FSBO(For Sale By Owner:物件オーナー自身による売却)コンサルティング案件が増加中です。
・バイヤーエージェントの報酬はバイヤーからお支払い頂きたい
・自宅も自分で売却することでリスティングエージェントへの報酬をゼロにしたい
という方はこちらからご連絡ください。
コンサルティング料金は発生しますが、リスティングエージェント雇用よりは大幅に節約が可能です。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
本項ではアメリカ不動産市場の今について
Eviction moratorium(強制退去禁止)
について更新しておきます。
ご存知の方も多いかと思いますが、Eviction moratorium(強制退去禁止)については
Eviction moratorium(強制退去禁止令)が終了
でお伝えした通り、先月の31日に連邦政府レベルで失効したはずでした。
これまでパンデミックの影響下で家賃が支払えない人々は家賃の免除こそされないものの、滞納分が累積されながらも物件に居座ることが出来ていました。
このEviction moratorium(強制退去禁止)については昨年3月の施行開始から幾度となく延長が繰り返されてきましたが、ついに裁判所命令により7月31日が最後となり、8月1日からは全米各地で強制退去手続きが開始され始めていました。
厳密には民主党の州を中心に自主的に失効期限を9月末や10月末に延長していた州もありますが、概ね連邦政府レベルでは7月31日を最終期限としていたわけです。
ところがその3日後の8月3日、
CDC(Centers for Disease Control and Prevention:アメリカ疾病予防管理センター)
より再び
「限定的な強制退去禁止」
が打ち出されたのです。
この件について、詳細を見ていきましょう。
新たな限定的強制退去の禁止
パンデミック以降にEviction moratorium(強制退去禁止)が延長され続けてきたことに関しては訴訟が不動産業界から起こされていましたが、その訴状の趣旨は
「CDC(アメリカ疾病予防管理センター)が連邦政府レベルの命令を出すことそのものが筋違い。違憲である。」
というものでした。
結果として最終的には
「パンデミック下といえどもCDC(アメリカ疾病予防管理センター)による指示は違憲」
という判決が下され、バイデン政権もさらなる延長を試みたものの
「7月31日以降の延長は不可」
とされていたのでした。
ちなみに前回お伝えした通り、この判決は連邦政府レベルの決定ですがいくつかの州では独自に延長がなされています。
ところがその3日後の8月3日に再び
「限定的な強制退去禁止」
としてCDC(アメリカ疾病予防管理センター)から指示が出されおり、ここは非常に興味深いものです。
報道によるとバイデン政権の働きかけでCDC(アメリカ疾病予防管理センター)から改めて勧告が出された形ですが、連邦政府レベルで
「違憲」
と判断されたはずなのに、どのような経緯でこの判決が覆されたのかについては明確な報道が見受けられません。
正当な手続きなしに最高裁の判決を無視した勧告が出されたとは考えにくいのですが、このあたりが明確になっていない事実は後年、大きく後を引くことになるのではないでしょうか。
さておき、今回打ち出された「限定的な強制退去禁止」についてポイントを見ていきましょう。
● コロナウイルスの拡散が甚大である地域(https://covid.cdc.gov/covid-data-tracker/#county-view)のテナントを強制退去禁止の対象エリアとする
● 強制退去禁止は8月3日から10月3日までとする。同地域の中でコロナウイルスの拡散が収束したとみなされる地域では強制退去禁止の対象から外す。
● 対象地域の対象テナントは物件オーナーに誓約書を提出すること。すでに提出している場合は再度提出の必要はなし。
● 過去の累積家賃について免除はなされない。
CDCによる限定的な強制退去禁止施行内容(2021年8月3日)
上記を見る限り、「限定」と定義される上で過去との違いは
「コロナウイルスの拡散が甚大である地域」
とされていることです。
限定的な地域とは言え上記リンク先を見て分かるとおり、その範囲は全米の80%以上の地域に及び、かつ対象者は全米のテナントの90%以上にも及ぶことになります。
「限定的(Limited)」とは少数を意味するようなニュアンスがあるはずですが、現実には米国全土の地域のほぼ全テナントが対象となりますので、より正確には限定的ではなく「全体的」と表現した方が良さそうです。
このあたり、日本では
「日本の政治は秘密主義」
「日本ではごく少数で物事が決定される(国民は従うしかない)」
という論調を目にすることがありますが、上記のような
「連邦政府レベルの判決で違憲とされたにも関わらず、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)からの再勧告が実効性を伴う経緯が明確に説明されていない」
「限定された地域(Limited area)と表現しているのに実際は全体的という方が正しく、言葉で事実を濁している」
等を捉えると、米国でも決して全ての場面において開けっ広げに議論されるわけではなく、有事になると結局はぼかされた政治が顔を出してくることが分かります。
私(佐藤)自身は民主党でも共和党でもありませんが、共和党派が懸念する
「自由経済はこの国はなくなった」
「米国は社会主義に近づきつつある」
とは、冷静にこの国を俯瞰すると的を得ていないとは言えなさそうです。
幸いにも私(佐藤)自身はこの延長措置について困ることはありませんが、家賃収入が一年以上入らないオーナーに対しては
- 固定資産税納税期日の延長
- 水道光熱費の減額
等の措置は全くありませんので、これらの家賃収入が入らないオーナーのことが大変気になります。
かくしてこのEviction moratorium(強制退去禁止)については1年半以上騒ぎが続いていますが、流石に民間レベルでもその反動は大きくなり、今回7月31日に失効されたEviction moratorium(強制退去禁止)が再び3日後に施行されたことで一気に怒りが噴出。
全米各地では物件オーナー側による訴訟が起こり始めているようです。
このあたりの様子を捉えておきましょう。
明日に続けます。
投資案件をメールマガジンで無料購読。
下記よりメールアドレスをご登録ください。