昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨日はアメリカで自分が暮らす住居用物件を購入する時に関わるコアな関係者として
- バイヤーエージェント
- レンダー
- エスクロー会社
の三者を挙げました。
実際の取引では買主としての自分自身がごく直接的に接するのは
1.バイヤーエージェント
2.レンダー(融資を受ける場合)
の順番になると思います。
私(佐藤)自身は投資用物件を購入する際は現場に見に行くことはほとんどなく、最初から自分もリアルターであることを明かしてポイントをついてバイヤーエージェントに現地で動いてもらっています。
数字や物件情報は自分自身で確認できる部分が多いことと、お互いに勝手が分かっていますので案外やりとりはさほど多くありません。
それよりも
⇒ 今のタイミングで
⇒ その地域市場で
物件を購入するにあたり上手なお金の工面の仕方を模索する意味ではレンダーとのやりとりの方が多いと思います。
けれども住居物件の場合は自分で暮らす以上は
「物件を直接見たい」
という場合がほとんどでしょうし、自分が暮らすための住居物件であればこそバイヤーエージェントと直接会い、Viewing(ビューイング:内覧)を始め各所で支援してもらうのがよいと思います。
そして融資を引いて住居物件を購入する場合でも、基本的にはレンダーに対して
- W-2フォーム
- タックスリターン
- 給与明細
等をオンライン上で提出するだけことは済みますから、今の時代はレンダーと直接会うことはほぼないと思います。
エスクロー会社に至っては後ろにどんと構えてるお役所的存在であり、
- 売主
- 買主
の双方が直接やりとりをすることはほぼありません。
そこで住居物件を購入する際の登場人物として
- バイヤーエージェント
- レンダー
- エスクロー会社
の三者について触れましたが、この三者は「取引上に必須の登場人物」と言えます。
現金購入の場合は
- バイヤーエージェント
- エスクロー会社
の二者のみということになりますが、いずれにせよ
契約開始 ~ クロージング
の期間を滞りなく進める上で必須の関係者です。
そこでこれらのコアメンバーを
「中心関係者」
とすると契約上は必須ではないものの、けれども積極的に検討するべき(はっきりいえば必須の)
「その他の関係者」
もいます。
そこで物件購入取引を円滑に進める上で関わってもらいたい、その他の関係者についても網羅していきましょう。
本日も続けます。
物件調査専門家
契約上の義務ではないにしても「契約期間に必須」としておきたい、物件購入期間に雇われるべきその他の関係者として何よりもまず
「物件調査の専門家」
がいます。
およそアメリカ不動産の取引ではどの州でもそれが州の不動産協会規定に沿った購入契約書であるならば
「Property Contingency(プロパティ・コンティンジェンシー)」
という条項が入っているはずです。
Contingency(コンティンジェンシー)
という言葉は「不確かな状態」を意味し、ここでのニュアンスは日本語で一言で「これ」と表現しづらいのですが
「物件状態が買主が喜んで受け入れる状態にあるか不確か」
「物件の引き渡し条件が売主と買主の双方が満足するか不確か」
そんな風に
「曖昧」
であり
「不確かな」
状態です。
このProperty Contingency(プロパティ・コンティンジェンシー)の期間は契約書上で定められており、概ね州既定の物件購入契約書には
「Property Contingency(プロパティ・コンティンジェンシー)の期間は〇日間」
「その期間内に買主は専門家による物件調査を実施できる」
「買主はその期間内に売主に調査レポートをもって物件瑕疵に関する交渉が出来る」
「〇日以内に売主に連絡がない場合、買主は現状を受け入れたものとなる」
そんな風に明記されています(詳細の表現は各州により違いがあります)。
そこで法律上の義務はないものの、ここは強調しますが
「契約上に定められた期間内で専門業者を雇って物件調査を実施し、その結果をもって必要に応じて売主と交渉する」
これは
「必須」
としておいた方がよいと思います。
この点は世界中の不動産取引で同じことが言えますが、そもそもが不動産の売買取引においては
売主
買主
のどちらが有利かと言えば、「全ての面において売主の方が有利」なのです。
例えば会社勤めをする方々で例えると
「自分が長年携わっている部署に新人が入ってきて、引き継ぎの必要が出てきた」
この場合、
⇒ 長年勤務しているあなた
⇒ その仕事が未経験の新人
この二者ではどちらが有利かという話。
有利も何も長年勤めている自分の方が仕事を知り尽くしているに決まっていますし、新人は教えてもらう以外に術はありません。
ところが不動産取引において売主と買主を
売主 ⇒ 長年勤務するあなた
買主 ⇒ 未経験の新人
に例えた場合、なんとその職場(物件)に長い先輩(売主)は何も教えてくれないのです。
厳密には物件購入契約の一番最初で
「この物件はこのような状態です(瑕疵がある場合は売主が知る限りの詳細も)」
と述べる
Property Disclosure Statement(プロパティ・ディスクロージャー・ステートメント)
と呼ばれる、物件状態を開示する書式はあります。
けれどもこの書式に記載される内容も「売主が把握する限り」の内容であり、例えば屋根裏等の見えない箇所の状態など知らない売主がほとんどです。
このような全ての瑕疵を網羅していない紙切れだけでは
「一枚のマニュアルで新しい部署(物件)を任されたようなもの」
ですから、
「その部署(物件)について専門的に調べて、事情を教えてくれる外部の専門家を雇う」
というプロセスは必須になるのです。
そこでその他の関係者と言いつつ、「物件調査の専門家は必須の関係者」と考えておきましょう。
明日に続けます。
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