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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
モーゲージ金利の上昇によるアメリカ不動産市場への影響についてお伝えしています。
昨日までに確認したポイントは
- オファー数の減少
- 価格の鈍化
です。
レッドフィンエージェントのアンケート集計の結果、ここ半年の間に1軒に対し入ってくるオファーの数はかなり減少し、また競争の結果上乗せされる金額も減少していることが分かります。
ほんの数カ月前は売り手市場の極みにあった為、売主は
「契約期間中の物件調査を省いてくれる即決めの買主にお譲りしたい」
と非常に強い立場で売却に臨むことが出来ました。
けれども現場のエージェント達によると5月までに明らかにオファー数が減少し、それに伴って価格の伸びも鈍化していることになります。
ちなみに本シリーズでお伝えするエージェント目線の変化は一般の報道ではほとんど見えてこない部分です。
「1軒に入るオファー数は複数ある」
「結果として物件を購入するには価格を上乗せする必要がある」
これら表面的な事実は以前からと全く変わりがありませんし、1つの物件を購入するだけの買主の立場からすれば
「まだまだアメリカ不動産市場は熱い」
そんな印象が続いています。
ところが本シリーズで私たちが確認しているレッドフィンからの数字の変化は明らかに
「金利上昇によりアメリカ不動産市場は変化し始めている」
「このまま進めば需要と供給が一致するレベル、かつその先もあり得る」
そんな風に示唆しています。
表面的には見えないながらもこのような「兆候」を捉えておくことは非常に大切です。
小さな、けれども見逃せない情報の積み重ねの末に
「先手必勝の策」
は出てくるものでしょうし、それ故に日々の情報収集は大切だと思うのです。
勢いが大きく落ちてきた地域市場
そこで本日も引き続きレッドフィンの統計を使っていきます。
一覧表は下部をご覧ください。
表に並べられた地域市場は「競争相手の発生率 」が著しく減少している市場です。
競争相手の発生とは自分がオファーを入れた際に
「他にもオファーが入っています」
と告げられ、複数の購入希望者がいることにより競争を強いられるパターンです。
その競争が著しく減少している地域の上位3位を挙げてみましょう。
ロードアイランド州プロビデンス
ロードアイランド州のプロビデンスは東海岸のボストンから南西に下った場所にあるロードアイランド州の州都です。
昨今の価格上昇ではこの近辺はボストン市場を中心に不動産価格の上昇が顕著でしたが、ここプロビデンスでも激しい物件獲得競争が展開されていました。
下部の表にある通り2021年5月時点の競争相手の発生率は82.70%と、およそプロビデンスの街中ではどの物件にオファーしても8割以上の確率で競争が展開されていたことになります。
ここまで高い競争率であるということは現実には
「真っ当な物件であれば、どの物件にオファーしても激しい競争に巻き込まれる」
状況だったということです。
東海岸は比較的古い建物が多いのが特徴ですが、仮にその建物が1800年台後半に建てられたものであったとしても内装がきちんとアップグレードされていればかなりの高値で売れたのです。
その競争直面率が1年後の2022年5月には45.30%にまで下落。
ということは、オファーした際に他の購入希望者との競争に直面する割合は
「2軒に1軒もない」
ことになります。
この37.4%もの下落は全米大都市圏の中では最も高い減少率となっています。
カリフォルニア州リバーサイド
その次に大きな下落を経験したのがカリフォルニア州のリバーサイド市です。
リバーサイドはロサンゼルスから渋滞なしで約1時間の距離にある郊外の都市です。
かつてはこのリバーサイドからロサンゼルスダウンタウンや南のニューポートビーチ近郊に通勤する人々も多く、渋滞の難はありますがベッドタウン的な役割を果たしていました。
このリバーサイドでは2021年5月時点の競争相手の発生率が73.70%と極めて高い数字。
どの物件にオファーしてもほぼ間違いなく競争相手がおり、購入希望価格を積み上げないと購入は出来ない状況が続いていたことになります。
この競争相手に直面する割合が2022年5月には41%まで下落し、前年比で32.6%も競争に直面する割合が下がったとのこと。
この下げは先のプロビデンスに次いで全米2位となっており、このままの減速ペースが続くとすればリバーサイドでも価格の鈍化は非常に顕著に現れる可能性が高いことになります。
ノースカロライナ州ローリー
3番目に注目しておきたいのがノースカロライナ州ローリー市です。
ノースカロライナ州はパンデミック以前から全米の不動産投資家に好まれてきた市場です。
不動産市場としての成長が非常に安定しており、当地の物件価値はみるみる上昇してきた経緯がありました。
そしてパンデミック以降の実質ゼロ金利政策の中では2021年5月時点の競争相手の発生率が82.9%と極めて高かった地域です。
今回の統計では1年前の競争発生率が8割を超えているのはプロビデンスとローリーの2つの市場のみであり、これら東海岸の名だたる大都市圏市場は
「どの物件にオファーしても競争が激しい」
という状況だったことが分かります。
そのローリーでも2022年5月には競争に直面する確率が52.2%まで下落し、こちらは30.7%の下げです。
2軒に1軒は競争に直面するという意味ではまだまだ需要の方が勝っていることは間違いありませんが、人気市場のローリーでも価格鈍化の兆候が見て取れることになります。
金利上昇による現時点でのアメリカ不動産市場への影響について、明日に続けます。
オファー時の競争相手発生率の変化
2022年5月 競争相手の発生率 | 2022年4月 競争相手の発生率 | 2021年5月 競争相手の発生率 | |
カリフォルニア州リバーサイド | 41.00% | 45.30% | 73.70% |
ロードアイランド州プロビデンス | 45.30% | 74.10% | 82.70% |
ワシントン州オリンピア | 47.20% | 70.30% | 63.40% |
ハワイ州ホノルル | 47.80% | 65.80% | 62.50% |
ミネソタ州ミネアポリス | 48.70% | 68.10% | 66.30% |
ジョージア州アトランタ | 50.20% | 59.80% | 64.60% |
フロリダ州オーランド市 | 51.00% | 67.10% | 71.00% |
ノースカロライナ州ローリー | 52.20% | 64.30% | 82.90% |
ニューヨーク州ニューヨーク | 53.40% | 63.20% | 57.00% |
テキサス州ヒューストン | 54.00% | 61.90% | 62.70% |
アリゾナ州フェニックス | 54.10% | 61.40% | 68.80% |
フロリダ州タンパ | 54.20% | 73.40% | 66.70% |
コロラド州コロラドスプリングス | 54.50% | 62.80% | 63.80% |
カリフォルニア州サクラメント | 56.60% | 73.60% | 65.20% |
テキサス州サンアントニオ | 56.70% | 59.10% | 67.20% |
テキサス州オースティン | 56.80% | 72.80% | 68.60% |
カリフォルニア州サンフランシスコ | 57.70% | 60.70% | 78.20% |
カリフォルニア州サンノゼ | 58.50% | 70.10% | 75.80% |
ノースカロライナ州シャーロット | 58.90% | 66.30% | 76.90% |
オレゴン州ポートランド | 60.50% | 71.20% | 76.90% |
ワシントンD.C. | 61.10% | 68.60% | 70.60% |
ワシントン州シアトル | 61.20% | 72.60% | 75.50% |
コロラド州デンバー | 61.60% | 76.40% | 77.20% |
イリノイ州シカゴ | 61.70% | 69.10% | 66.00% |
フロリダ州マイアミ | 63.20% | 54.90% | 62.10% |
カリフォルニア州ロサンゼルス | 66.60% | 70.40% | 74.00% |
メリーランド州バルチモア | 67.00% | 73.30% | 77.10% |
テネシー州ナッシュビル | 67.20% | 72.90% | 73.30% |
ミシガン州デトロイト | 67.60% | 80.80% | 79.00% |
カリフォルニア州サンディエゴ | 68.00% | 72.20% | 77.50% |
インディアナ州インディアナポリス | 69.00% | 69.20% | 73.40% |
ペンシルベニア州フィラデルフィア | 69.30% | 70.50% | 70.90% |
テキサス州ダラス | 72.30% | 71.60% | 74.30% |
マサチューセッツ州ボストン | 72.60% | 76.50% | 76.40% |
ネバダ州ラスベガス | 74.50% | 63.10% | 65.40% |
マサチューセッツ州ウスター | 81.80% | 75.30% | 77.30% |
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