昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
不動産投資の目的となりえる「キャッシュフロー投資」に焦点を当て、
CoC(Cash on Cash:キャッシュ・オン・キャッシュ)
を高める手法についてお伝えしています。
CoC(キャッシュ・オン・キャッシュ)では
「自己資金を如何に抑えてリターンを多くするか」
が全てのポイントであり、具体的な方法としては
1.物件価格(安く購入する)
2.修繕費用(を抑える)
3.自己出資比率(を下げる)
これら3つの変数をコントロールすることでキャッシュ・オン・キャッシュを高め、手元に流れてくるキャッシュフローを最大化することになります。
日本の不動産投資ではよく「表面利回り・実質利回り」の概念で投資成績を計る手法が見受けられますが、
⇒ 実質利回り
⇒ キャッシュ・オン・キャッシュ
この2つは一見似ているものの、実際には分母に違いがあります。
その違いを式で簡単に表せば
実質利回り = 年間家賃収入 / 物件購入時の費用(物件価格と取引時の各種コスト) + 修繕費用
キャッシュ・オン・キャッシュ = 年間家賃収入 / 自分の出資総額
です。
すなわち実質利回りの場合は
- 物件価格
- 取引時の各種コスト
- 修繕費用
これらの合計で年間収入を割っていますが、キャッシュ・オン・キャッシュの場合はこれら3つの合計に対して「自分が実際に出資した金額」で割ることになります。
仮に現金購入であれば分母はイコールになるわけですが、金融機関から借入れて購入する場合はその分の分母が小さくなり、キャッシュ・オン・キャッシュの数字が大きくなるわけです。
そこで不動産投資の成績をキャッシュフローを軸に語る上では、実際に出資した金額に対するリターンを正確に測定する意味でキャッシュ・オン・キャッシュの方が適しているわけです。
余談を含みますが、キャッシュフロー投資では
「治安の悪い場所ほど、見た目の数字は良くなる」
傾向があります。
過去、実質利回りという言葉を使って
「実質利回り15%!」
等の宣伝で米国内の特定地域の物件に案内し、販売を斡旋するサービスが見受けられました。
実際にプロジェクションで出てくる数字としてはその実質利回りに大きな嘘はありません。
けれどもその斡旋サービスの問題は「立地」にあり、投資対象とされていたのはお世辞にも治安が良好な地域ではありませんでした。
遠慮なく言えば、地元の警察もおいそれと近づかないような地域です。
遠隔投資では適切なガイドなしには地元の事情は分かりようがありませんから、数字のみに惹かれて投資しても
- 家賃滞納が当たり前
- 物件が常識のない使われ方をする
等で入る収入も入らず、出るばかりが出るひどい状態に陥っていたケースが多々あったのです。
そこで投資である以上はそのリターンを高めることは大切ですが、キャッシュ・オン・キャッシュを基準に投資効率を高める試みの中にも立地にはよく注意する必要があります。
ここからキャッシュ・オン・キャッシュを高める3番目の要素、
「自己出資率を下げる」
についてみていきましょう。
3.自己出資率を下げる
物件価格と修繕費用もさることながら、およそキャッシュ・オン・キャッシュリターンの概念ではこの3番目の
「自己出資率を下げる」
という試みが一番のキモになります。
年間収入 / 自己投下資金
ですから、自分のポッケから出るお金が小さくなればなるほどキャッシュ・オン・キャッシュはパーセンテージが上昇していくからです。
プロになると投資家から出資金を集め、かつ自分の出資金すら金融機関から拝借することで
「自分自身の口座からの出資はゼロ」
で分母をゼロにし、「インフィニティリターン」と呼ばれる最強のリターンを生み出していきます。
特に大型のマルチファミリー物件にはこのパターンが多く、デベロッパーやシンジケートの企画者は自分の懐からは一銭も出さずに分母をゼロにするのです。
「自分ではお金を出していないのに、資産が殖えていくなんてずるい。」
と言いたいところですが、彼らもそのほとんどが初期の頃には自分でお金を出して失敗を繰り返しながら不動産投資技術を血と肉にし、やがてほぼ完ぺきに借金をコントロールできるレベルにまで到達した上でシンジケートを展開しています。
言い方を変えると、不動産投資を極めていくと誰もが
「(自分が望むのならが)自己資金がなくともお金を殖やせる」
というレベルにまで到達することも可能なのです。
そこでシンジケートのレベルは未だ届かないにせよ、
「自分の自己資金率を抑えていく」
という視点ではどのような方法が考えられるのでしょうか。
自己資金を抑えるとはすなわち「足りない分は他人様から借入れる」ことになりますが、
- 親兄弟に借りる
- 金融機関(銀行・モーゲージ会社)から借りる
- プライベートローンから借りる
- ハードマネーから借りる
とその借入先は様々です。
そしてそれぞれの融資元の審査には難易度があり、親兄弟を除けばその難易度は上からそのまま
1.金融機関(銀行・モーゲージ会社)
2.プライベートローン
3.ハードマネー
になると思います。
連邦住宅抵当公庫(ファニーメイ)や連邦住宅金融抵当公庫(フレディマック)の基準に適合したコンフォーミングローンを扱う金融機関の場合、当然ながらその審査基準は厳しいものです。
これに対してプライベートローンの審査は金融機関ほど厳しくはなく、その代わりに金利がやや高く設定されている特徴があります。
最後のハードマネーに至ってはかなりハードルが低く、けれども金利は最も高いレベルになりますから素人が手を出す融資元ではありません。
そこでこれらの前知識を前提に、
「最も安全にキャッシュ・オン・キャッシュを高める」
という趣旨で
「最も安全に自己出資率を下げる」
手法についてみていきましょう。
明日に続けます。
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