昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
不動産事業において能動的に動いてリターンを最大化させる手法についてお伝えしています。
Add Value(アドバリュー)そのものは同じ物件区分内で純粋に内装(時に外装も)をアップグレードすることで価値を高めていく手法です。
- 内装の新しさ
- 機能性のある素材と仕上がり
等で整えられた空間で暮らすことには当然「(賃貸物件相応の)プレミア感」が付きますから、その家賃は少なくともアップグレード以前の家賃よりも高くなって然るべきです。
そしてこの値上げされた家賃がもたらす価値はアパート物件の場合
- キャッシュフローの向上
- 物件価値の向上
の双方をもたらしてくれることになります。
これに対し、物件を今度は横に展開することで利益を更に高めていく手法があります。
ここで言う横に展開するとは
「物件の用途を変更する」
ことです。
「アパート物件からコンドミニアム物件に転換する」
この物件の用途そのものの変更は時間と費用のかかる大掛かりなプロジェクトにはなりますが、その結果はそれまでの苦労を十分に慰めてくれるものです。
そこでコンドミニアムに転換する場合、どれくらいの利益が見込めるものなのでしょうか。
本稿ではアパート物件からコンドミニアム物件に転換するパターンについて、最初に結果の数字から見ていきましょう。
本日も続けます。
最初から利益は見えている
当然ながら、Change of property type(物件種類の変更)を実行する上では
「どれくらいの利益を見込めるのか」
を最初に検証する必要があります。
もちろん一戸建てへの投資でも数字の検証は必須ですが、少なくとも一戸建て物件を所有する目的が
- キャッシュフローを入れたい
- バイ・アンド・ホールドで長期保有したい
ということであれば、打ち明けた話し「数字の細部」まではこだわる必要はないと思います(あくまで佐藤個人のスタイルです)。
取引でも数千ドル単位の差で値切り過ぎてディールを失ってしまうよりも、そのあたりは誤差として受け入れて長期にエクイティと売却利益で取り返せるものです。
これに対し、Change of property type(物件種類の変更)による利益を考えるのであれば物件を購入する段階から用途変更が可能な物件を選ぶ必要がありますし、かつ
「用途変更後の売却利益がどうなるかは最初から知っている」
必要があります。
そこで順番は前後しますが、まずは
「この物件は用途変更が可能(行政規約と区画定義をクリアしている)」
という前提で数字の目安を見てみましょう。
ここでも前回と同様に6戸のアパート物件のパターンで実際の数字に近いものを並べてみます。
物件取得費用 | $740,000.00 |
ソフトコスト | $77,000.00 |
ハードコスト | $900,000.00 |
ファイナンシング | $110,000.00 |
投資合計(a) | $1,827,000.00 |
ユニット1販売価格 | $560,000.00 |
ユニット2販売価格 | $540,000.00 |
ユニット3販売価格 | $520,000.00 |
ユニット4販売価格 | $530,000.00 |
ユニット5販売価格 | $520,000.00 |
ユニット6販売価格 | $540,000.00 |
販売合計額(b) | $3,210,000.00 |
クロージングコスト合計(c) | $64,000.00 |
コミッション合計(a) | $192,000.00 |
利益(b - a - c - d) | $1,127,000.00 |
ROI(利益 / 投資合計) | 61.7% |
まずは費用ですが、最初の開発段階では
取得 ⇛ 用途変更(アパートからコンドミニアムに)
の段階で総額$1,827,000.00を費やしています。
項目は
- 物件取得費用
- ソフトコスト
- ハードコスト
- ファイナンシング
の4つです。
物件取得費用
まず物件取得費用ですが、ここは物件価格そのものではなく
「物件を取得するのに必要としたコスト」
です。例えば
- 事前調査費用
- 物件リサーチ費用
- 頭金
- クロージングコスト
等がここに含まれます。
物件価格そのものはミリオン単位ですが、この物件取得費用は純粋に「開発に投下した費用」です。
ソフトコスト
ソフトコストとは物件の現物そのものではない、けれども用途変更に必須な間接的なコストです。例えば
設計(士を雇う費用)
エンジニアリング(用途変更にあたる土地の検証費用)
許可書(役所から取得するべき各種許可)
税金(購入から売却までの期間の固定資産税)
保険(購入から売却までの保険)
等がここに相当します。
ハードコスト
これに対しハードコストとは物件そのものに影響する直接的なコストのです。
外装工事
内装工事
資材
工賃
等がここに含まれます。
ファイナンシング
そしてファイナンシングコストには
オリジネーションフィー(手数料のようなもの)
不動産鑑定料
利息準備金(通常は10%程度)
が含まれることになります。
厳密には購入費用のみならず
ソフトコスト
ハードコスト
の双方を賄う上では複数の金融機関に融資を依頼する場合もあり、結果として費やした投じた総額は
投資合計 $1,827,000.00
で、この例では日本円にして約2億円の投資です。
6戸のパターンでもこの金額を投じることになりますので、Change of property type(物件種類の変更)で利益を得る手法は少なくとも個人では出来ないレベルであることが分かります。
それでは個人は全く参加出来ないかといえばそんなことはありません。
デベロッパーとしても開発費用の約2億円全てを金融機関からの融資に頼ることはなく、同時に
「投資家から資金を集める」
ことでプロジェクトをスタートさせるわけです(自己資金はほとんど使わない)。
そこでデベロッパーとしては投資家から資金を集める上では尚更、期待できるリターンに購入前から目算がついている必要があるのです。
明日に続けます。
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