こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカ不動産投資のファイナンシングについてお伝えしています。
昨日まで
- 投資に有利な金融機関
- Pre-Approval(プリ・アプルーバル)の必要性
- 誰に仕事を依頼するか
の3点についてお伝えしてきました。
最後の方で触れた
⇛ 優秀なエージェントを探す
⇛ 優秀なレンダーを探す
これはどちらが先でも良いのですが、今の時代に優秀な仕事ぶりを発揮する人材を探すのは難しくありません。
zillow.com等のMLSサイト
yelp.com等の紹介サイト
等をたどってその評価を中心に選び、後は本人とやり取りをして感触を掴みます。
初回の問い合わせで24時間以内に返信が来なければアウトですが、返信も早く第三者の評価がしっかりしていればそう外すことはないと思います。
そしてこちらが本気かつ一回でも購入実績をつくると、その後も折に触れて良質な情報をくれるようになるものです。
この手の
優秀なエージェント
優秀なレンダー
を全米各地の自分が狙いを定める各地域市場に抱えると、将来に向けた自分基金の構築にはかなり有利になると思います。
本日も続けます。
どの名義で申し込むか
そこで実際に不動産物件に対しファイナンシングを行う前に、もう一つ検討しておくべきテーマがあります。
それは
「法人名義にするべきか、或いは個人名義にするべきか」
という点です。
アメリカでの不動産投資が誰にとっても有利なる理由の一つに、「米国籍でなくとも米国内に法人が立てられる」という点が挙げられます。
この点は自分基金の構築方針にもよりますが、日本で暮らしながらも米国内に法人を設立する方々は数多くいます。
法人の必要性については
でも論じたところですが、法人は法の盾として有効である一方でもちろん個人名義による取得であっても損害賠償をしっかりと効かせることでも安心な運用は出来ます。
そこでいずれにせよ物件の所有名義は
- 法人名
- 個人名
の2種類があることになりますが、融資を申し込む上では
「法人名義で申し込む」
と
「個人名義で申し込む」
には違いがありますので、この違いについては事前に把握しておきましょう。
法人名義と個人名義で違うのは下記のようなポイントです。
個人用か商用か
融資を請け負う金融機関の目線から見た時、その申込者への対応に明らかな違いが出るのは
法人 ⇛ 商用扱い
個人 ⇛ 個人扱い
とすることです。
このことは考えてみれば当然のことですが、例えば自分が勤める会社が
「会社名義で購入した」
となれば、当然その物件は商用と扱われて然るべきであり、会社として購入するのであればどう考えても
「個人の用途です」
では話が通りません。
そしてまさにここがポイントですが、ここの理解を深めておくと
商用扱いとなる = ファイナンシングも商用枠となる
という理屈になります。
すなわち、これを「物件の種類」という視点で見るとアメリカの不動産法では
1〜4戸 ⇛ 住居用物件
5戸以上 ⇛ 商業用物件
と定義されています。
これに伴い、一般的には物件価値の査定も
1〜4戸 ⇛ 比較接近法(間近に売買された近所の類似物件価値と比較)
5戸以上 ⇛ 収益性接近法(その物件がどれだけ稼げるかを査定)
が原則です。
ところがアメリカ不動産ファイナンシングの場合は
商業用ファイナンシング
個人用ファイナンシング
の定義そのものが前述の物件の定義とは違いがあり、各金融機関が見るファイナンシングの定義はあくまでも
法人名義 ⇛ 商業用ファイナンシング
個人名義 ⇛ 個人用ファイナンシング
です。
ということは、
「法人名義で1戸建てを購入するが、融資を引いて購入する」
このパターンでは金融機関としては
「1戸建て物件でも商業用のルールで用立てする」
と、本来は住居用目的の物件であっても商業用のルールをファイナンシングに適用するのです。
そこで個人が比較的簡単に設立できるLLCの形態であったとしても
LLC = 法人
に代わりはありませんから、
「LLC名義で融資を引いて1戸建て物件を購入する」
というのであれば金融機関は
「商用枠で融資する」
と見なすことになります。
金利が違う
そして物件を購入する際に
法人名義で購入する
個人名義で購入する
この双方で見た時に出てくるもう一つの違いは
「金利の高さ」
です。
実は法人名義で購入する場合は個人名で購入する場合よりも多少金利が高くなる傾向があり、このあたりは世のサービスでも
- 法人価格
- 個人価格
で違いがあることと似ているかもしれません。
すなわち金融機関としても
「法人は個人よりも資金力がある(はず)」
「法人運営は個人運営よりも有利(なはず)」
という前提で査定し、金利が個人と同じになることはありません。
そしてそれ以前に、同じ個人であっても
⇛ 自分の住居物件として購入する際の金利
⇛ 投資用として他人に貸し出す賃貸物件を購入する際の金利
この2つにも違いがあり、
「個人名義でも賃貸用物件のモーゲージ金利の方が少し高い」
という事実があります。
そこでいずれにせよここで論じるのは賃貸用物件であることに違いはありませんが、主に金利に対して大きな違いが出るということであれば
法人名義で融資を受けて購入する
個人名義で融資を受けて購入する
のどちらが良いのでしょうか。
ここを判断する尺度は
- 自分基金の目標額
- 物件の運用期間
等に大きく左右されてくることになります。
この点を
「個人名義で購入して融資を受ける場合」
「法人名義で購入して融資を受ける場合」
という双方の側面から深堀りしてみましょう。
明日に続けます。