こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカ不動産市場の
Affordability(アフォーダビリティ)
についてお伝えしています。
Affordability(アフォーダビリティ)そのものは
Qualifying Income = ローン審査基準を満たす収入
に対してどれくらいの余裕があるかを推し量る尺度です。
Median Family Income / Qualifying Income × 100
の公式でローン審査基準を満たすピッタリの数字を100として、この指数が100よりも高ければ高いほど米国民は物件購入に対して余裕があることになり、反対に100に近づけば近づくほど物件購入の余裕はないことになります。
そこで昨日は
2019年 〜 2021年
の3年間の推移をざっくりと見たところ、その数値は
2019年 159.7
2020年 169.9
2021年 150.3
と変化しており、
「パンデミック直後、低金利も手伝ってAffordability(アフォーダビリティ)は大きく伸びた👆」
「2021年には物件価格の高騰によりAffordability(アフォーダビリティ)が大きく下がり始めた👇」
ことが分かりました。
すなわちAffordability(アフォーダビリティ)としてはパンデミックの下で
「100に近づく方向に振り子が振れた」
ということであり、もしも2022年にもこの傾向が続くようであれば
「アメリカ不動産市場では物件が購入できない層が増えつつある」
「この傾向は需要に大きく影響してくる」
と予想されるわけです。
そこでこの2022年のAffordability(アフォーダビリティ)の変化を予想するべく、昨年2021年の月ごとのAffordability(アフォーダビリティ)の変化を見ていきましょう。
本日も続けます。
2021年月別Affordability(アフォーダビリティ)の変化

早速、
NAR(National Association of Realtors:全米不動産協会)
が発表している2021年の月別のAffordability(アフォーダビリティ)の変化を見ていきます。

上記はNARが発表している数字そのままですが、Affordability(アフォーダビリティ)の傾向がよく分かります。
2021年以降のAffordability(アフォーダビリティ)の数値のみを抜き出してみると
2021年1月 183.8
2021年2月 170.4
2021年3月 175.2
2021年4月 154.4
2021年5月 150.0
2021年6月 144.5
2021年7月 148.4
2021年8月 150.1
2021年9月 151.0
2021年10月 147.6
2021年11月 147.4
2021年12月 147.1
2022年1月 143.0
このように推移しています。
昨日見た2021年の数値は
2021年 150.3
ですがこれは平均であり、上記のとおり傾向として捉えると2021年の1年間を通して
「Affordability(アフォーダビリティ)は明らかに下がりつつある」
ことが分かります。
この点が昨年末から当ブログでお伝えしているAffordability(アフォーダビリティ)への懸念であり、
「今のアメリカ不動産市場の中では唯一、Affordability(アフォーダビリティ)が気になる」
とはこの傾向のことなのです。
そして本日の時点でNARが発表しているのは
2022年1月
までのAffordability(アフォーダビリティ)ですが、本年最初の数値が143.0と、近年の中で最も低い数値をつけています。
すなわち、
「米国では物件の購入に対する余裕がなくなりつつある」
これは疑いようのない事実であり、
過去3年間の傾向
昨年末から本年初めの傾向
そして
金利上昇の動き
を鑑みると、
「2022年を通し、Affordability(アフォーダビリティ)指数は下がり続ける可能性が高い」
ということになります。
明日はAffordability(アフォーダビリティ)について、ポイントを総括していきましょう。