図です。
これは紛れもなくFED(連邦準備制度)が劇薬を注入し続けていることに真因があると思います。
例えはよくありませんが、現状は薬物を注入していることと同じようなものです。
経済全体を元気にさせ続けるために薬を打ち、その結果として経済はハイになります。
けれども経済がハイでいられるのは薬が効いている時だけです。
今まさに
Stimulus Check(スティミュラス・チェック:景気刺激政策としての現金支給)
Paycheck Protection Program (PPP:給与保護プログラム)
を始め各種の薬がどんどん注射されています。
けれどもその薬は永続するわけではありませんから、その薬が切れる前に追加で注射を打ち続けているようなものです。
これを続けると人と同じで経済も薬なしにはハイな状態を保てない体質になりかねません。
実体経済の観点では「自由経済」の姿がどんどん失われ、助ければ助けるほど免疫が失われるごとく経済の底力が失われていきます。
その証拠に2007年以降にFED(連邦準備制度)の資産は100兆円台に入ってから数年で400兆円台にまで上昇し、そこから金融危機以前の状態に戻せないままで進んでいたのです。
今回のパンデミックがそこに輪をかけて、実体経済はボロボロなのに株価や不動産価格は上昇していくという不健全な状態の中で市場と実体経済の乖離はどんどん大きくなっています。
たった私達が見ているアメリカ経済のそれは
「失業者や生活苦の人々が増えるほど、数字上の経済は良くなっていく」
という誠に可笑しな話。
薬を注射をし続けることが不健全であることはエリート集団であるはずのFED(連邦準備制度)の政策制定者たちは百も千も承知のはずです。
ここは佐藤の個人的な見解になりますが、恐らくFED(連邦準備制度)が最も恐れているのは
「デリバティブの暴落」
ではないでしょうか。
この点は深い言及は避けておきますが、いずれにせよ現代の金融資本主義そのものがコロナウイルスをきっかけとしてクライマックスに入り始めたと言っても過言ではないのかもしれません。
そこで現状を踏まえ、アメリカ不動産市場においてはどのような視点でどこに注目しておくべきでしょうか。
現在の不動産市場の動きを踏まえたうえで、アメリカ不動産投資に期待できる点を確認しておきましょう。
明日に続けます。
投資案件をメールマガジンで無料購読。
下記よりメールアドレスをご登録ください。