昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカ国内にお住まいの方々から頂戴するご質問を紹介するこのシリーズ。
今回は日本にお住まいの方々にも参考になると思われるケースで締めくくりたいと思います。
日米を問わずに不動産投資を志す方々が関心を寄せられることの一つに
「Fixer-upper(フィクサーアッパー)案件」
があります。フィクサーアッパーについては
フィクサーアッパー(fixer-upper)を購入する4つの理由
でも詳細をお伝えしていますが、一言で言えば
「修繕が必要なボロ物件を安く購入して価値を高める」
ことであり、元々のフィクサーアッパーは修繕後に自分が暮らすことを前提とした言葉です。
古い物件を修繕(フィクサー)してピカピカきれいに仕上げて価値を高め(アッパー)、価値を高めた物件に自分が暮らすわけです。
理論値としては
1.購入価格
2.修繕価格
3.修繕後の価値
の因数で見ると
修繕後のエクイティ = 3- (1 + 2)
となり、修繕後たちまち含み益(エクイティ)が出ることになります。
ちなみに自分が暮らさずに修繕後にすぐに市場に出して売却するパターンは「フリップ」と呼ばれ、それを生業(なりわい)とする専門会社・個人投資家のことを「フリッパー」と呼びます。
個人的な意見を言えば
- フィクサーアッパー
- フリップ
のどちらが良いかといえば、資産形成という観点からは前者のフィクサーアッパーの方が有利だろうと思います。
もちろん遠隔投資の場合は自分が暮らすことは無理ですから、ここでは価値を高めて賃貸市場に出す方が有利という意味です。
以前、アメリカのデベロッパーから相談を受けた際に彼が
「開発も面白いのですが、売ったらそこで(収入が)終わりなんですよね」
とこぼしていましたが、これは言い得て妙です。
確かに一千万、一億円単位の売買となると稼ぎも大きいのは事実ですが、そのような案件を毎月のように仕掛けられることはないでしょうし、かつ開発事業としては多少時間がかかってでもホームランを打ち続けなくてはならないわけで、これはある意味自転車操業に近いもので
「開発し続けないと収入が止まる」
ことは紛れもない事実です。
そしてこれとは対象的にアリゾナ州のとあるデベロッパーは今でも新築アパートのプロジェクトを進めていますが、彼の場合は
「売らずに法人で所有する」
というスタンスです。
この場合は完成後も手放さずに家賃収入が入り続けることになりますから、売り切りの販売とは違って商売そのものが年々安定してくることになります。
。。。
イメージを掴むべく大きなプロジェクトで例を出しましたが、これは個人投資家の場合でも同じことです。
フィクサーアッパー … 修繕したら保有(自分が暮らさない場合は家賃収入)
フリップ … 修繕したら売却(売却したら利益はそこで終わり)
どちらを選ぶかは自分が不動産投資に求める目的により違いがあって然るべきですが、
「何があっても潰れない(潰れようがない)経営基盤」
の構築を継続している私(佐藤)としては、やはり
「自分がかけた時間が形として残り続け、恒久的に価値をもたらし続けてくれる」
と言える前者の方が肌に合うのです。
本当に価値は上がるのか?
そこで前置きが長くなりましたが、米国内で不動産投資を検討される方々から
- フィクサーアッパー
- フリップ
の双方についてご質問を多々頂戴しますが、割合として多いのは前者を好む方です。
すなわちこの場合は自分が暮らすというよりも、
「古い物件を修繕してピカピカにしてそのまま保持」
というパターンになりますが、前述のように私自身も修繕後にそのまま保有する方法を好みます。
いかんせん、冒頭の
修繕後のエクイティ = 3- (1 + 2)
この式で修繕直後にもたらされるエクイティだけ資産が増えることになり、しかもここは何もないところから魔法のように生み出された資産です。
この無から生まれたエクイティと同時にピカピカに仕上げた物件にテナントを入れることで、家賃収入も発生してくることとなります。
。。。
そんなフィクサーアッパーですが、ここでよく頂戴する質問に
実際に修繕をすることで価値が上げられるのでしょうか?
という修繕後の価値に関する質問があります。
ボロの物件を購入して修繕費をかけてはみたものの、もしも想定どおりに価値が上がらなければ果たして良い買い物であったのかは疑問が残ります。
ましてや仕上げた物件にテナントを入れて家賃収入を入れるのならまだしも、完了後に売却を検討していた場合は物件価値が上げられなければ損をすることにもなりかねません。
そこで古い物件を購入して修繕した場合、その後に価値は確実に上がるのでしょうか?
答えをいえば、「Urban area(アーバンエリア:居住物件が並ぶ地域)」の中であれば、修繕後に価値が上がらない理由はほぼありません。
なぜならば、住居物件に限っては本質的に物件価値は
「売主が決めている」
からです。
すなわち
売主「この物件をこの価格でいかが?」
買主「ちょっと高いですよね。これぐらい値下げなら。」
売主「それは下げ過ぎだけれども、これくらいなら。」
買主「分かりました。そこで手打ちとしましょう。(← ここ)」
この最終的に買主が合意した価格が売却価格となり、
「この物件価値は$◯◯◯◯◯だ。」
と物件価値が定まるわけです。
そうすると買主目線で
- 修繕前のボロな物件
- 修繕後のピカピカの物件
この2つを比較した時に、同じ買主は同じ金額を出すでしょうか?
もちろん答えは「出さない」ですし、後者の方に高く出すに決まっています。
しかも修繕したてのピカピカ物件の場合は、周囲の同種物件と比較した時の平均価格で売却価格を定める必要は全くありません。
この点は購入してから修繕後、売却するタイミングでの不動産市場の状況にも左右されることになりますが、よほど落ち目の市場や暴落時のど真ん中でない限りはフリップ物件は平均価格よりも高値で買い手がつくものなのです。
そこでこのことをより具体的に、実例を使ったケーススタディでみていきましょう。
ちょどこのタイミングで過去に
【ケーススタディ】価値の高い2ベッドルームでフリップしてみる
こちらでご紹介した物件に(佐藤にとって)悔やまれる結果が出てきましたので、佐藤の敗北宣言としてお伝えしていきたいと思います。
明日に続けます。
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