昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
不動産金融に絡む金融知識として投資用のファイナンシングについてお伝えしています。
アメリカの税法の中には数多くのインセンティブ系の情報(モチベーションを高める情報)があります。
そのインセンティブとはもちろん「節税の結果につながる税法」です。
大衆に向けたこのタックスインセンティブのコントロールこそが米国政府最大の武器であり、税金が単純にフラット(一定額)にならない最大の理由はここにあると言われています。
人を動かすには
「経済的に得をする(損をする)」
ことほど効果のある手段はありませんから、国の経済成長を国内から促すには大衆に経済的なインセンティブを与えることが最も効果があるわけです。
最近の例で言えば、アメリカの税法では従来食費の経費計上は「食事代の50%まで」とされていました。
例えばビジネスミーティングを兼ねた会食が行われて$500がレストランで支払われたとすると、その50%の$250が経費計上出来たのです。
ところがここにテコ入れがなされ、
After Dec 31st 2020 through Before January 1st, 2023
(要は2021年1月1日から2022年12月31日まで)
の期間は
「食費は100%経費計上可能」
と改正され、現在進行形で適用されています。
ビジネスで使う食費は
- レストランでの会食
- ケータリング
- 出張先での食事
等の様々な場面がありますが、あらゆるビジネスの場面で使われる食費が100%経費計上出来るというのはかなり大きなインセンティブです。
この施策により上記期間は米国では食費としての計上金額が大幅に上昇することはほぼ間違いありません。
そして食費の経費計上金額範囲を改正した政府の意図は想像に容易いと思いますが、米国政府としては現在のコロナ禍のレストラン業界を支援するべく、食費の経費計上額を100%にすることで人々の外食を促そうとしているわけです。
このようにタックスインセンティブの一つ一つに意味があり、
本当の節税 = 政府の意向に沿う行為
であることが分かります。
昨日お伝えした
FHAローン
VAローン
のどちらもインセンティブを与えんとする政府政策以外の何でもなく、自分の理に叶うのであれば遠慮なく受け取ればよいのです。
投資用のファイナンシングについて、本日も続けます。
Portfolio Loan(ポートフォリオローン)
ポートフォリオローンは10軒以上の物件を購入したい投資家にとっては選択肢の一つとなり得ます。
ポートフォリオローンの場合は通常の銀行やモーゲージ会社とは違い、融資した後の債権を
セカンダリーマーケット
と呼ばれる市場に卸すことはありません。
銀行やモーゲージ会社等の融資機関はモーゲージ申込み手続きを通して融資を実行して債権者となった後、そのまま債権を保有して利息で儲けるということはしません。
なぜなら彼らは融資を実行した後は自社の融資資金が少なくなるわけですから(あくまで紙面上の数字の話とはいえ)、
1.セカンダリーマーケットで債権を売却
2.資金を回収して再び融資資金を潤沢に
この流れで次々と新しい融資案件に臨みたいわけです。
ところがポートフォリオローンを実施する金融機関の場合、彼らはセカンダリマーケットに債権を卸すことはしません。
反対にそのまま債権者として債権を保有することで、保有する債権数を増やしていくのです。
すなわち自分の手元にはあらゆる債権が増えてくるわけですから、
「(金融機関にとって)ポートフォリオが増える」
という趣旨から、
「ポートフォリオローン」
と呼ばるわけです。
ただしこのローンには政府保証はついておらず、融資元はその分リスクを自分で背負うことになります。
そしてこの手のポートフォリオローンを提供するのは
Credit Union(クレジットユニオン)
Savings and Loan Association(貯蓄貸付組合)
等のメンバー制を採用している金融機関になります。
これらメンバーからの会費が資金の一部となり、保有する債権を自社利益とメンバー利益に還元する仕組みがあるのです。
そしてこのビジネスモデル上、これらの金融機関では債権をセカンダリマーケットに卸して次の融資資金とする必要がないことになります。
ただしポートフォリオローンの使用を検討する際に気をつけねばならないのは、通常はポートフォリオローンは
「固定金利ではなく変動金利」
になっていることです。
その融資形態は概ね「5/1 Arm」と表現されており、日本語的には
5年/1年 Adjustable-Rate Mortgage (変動金利モーゲージ)
の意味であり
5 ... 「最初の5年は固定金利」
1 ... 「それ以降は1年毎に金利を変更」
となる変動金利モーゲージです。
通常は5/1 Armの場合、最初の5年間は低い金利で得したように感じます。
ところが6年目からは市場の様子に応じてその年の金利が決められることになり、結果として債権者目線ではその時の経済と密接に繋がった金利と向き合わねばならないのです。
これが現在のように低金利のままであれば問題ないのですが、今後もしも
量的緩和政策の終了
金利の値上げ
等が始まったとしたら、変動金利の場合は金利がどんどん上昇していくことになります。
そうすると最初の5年は低金利で良かったとしても、6年目以降の経済状況によってはかなり不利な金利と付き合うことになりますから、ポートフォリオローンは万人の為のものではないのです。
投資家用のファイナンシングオプションについて、明日に続けます。
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