昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
商業市場のトレンドを掴む上でその前提となるオフィス回帰の動きについてお伝えしています。
先日、とあるカフェで朝食を食べていると知人が話しかけてきました。
旧知の仲の彼は世界中で知られるマーケティング専門IT企業に勤めています。
元々は北カリフォルニアで
- 統計アナリスト
- プログラマー
としての実績を積み上げてきた彼は南カリフォルニアに引っ越してから間もなくしてこの企業に転職し、同世代(20代)の平均を遥かに超えるだろう年収を稼いでいます。
現在のポジションは見習いとは言わずとも、それでもチームリーダーレベルでは決してありませんが給与額だけを言えば日本では驚かれるだろう金額です。
そしてそれ以上に興味深いのは、彼はいわゆる
「フルタイムのリモートワーカー」
であり
「職場には出向く必要は全くない」
「週に一度、チームでオンライン上で進捗を確認し合うだけ」
というのです。
だからこそカフェでモーニングを食べながらそのままカフェで昼間まで仕事を続けるというスタイルであり、ひと昔前であればなかなか目にしない光景でしたが、もはや彼のような仕事スタイルはここ数年で常態化しつつあります。
実にIT企業はフルタイムポジションが生まれやすい業種であり、リモートワークをリードするのはIT業界です。
そうすると不動産市場においてはIT企業が商業物件を使うトレンドもある程度先が読めそうですが、IT企業のみならず各業種でリモートワークが進む中、全体のトレンドはどのような位置にあるのでしょうか。
商業物件のニーズを掴む上でアメリカの就業者の意識の変化を捉えていきましょう。
本シリーズの資料引用元はマッキンゼー・アンド・カンパニーによる2022年4月時点の調査です。
リモートワークの割合
まず最初にアメリカの場合、現在の就業人口の全体の割合は
フルタイムのリモートワーク:35%
パートタイムのリモートワーク:23%
リモートワーク不可:42%
となっています。
2022年4月時点の統計ですので現在までに若干の変化はあると思いますが、この時は米国経済はほぼ通常運転に戻していた時期です。
この時点で実に全体の58%がフルタイム或いはリモートワークに従事しており、このことは
「アメリカ人の働き方に対する意識が完全に変化した」
ことを如実に表しています。
そして実際にマッキンゼー・アンド・カンパニーによると、
「柔軟な仕事環境を求める就業人口は2019年1月時点の3~10倍になっている」
というのです。
けれども反対に就業人口の42%が
「自分にリモートワークの選択肢はない」
と答えていますが、この理由は
⇒ 業務内容的にリモートワークは不可
⇒ 雇い主が許可しない
のどちらかのはずであり、いずれにせよリモートワーク意識に関するパンデミック以前と今を比較すると
「自分の仕事にリモートワークの選択の余地がある」
ということであれば、リモートワークを求める人々の割合が増える傾向は間違いないようです。
1週間に何日をリモートワークに費やすか
- フルタイムのリモートワーク
- パートタイムのリモートワーク
のいずれかの条件が与えられている場合、就業者はどのような選択をするのでしょうか。
冒頭に触れた佐藤の友人のように、多くの会社の仕事条件としてはフルタイムのリモートワークが許されている中でオフィスに出向くか否かは自分で決めることが出来ます。
調査によると、1週間の中でリモートワークを選ぶ時間は
5日間 | 32% |
4日間 | 10% |
3日間 | 16% |
2日間 | 18% |
1日間 | 13% |
0日間 | 13% |
なっています。
選択肢を持つ就業人口全体の87%がリモートワークを活用していることになりますが、この中でフルタイムの正社員がリモートワークを活用するのは
週平均3.3日
ということになります。
ちなみにここには興味深い矛盾があり、パートタイムの仕事でリモートワークが可能な場合、その多くが
「週5日間、リモートワークで家で働いている」
というのです。
恐らくここには
フルタイム
パートタイム
のそれぞれに課せられる仕事内容に影響されており、
「フルタイムでも仕事を完結するには完全リモートワークというわけにはいかない」
けれども
「パートタイムで出来る仕事であればリモートワークを選ぶ」
という就業人口の意識が反映されているものと思われます。
ここまでで総じて言えるのは
「米国のリモートワークに対する意識はここ数年で大きく変化した」
「仕事環境が選択できるのならば、大多数がリモートワークを希望する」
ということです。
このことは経営者と従業員でその見方が違うことになろうかと思いますが、事実としては冒頭のような世界を圧巻するIT企業の一つでは正社員もフルタイムリモートワークを可能とし、かつ過去と変わらないレベルの福利厚生を実現しているのです。
このあたりを見るだけでも、少なくともリモートワークトレンドが将来完全に過去に戻る可能性は低いのかもしれません。
明日に続けます。
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