昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
FSBO形式で物件を売却する際の必要書類についてお伝えしています。
昨日までは
⇒ 必須の書類系
⇒ 場合によって必要になる書類系
に分けてお伝えしました。
いずれにせよ取引において確実に間に入れるべきは
- エスクロー会社
- タイトル会社
の2つであり(双方の機能を併せ持つエスクロー会社がほとんどです)、自分の地域市場でFSBOを実施する場合は
「この地域市場で物件を売却する際に必須になる書類は何ですか?」
と事前に問い合わせることをお薦めします。
そこで情報を得たらそれぞれの書類が
「何のための書類なのか」
を予め確認することで慌てることなく対応が出来ます。
本シリーズの最後として、必須の書類系の中で最も大切な購入契約書の詳細に焦点を当ててみましょう。
購入契約書の内容
購入契約書そのものはFSBOの立場で売却する際に最も手っ取り早いのは
「有料テンプレートを購入すること」
です。
厳密には各種不動産法は州毎に若干違う部分があり、それに伴って契約書内容も州毎に違うことになります。
そこで自分が暮らす州の物件を売りに出す際は自分の州専用の有料フォームを見つけて、そこに必要事項を記入して使いましょう。
きちんとした有料フォームの場合は契約書内に記載されるべき内容が漏れていることはないとは思いますが、強いて言えば購入契約書内に記入されているのは下記のような項目です。
物件情報(The Property Info)
「何を売るのか?」は当たり前のように記載されるべきですが、購入契約書では
- 物件の住所
- 物件の種類
- ロット番号
- ロット面積
等、「どう考えてもこの物件だよね」と物件を特定するのに十分な情報が記載されている必要があります。
売主と買主の情報(The buyer and seller’s identities)
「売主は誰なのか」
「買主は誰なのか」
を始め、「誰から誰にこの物件が譲渡されるのか」を明記する箇所が必要となります。
通常は契約書の段階で記載される個人情報は名前のみで、住所や電話番号等までが記載されることはありません。
購入価格に含まれる電化製品や付属品のリスト(List of Appliances/Fixtures)
ここが本シリーズで先に売渡証書(Bill of Sale)としてお伝えした部分ですが、
「この物件譲渡に付属してくるのは(付属しないのは)何か」
が明確に記載されている必要があります。
売渡証書(Bill of Sale)は別物の単独書類として出されるよりも購入契約書内で明記されることがほとんどです。
購入価格(Purchase Price)
この物件がいくらで譲渡されるのかが
- 数字
- アルファベット
の双方で、誰が読んでも間違いのない形で記載される必要があります。
アーネストマネー(Earnest Money:手付金の類)の金額
取引を開始するにあたり、買主の本気度を数字で見せるのが
アーネストマネー(手付金の類)
です。
大抵は物件価格の1%程度となり、オファーが売主に了承されると一定の期間内にエスクロー会社に渡すことが求められます。
ファイナンシングの条件
現金購入の場合は現金購入である旨の記載、ファイナンシング購入の場合はファイナンシング購入である旨の記載が明記されている必要があります。
またファイナンシング購入の場合はその条件も明示される必要があります。
クロージング日(Closing date)
この売買取引を完了させる日がクロージング日(Closing date)です。
- 現金購入
- ファイナンシング購入
- その他の購入条件
等によりクロージング日の設定は変わってきますが、法律上は
「この日でなくてはならない」
という取り決めはなく、あくまでも
「この取引パターンならこれくらい日にちに余裕が必要だろう」
という考え方を元に双方が同意する日がクロージング日として契約書に記載されることになります。
コンティンジェンシー(Contingencies)
「まだ結果がどうなるか分からない不明瞭な状態」
のことをコンティンジェンシー(Contingencies)と言います。
例えば
「物件調査をしないことには買主が確実に購入できるかは分からない」
「買主が融資審査を通過するか分からない」
等の
「調査しないと青信号かは分からない」
ことは多々あります。
これらの要素は全て文字に起こして契約書に記載され、
「もしもこの〇〇のコンティンジェンシーに不具合があれば、その時は〇〇で対応するものとする」
という約束事は明記されて然るべきです。
不動産権の種類(Type of title)
本取引で物件が譲渡されるにあたり、数ある不動産権譲渡の種類の中でどの種類が使われるのかも明確にされている必要があります。
クローズジングコスト(Closing costs)
物件価格のみならず、売買取引には様々な作業とそれに付随する料金が発生してきます。
そこで
「この出費に関しては売主と買主のどちらが支払うか」
は一つ一つの項目に対して明確に取り決められている必要があり、かつ購入契約書で明文化される必要があります。
契約不履行の場合
「〇〇をすることは契約不履行だ」
と見なされる場合、それに対して
「契約不履行が発生する場合、〇〇の対応とすることにお互いが同意する」
という式で予め購入契約書上に明記される必要があります。
その他の項目
それ以外にも
「特別な事情があり」
「その事情をお互いが了承しておく必要がある」
場合に特記事項として可能な範囲で
- 誰が
- いつ
- 何を
- どこで
- どのように
を明記する必要があります。
必ずしも4W1H式である必要はありませんが、細かければ細かいほどトラブルが発生しにくくなります。
またこの部分はテンプレートの契約書では自由形式で書けるように空欄になっているのが通常です。
。。。
以上、購入契約書上で網羅されるべき要点について簡単にお伝えしました。
アメリカ不動産を繰り返し購入して資産形成を進めていく上で、物件売却はほぼ確実に経験することになります。
FSBOは資産形成を進める上での登竜門ということはありませんが、
⇒ 不動産取引そのものに興味がある
⇒ 少しでも多くお金を手元に残したい
という場合はFSBOを検討されてもよいのではないでしょうか。
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