こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
来たるインフレの時期を見据え、自分インフレ戦略と称して
「30年固定金利でキャッシュフローが潤沢な物件を購入する」
という手法をご紹介しています。
アメリカ不動産市場において期待できるリターンとして
- キャピタルゲイン
- キャッシュフロー
と大別した時に、全体の平均としては
「アメリカ不動産市場でキャピタルゲインを狙う時代は終わった」
「先のインフレを踏まえるとキャッシュフロー重視の方が有利」
と言えると思います。
もちろんここで言うのはあくまでも平均的な話で、
テキサス州オースティン市
アリゾナ州フェニックス市
アイダホ州ボイシ市
のように異次元のレベルでキャピタルゲイン市場のそれを今でも体現している地域市場はアメリカ国内に点在しています。
けれどもこれら一部の地域市場以外はキャピタルゲインを狙えるように見えても
- 人口減少が著しい
- 債務不履行の割合が高い
等の隠れたリスクがあるものです。
コロナウイルスが終息した後には新しいステージを迎えるだろう地域市場も存在するものの、少なくともアメリカで不動産物件をポートフォリオに組み込む上ではキャッシュフロー市場も押さえておいた方が無難だと思います。
そこで昨日はインフレ対策としての手法が通じにくい市場として
シアトル
ポートランド
サンフランシスコ
ロサンゼルス
を例にあげましたが、
- 価格が高すぎる
- 低金利でも返済にリスクがつきまとう
に加えて、
これらの地域市場では
- 自治体の縛りがきつい
という懸念事項もあります。
原則としてアメリカの不動産はその物件が所属するCounty (郡)で取りまとめられており、固定資産税もCounty (郡)に集められることになります。
つまりは
「County (郡)独自の規制が不動産物件取得は税金に影響する」
ことになるのです。
またサンフランシスコのような物件が高額な地域では税制が不利に働くことになり、結果としてベイエリアでのインフレ対策は困難になるものです。
それでは自分インフレ戦略が最も有効に働くのはアメリカのどこの地域市場なのでしょうか。
本シリーズの最後に、インフレ対策に有利な地域市場について見ていきましょう。
自分インフレ戦略が最も効果を発揮する市場

結論から言えば、本シリーズでお伝えしてきた
「30年固定金利でキャッシュフローが潤沢な物件を購入する」
という概念が最も有効に働くのは
カンザスシティ(カンザス州)
ナッシュビル(テネシー州)
リトルロック(アーカンソー州)
等の内陸の地域です。
これらの中西部地区は不動産投資の観点では
「キャッシュフロー市場」
であり、このような地域の物件を購入しておくと本シリーズでお伝えしてきた手法がピシャリとハマることになります。
その理由はこれらの地域では
1 物件価格が安い
2 ローン返済金額がコントロールし易い
3 不動産資産に対する規制が少ない
という点があげられます。
押し並べてこれらの中西部地区では歴史的にみても物件価格は安いものです。
もちろんインフレによりこれらの地域でも物件価格は変動していきますが、それでもインフレ調整後の価格推移を見るとこれらの地域では歴史的にも実に安価な推移に落ち着いているのです。
このような価格変化が緩やかな場所は人口も緩やかに上昇してきた証拠でもあります。
そして不動産需要の要素として人口増加は必須ですが、これらの地域の緩い増加率がキャッシュフロー市場にとっては有利なのです。
例えばリトルロック市の人口の変化をみてみましょう。

リトルロックの人口増加は元々緩やかですが、近年は輪をかけて人口増加が緩やかになっていることが分かります。
このような内陸の地方都市では人口増加率の意味では派手さはありませんが、この地味さこそが私たちが注目するべき点です。
かつ、物件価格が安いということは当然ながら毎月のローン返済総額も少ないことになります。
例えば$120,000の物件に20%の頭金となる$24,000を頭金とした場合、借り入れは
$96,000($120,000 - $24,000)
であり、

このように$486.42と、昨日ご紹介したサンフランシスコのパターンと比べると1/10とは言わずとも圧倒的な差が出てくることになります。
→ 毎月$4,000台の返済額に責任を持つ自分
→ 毎月$400台の返済額に責任を持つ自分
同じ自分でもいざ家賃収入が途絶えた時にどちらが負担が軽いのかは語るまでもないところです。
そしてこの負担の少なさが、インフレが進めば進むほど自分の手元に残るキャッシュの購買力を保たせてくれることになります。
またこれらの中西部の場合は自治体からの規制は極めて少なく、誰もが投資し易い環境にあります。
難点としてはアメリカ国内に暮らす人々でもこれら内陸の地域を頻繁に訪れることができない点があげられますが、事前に信頼できる管理会社と提携してさえいれば問題はありません。
可能であれば一度でも自分で足を運んで、地元不動産管理会社の担当者に
- 投資に適した地域
- 投資に適さない地域
を教えてもらい、雰囲気を掴んだらあとは日頃の管理は任せるだけで良いと思います。
生活者目線ではリトルロック市の場合、今でも2ベッドルームが$600台ですので非常に安い賃貸料です。
このような無理のない賃料のおかげでテナントも安定しやすく、じわじわと人口が増えることからも下手に物件価格が跳ね上がらずに運用そのものが安定する傾向があります。
。。。
数日に亘り自分インフレ戦略として、先に予想されるインフレの中でも利益を出し続ける手法についてお伝えしました。
不動産投資にもまた絶対解はないものですが、少なくともアメリカで不動産投資を試みるのであればリスクヘッジの一つとしてインフレを意識したポートフォリオも組んでみてはいかがでしょうか。
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