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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
数年前、テキサス州のとある市場にマルチファミリー物件の視察に行きました。
その街は2000年代に入ってからシェールガスの採掘により大きく発展し、それ以降破竹の勢いで土地開発が進められてきた地域です。
当然ながら人口増加と共に当地の物件価格はぐんぐん上昇し、不動産投資の隠れスポットの一つとして注目を集めてきました。
シェールガス開発の規模が縮小すると同時に人口は今では微増のレベルに変化していますが、物件価値は変わらず上昇中です。
そんな隠れスポット市場に単身の乗り込み、当時の市場の波に乗ってある投資家が購入したマルチファミリー物件の査定に訪れたのでした。
空港からも15分程度の好立地で、主要道路からもほどよい距離にあり、住居用物件が立ち並ぶ一角にある80戸のマルチファミリー物件がそれです。
建物そのものは60年代と古いのですが、入居率は75%と伸びしろを残しています。
その時点でもキャッシュフローが抜群で、ここから更に入居率を高めていくと数字としては申し分ない投資となります。
ただし、この物件には一つだけ投資家達の賛否を分けるだろう問題がありました。
率直にいえば、
「地域の治安がギリギリレベル」
だったのです。
このあたりの地域に入ることはニューヨークで暮らしていた頃から慣れてはいるものの、恐らく女性は避けたいだろう地域。
当日はよく晴れた暑い日で、まずは事務所を訪れて挨拶をして構内に入れてもらいました。
ちょうどエアコン業者が屋根で作業していましたので、梯子を借りて自分も屋根に登って全体を俯瞰。
その後に構内を歩いて物件の状態と暮らす人々の様子を詳しく観察します。
建物の状態を撮るべくビデオを回しながら歩いていると、ある棟のすぐ横に大きな木がありました。
その木陰で愛車と思われる車にワックスをかけているのはムキムキの腕に目立つ入れ墨を入れている男たちです。
作業する車の天井に置いてあるラジオからはラップが爆音で聞こえてきます。
そのまま遠慮なく彼らも含めてビデオを回しながら構内を周り、少し離れたところでふと振り返ると女性がさっきの男達に声をかけています。
彼女は車を指しながら男たちに話しており、どうも何かしら注意をしている様子。
そこで戻って横で話を聞いてみると、
「ここは駐車したらダメでしょう。」
「作業は自分の所定駐車スペースでやってちょうだい。」
と注意していたのです。
実はこの女性はプロパティマネージャーで、一番最初に事務所で挨拶した方です。
週のほとんどはこの80戸あるマルチファミリー物件の管理に訪れ、構内の一角にある事務所で過ごしています。
80戸規模の物件管理では請求書を始め様々な事務処理が日々舞い込んできます。
一人でこの物件を管理する彼女は事務処理と同時に午前と午後の一日二回、構内の見回りをしているとのこと。
先の男たちに注意していた場面ではちょうど午後の見回りに来ていたのでした。
屈強の男たちに全く臆することなくテキパキと注意する姿は頼もしくすらあります。
そして可笑しくすら思えたのは、その男たちも彼女が話しかけると手を止めてそれなりに姿勢を正し
「Yes, ma’am. (イエス、マアム:成人女性に対する敬称)」
と答えます。
またその後も撮影中に同じような場面に遭遇し、駐車場ではなく建物のすぐ横に車を一時的に駐車していた別の男性に対してもこの女性プロパティマネージャーはさっそうと近づいて注意。
男性は頭をポリポリかきながら、車を自分の所定の位置に移動していたのでした。
中途戦略の真髄:テナントとのコミュニケーション力
テナントの立場にしてみれば、不必要にプロパティマネージャーに逆らうことは何の得にもなりません。
下手にルールを無視し続けていると退去させられる要因にすら成りかねませんし、自分がルールを無視していることを自覚する上では正されても仕方のないもの。
そしてそれ以上に目を引いたのは、この女性プロパティマネージャーのモノの言い方でした。
キビキビと指示出しのように住人たちに然るべき伝達はするものの、決して上から目線の態度やモノの言い方ではありません。
下手に謙って伝えるとナメられてしまいますが、その姿勢とモノの言い方からテナント達は
「敬意を払うに値する管理人」
と見ているわけです。
実際のところ、マルチファミリー物件の管理においてこのレベルで仕事が出来るプロパティマネージャーはそう多くはないものです(特にこの物件のような地域では)。
結果としてこの物件を査定した時間はそれこそ1時間程度ではありましたが、
- 建物全体の様子
- 建物の細部(ユニット内)
- 管理体制
を見た時に、
「治安ギリギリの場所だけれども、投資可」
「現場には数字上を正当化する裏付けあり」
と判断しました。
何よりもこのマルチファミリー物件の場合、抜群のキャッシュフローを実現している真因はこの女性プロパティマネージャーのコミュニケーション力にあると言っても過言ではありません。
一事が万事で彼女の姿勢を見ていると事務処理はもちろんのこと、午前と午後の構内の見回りの中で自分の役割が何なのかを明確に理解し、屈強な男たちも手懐けるかのように上手にコミュニケーションを取れる実力は大したものです。
不動産投資における中途戦略を手堅いものにする上ではこのような責任感に溢れた物件管理のプロこそパートナーにしたいもの。
そして現実には、少なくとも私(佐藤)の経験ではテナントとのコミュニケーションは男性よりも女性の方が遥かに上手だと思います。
不動産管理会社を雇う上で最終的に見抜いておきたいポイントは正にここであり、
「プロパティマネージャーのテナントとのコミュニケーション力はどれほどか」
は相当重要なポイントになると思います。
この点もまたインタビューを通してしっかりと把握しておきたい部分ですし、もしもインタビューの相手がコミュニケーションがそれほど上手そうではないなと思われた時は、
「テナントと直接コミュニケーションを取っているのは誰ですか?」
「その方とも話は出来ますか?」
と念には念で確認すると良いと思います。
もしもテナントとの直接の窓口になっている担当者もコミュニケーション力が十分ではないと思われた場合、恐らくその管理会社は契約する候補から外した方が無難だろうと思うのです。
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