昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
先日久しぶりにマクドナルドに入ったところ、玄関のドアに誇らしげに掲げられた求人広告が目に飛び込んできました。
Now, we are hiring. $15/hour minimum.
(時給$15で求人募集中)
米国内の時給$15を推進する流れに乗って、マクドナルドが最低賃金を$15する旨を全面に宣伝して求人広告を出していたのです。
その求人広告を見ながらドアを開け、久しぶりにマクドナルドでハンバーガー一式を注文しようとメニューを見るとかなりの高値。
久しく来ない間にマクドナルドでも随分とハンバーガーが値上がったものだと驚きました。
昨日から
「アメリカの賃貸需要は増え続けざるを得ない」
そんなくだりでお伝えしていますが、マクドナルドに訪れるだけでもここからの米国では賃貸世帯の割合が増えざるを得ないだろうことが分かります。
物価の値上がりが如実に感じられる今日この頃、
⇒ 慢性的な住宅不足
⇒ 給与の頭打ち
という状況下に加えて物件価格も上昇し続け、経済格差はここから更に顕著になってくるだろうと思います。
そして現実問題として、住居用物件を購入するためには頭金が必要です。
けれども物件価格はどんどん上昇し、それに連れて必要な頭金はどんどん高くなっていきます。
その割には所得が以前ほど増えるわけでもなく、
所得増加率 < 物価価格増加率
この式で大多数にとっては物件が手に届かないレベルに入っているのです。
ある夫婦は今年の春、4月に物件を売りに出しました。
首尾よくその時の高値で売却の契約に入りましたが、契約が終わる頃には望んでいた地域の物件は目算よりも遥かに跳ね上がっていたのです。
そこで少し様子を見ようとしたところ、その後1カ月で更に物件価格が上昇し、結局は予定を変更して賃貸暮らしのままでいくことにされています。
とりわけ今夏の米国ではこのような
「予定通り事が進まず、賃貸物件暮らしにするしかない」
そう判断した世帯は多かったのではないでしょうか。
その様子を数字でいくつか網羅してみましょう。
全米の大都市圏の99%で値上がり
全米不動産協会の発表によると、
2021年第二四半期(2021年4月~2021年6月)
の期間において、前年比で
「94%の市場で2桁台の価値上昇率」
が確認されたとのこと。
これに伴い全米の物件中央値は前年比で22.9%上昇し、
「全米の物件価格中央値は$357,900」
と発表されています。
つい数年前まで中央値は20万ドル台だったはずが、すでに35万ドルを超えているという異常ぶり。
けれどもこの上昇率が永遠に続くかといえば決してそんなことはなく、バブルである以上は必ず下がるときが来ます(その時は近いと思います)。
物件価格の割合は地域市場により大きく違うと思いますが、インフレが継続する前提であれば数年後に価格は上昇基調に戻らざるを得ない理屈になるとはいえ、しばらくは下げ調子の市場になることは想定しておかねばなりません。
そこで今回、2021年第二四半期に価格上昇が確認された都市の特徴を並べてみましょう。
下記に都市名と物件価格の前年比率を全米182の都市圏から、トップ5で並べてみます。
都市名 | 物件価格 前年比率 | |
1位 | マサチューセッツ州ピッツフィールド地区 | 46.5% |
2位 | テキサス州オースティン、ラウンドロック地区 | 45.1% |
3位 | フロリダ州ネイプルス、イモカリー、マルコアイランド地区 | 41.9% |
4位 | アイダホ州ボイシ、ナンパ地区 | 41.0% |
5位 | マサチューセッツ州バーンスタブル地区 | 37.8% |
大都市圏の並びでいけば本年第二四半期に最も価格が上昇した地域が多いのはマサチューセッツ州のようです。
マサチューセッツ州ピッツフィールド地区は同州の中でも西側に位置し、ほぼニューヨーク州との州境に近い場所にあります。
その次に続くのはテキサス州オースティン市を中心とする地域ですが、ここは以前もお伝えしたように全米で最も値上がりが激しい地域の一つであり、本年の夏もブレることなく激しい需要に晒された様子が分かります。
そしてフロリダ州ネイプルス、イモカリー、マルコアイランド地区は地図で見れば分かりますが、フロリダ州南端のマイアミ市から少し北西に上がった地域です。
興味深いことに、フロリダ州ではマイアミから東海岸に沿って上昇するラインよりも西海岸側の方が元気な印象もあります。
4位につけたのはこちらも当ブログで以前ご紹介したアイダホ州ボイシ市を中心とする市場ですが、近年の勢いを保ったまま現地では本年も高騰が続いている様子が分かります。
最後に再び顔を出したマサチューセッツ州バーンスタブル地区が5位ですが、この辺りは先のピッツフィールド地区とはほぼ対極に位置する、海に近い保養地のような印象がある地域です。
マサチューセッツ州では東西に広く、物件価格が上昇していることが分かります。
全米にはこのような都市圏のまとまりが183ほど存在していますが、そのトップ5が上記の順番でした。
そして物件価格が昨年比40%台で上昇したということは、単純に考えれば
⇒ 20万ドルの物件価値が28万ドルに
⇒ 30万ドルの物件価値が42万ドルに
と、たった1年で「爆上がり」と呼べるレベルで推移していることが分かります。
このような数字を見た上で
⇒ インフレに押されて給与が頭打ち
⇒ 物価は上昇の一途
という事実を踏まえると
「アメリカの賃貸需要は増え続けざるを得ない」
という力学がより現実に見えてくるのではないでしょうか。
明日に続けます。
投資案件をメールマガジンで無料購読。
下記よりメールアドレスをご登録ください。