昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
Cash on Cash(キャッシュ・オン・キャッシュ)の基準でキャッシュフロー投資の成果を計る手法についてお伝えしています。
不動産投資を一つの事業として進める時、
入口戦略
中途戦略
出口戦略
のそれぞれの段階では確固たる「判断基準」が必須です。
特に入口戦略では
「この物件は投資に適しているのだろうか?」
「この家賃収入は十分だろうか?」
「支出要素にあるリスクはどの程度だろうか?」
およそ物件一つにしても判断するべき要素は数多くあり、その一つ一つを検証しながら
A「年間収入から年間支出を差し引いた後の年間キャッシュフローはこうなる」
という最終的な純利益を初期に投じた
B「(物件取得にかかった総額)+(リノベーションコスト)」
の総支出額のうち
C「自己資金から出した最終金額」
をもって、
A / C
の式で算出されるのがCash on Cash(キャッシュ・オン・キャッシュ)リターンです。
日本の不動産投資で良く聞かれる実質利回りは
A / B
であり、仮に物件を現金で購入してかつリノベーション費用もすべて自己資金で賄うのであれば
B = C
ですから、すべてが現金購入・修繕の場合に限り
実質利回り = Cash on Cash(キャッシュ・オン・キャッシュ)リターン
ということになります。
そこで昨日はCash on Cash(キャッシュ・オン・キャッシュ)リターンを最大化し易い流れとして
① フルリノベーションが必要なレベルの物件を購入する
② フルリノベーションを実行する
③ 仕上がった物件にテナントをつける
④ テナントがついた後でファイナンスする
という4つの流れをご紹介しました。
繰り返しお伝えしているところですが、この手法が通じるのはほぼ
Bクラス
Cクラス
の物件であり、最もリターンが大きくなる可能性が高いのは
「学区はそこそこ」
「けれども治安は良好」
「Cクラスの物件」
という3つの条件を満たす立地と物件です。
対象とするべき物件はお世辞にも小綺麗ではありませんし、それどころか
「え、こんな物件を。。」
と多くの方はドン引きすると思います。
ここは他意なくあくまでも一般論ですが、特に女性の方々は
⇛ 新築に近い小綺麗な物件
⇛ 洒落た間取りと心地よい空間
⇛ 抜群の学区と地域
を好まれる傾向があり、これは至極当然のことだと思います。
その基準に何ら非はありませんし、もしも
「理屈ではCash on Cash(キャッシュ・オン・キャッシュ)を高めた方がよいことは理解できる」
「けれどもCクラスの物件と付き合うのはちょっと。。」
という場合、本シリーズでお伝えするレベルの投資は避けておかれた方がよいと思います。
その場合はむしろ小綺麗でグレードの高い物件に焦点を合わせ、適切に家賃収入を入れながらエクイティを高める伝統的な投資手法で全く問題ないと思うのです。
今回はその正反対となる、大掛かりな修繕が必要なレベルの投資の話しで続けますが
「テナントがついた後でファイナンスする」
という時に、
「購入と修繕に必要な資金を工面する必要がある」
という場合に使うべきなのがHELOCです。
その前に、ファイナンシングをテナント付けの後にする理由についてもう触れておきたいと思います。
初回から家賃収入でモーゲージ返済を
![](https://wedgerc.com/wp-content/uploads/2021/11/image-15.png)
「ファイナンスはテナントをつけてからが良い」
この理由について昨日は
「修繕後の価値を高めた後の方が融資総額が大きいから」
とお伝えしました。
融資上限が75%であれ80%であれ、自己資金率を低くしたいのであれば
修繕前の物件
修繕後の物件
でいうと後者が良いに決まっています。
そして実を言えばここにはもう2つの理由があります。
実際に自分でファイナンシングして不動産投資を実践している方々はよく分かると思いますが、当然ながらファイナンシングすると遅くとも1ヶ月後(厳密にはカレンダーでは2カ月後)から「毎月のモーゲージ返済」が始まることになります。
返済開始にあたり、その前に物件を仕上げた後に秒殺でテナントが付いていればよいのですが、もしもテナント付けに数週間かかる場合はおそらく初月度家賃は翌月からのモーゲージ支払いには間に合いません。
テナントがしばらくつかない場合は最悪で、家賃収入の受取月が遅くなるほどモーゲージの返済はどんどん持ち出しになるのです。
その為、初回のモーゲージ返済から自己資金を使わずに確実に家賃収入で返済を開始するためにもファイナンシング前にテナントがついていた方がよいわけです。
もう一つには、テナントがついた状態でファイナンシングすると
「この物件、リノベーションが完了しているのみならずテナント付きで家賃収入がすでにあります」
とローンオフィサーに強くアピール出来ますから、より有利に融資を引けることになります。
事実、融資機関によっては
「ファイナンシングの条件はテナントがついていること」
とされる場合もあるのです。
かくして
⇛ 修繕完了済の物件
⇛ テナント付き
⇛ すでに家賃収入が入り始めている
この条件を最大限に活かし、最大レベルで融資を引いてファイナンシングをすると
物件取得 + リノベーション
ここにかけた自己資金の多くを回収することが出来、自己資金率を大きく下げることでCash on Cash(キャッシュ・オン・キャッシュ)は大きく改善することになります。
このような、
⇛ 自己資金率を意識的に大きく下げられる
⇛ ディール物件によっては自己資金を全回収することも可能
という性質はおそらく不動産投資特有のものです。
そしてこのスキームを実現するには
「最初に物件取得とリノベーションに現金を自前で準備する」
ことが前提となりますが、この初期段階ですら自己資金を使わない手法としてHELOCを使うわけです。
本シリーズの最後にプロジェクト資金としてのHELOCに焦点を当ててみましょう。
明日に続けます。
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