こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカ不動産金融についてお伝えしています。
アメリカ不動産金融で実行される取引には
お金を借りる
お金を返す
この2つしかありません。
お金を借りる側の都合分類としては
- 住居用物件の購入
- 商業用物件の購入
であり、この中で個人が住居目的に購入する物件用の借入以外は
「利益を出すことを目的とした投資」
ということになります。
これに対し、融資申込者の目的に関わらずお金を貸す側の立場は常に「投資家」です。
株式を購入する法人・個人も投資家であり、それと同様にアメリカ不動産金融において融資する側は
「物件を担保に出資する投資家である」
ということになります。
そしてその担保をもって貸し付ける投資家として定義づけられるのが
Institutional Lenders(機関レンダー)
という存在です。
Institutional Lenders(機関レンダー)の種類 ~ ①
アメリカ不動産金融でいうInstitutional Lenders(機関レンダー)は比較的
「過度にリスクを取らない保守系の投資家」
と言えます。
お金の貸し借りは現代社会では必須であり、資金を必要とする企業・個人に適度なお金を融資することでその返済から受け取る利息を利益とする融資活動を事業の柱としています。
そして物件が担保に入れられているとはいえ、お金を貸す側にしてみれば一定のリスクは常にあります。
ハイリスクハイリターンとは真逆のアプローチながらも、市場に対して保守的に攻めつつ、不動産市場の潤滑油の重要な役割を担うのがInstitutional Lenders(機関レンダー)です。
ここから、アメリカ不動産金融で定義されるInstitutional Lenders(機関レンダー)の種類を大まかに見ていきましょう。
Commercial Banks(商業銀行)

- 給与を銀行口座に振り込んでもらう
- その一部の現金を引き出して使う
- 使ったクレジットカード額の返済を銀行口座から行う
そんな風に何気なく日頃の生活の一部になっている銀行ですが、このCommercial Banks(商業銀行)も実はInstitutional Lenders(機関レンダー)です。
にわか人々の生活の一部にガッチリ食い込んでいる為に
「銀行は投資家である」
という視点にはなかなか気づかないものですが、銀行口座を開設して自分のお金を預けることは本質的に
「口座開設者が投資家(銀行)に出資している」
ことと全く同じになります。
だからこそ、預金者が預け入れるお金は銀行側では「(預金者への)負債」として帳簿に記載されるのです。
歴史をひも解くと、銀行の始まりは
⇒ 資産保全の役割
から
⇒ 預かる金融資産を他者に貸し出す
⇒ 貸し出した際のコストを手数料/利息として回収する
という貸金業へと進化してきました。
銀行は人々からお金を預かるとそのお金を金庫にしまうのみならず、預り金を資金に
- 法人・個人に貸し出す
- 返済に利息をつける
- 元金と利息を回収する
という式でリターンを得ていることになります。
すなわち商業銀行も立派な投資家であり、それこそ銀行はInstitutional Lenders(機関レンダー)の代表格なのです。
Thrifts(貯蓄貸付組合)

米国内でも意外にそれほど知られていませんが、消費者にとって有利なInstitutional Lenders(機関レンダー)の1つに
Thrifts(貯蓄貸付組合)
があります。
Thrifts(貯蓄貸付組合)は別名
Savings and Loan Associations (S&Ls)
とも呼ばれる金融機関で前述の商業銀行とは違った特徴があります。
日本語訳にある「組合」という名の如く互助会的な要素があり、
「口座保有者がみんなでお金を出し合う」
「その時にお金を必要とする人が蓄積された資金からお金を借りることが出来る」
という性質の金融機関です。
預け入れる際の利息もウェルスファーゴ銀行といった大手商業銀行よりも利回りがよい傾向にあり、実は住居用物件購入の際の融資ではモーゲージ業界でも圧倒的なシェアを誇っています。
このThrifts(貯蓄貸付組合)の始まりは17世紀までさかのぼり、当初はそれこそ助け合いの貯蓄で
「預けて入れても利息はつかない」
「お金を借りても利息を支払う必要はない」
という、ほぼ純粋に資金をお互いに入れてお互いに必要な時に貸し合う制度だったそうです。
それが徐々に現代のモーゲージ活動の様相を見せ始め、記録によると一番最初の住居物件購入用のモーゲージは
融資額:$375
毎月の返済額:$4.90(内訳:元金$3、利息$1.90)
とあります。
1800年代当時は物件価格が$800以下であり、その1/4ほどの資金が最初に物件購入用に貸しに出されたわけです。
互助会である上ではThrifts(貯蓄貸付組合)は
「伝統的なメガバンクよりも規制に対してそれなりに柔軟」
であることも特筆する点ですが、それでも完全に自由に振舞うというわけにはいかず
- 連邦政府
- 州政府
のいずれかに認可される必要があり、また大手商業銀行と同様に
FDIC(Federal Deposit Insurance Corporation:連邦預金保険公社)
に加盟することが義務付けられています。
FDICに加盟する金融機関に預け入れられる預金者のお金は$250,000まで保証されることになっており、Institutional Lenders(機関レンダー)でありながらもその機関レンダーたちは連邦政府に守られているわけです。
Institutional Lenders(機関レンダー)について、明日に続けます。
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