こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
Noninstitutional Lenders(非制度的レンダー)についてお伝えしています。
昨日までにお伝えした
Institutional Lenders(機関レンダー)
Noninstitutional Lenders(非制度的レンダー)
この両者は明らかに違います。
知名度からすれば前者の機関レンダーは普通に世間に知られる存在でも、後者の非制度的レンダーについて知る人はほとんどいません(というより、その存在に気づかない)。
自分がいざ物件を購入する立場になってリアルターを始めとする不動産関係者と関わる段階になって
「へー、そんな役割の仕事があるんだ」
と知るのが通常ですし、実際にサービスを利用したとしても物件契約からクロージングに至るまで
「誰が誰で、どの役割をしているのか」
までは結局最後まで分からないものです。
さしあたり、Noninstitutional Lenders(非制度的レンダー)に分類される
- Mortgage Broker(モーゲージブローカー)
- Mortgage Banker(モーゲージバンカー)
の違いとしては
自分にあったモーゲージ会社を探してくれる人 ⇛ Mortgage Broker(モーゲージブローカー)
実際のモーゲージ申請からクロージングまで融資実務に従事する人 ⇛ Mortgage Banker(モーゲージバンカー)
と捉えておくと良いと思います。
かくしてモーゲージ会社が選ばれて具体的に申込みと審査が始まる段階から、その仕事はMortgage Banker(モーゲージバンカー)へと引き継がれていきます。
借り手である自分と接する窓口はクロージングまでMortgage Broker(モーゲージブローカー)だったとしても、実際の手続きはMortgage Banker(モーゲージバンカー)が担っているのです。
そこでMortgage Banker(モーゲージバンカー)の主な業務概要を3つのステップで捉えてみましょう。
Originating loan(オリジネイティングローン)

借り手に対して融資を実行する段階を名詞形で
Originating loan(オリジネイティングローン)
と呼びます。
「融資を申し込んで、融資審査を通過し、実際に融資を受けて物件を購入した」
この一連の流れが
Origination(オリジネーション)
です。
大元を意味する「Original(オリジナル)」という言葉があると思いますが、融資行為で誕生するNote(債権)の大元が作られるプロセスですからOrigination(オリジネーション)というわけです。
端的にOrigination(オリジネーション)は
1.申込書を受け付ける
2.融資審査を行う
3.融資を実行する
の3つのステップで進められ、然るべき審査をもって借り手に融資が実行されることになります。
厳密には前でのMortgage Broker(モーゲージブローカー)もOriginating loan(オリジネイティングローン)に携わることがありますが、Mortgage Broker(モーゲージブローカー)によるそれは極めて限定的な動きです。
融資審査の段階では必ずUnderwriting(アンダーライティング)という精査過程が発生しますが、このUnderwriting(アンダーライティング)は専門家がチームで行う必要があり、Mortgage Broker(モーゲージブローカー)はUnderwriting(アンダーライティング)のレベルまでは出来ませんので、申込み以後のお鉢はMortgage Banker(モーゲージバンカー)に回されているのです。
Servicing loan(サービシングローン)

ひと度融資が組まれてお金が貸し出されたら、その次のステップはServicing loan(サービシングローン)と呼ばれる借金回収サービス業務の段階になります。
融資が実行された後は債務者となった借り手には返済責任があり、その返済をOriginating loan(オリジネイティングローン)を行ったMortgage Banker(モーゲージバンカー)が毎月回収するのです。
ここで言うServicing(サービシング)とは
「ローンの回収業務に仕える」
意となり、債務不履行時の対応も踏まえてServicing loan(サービシングローン)として回収業務が始まることになります。
この時のルールとして債務者に独自の「Escrow Account(エスクロー口座)」が準備されることになり、この固有口座では
入金:債務者からの返済
出金:債務者代理で固定資産税や保険料の支払い、元金返済、利息支払い
等が記録され続けることになります。
毎月の返済額は元金一部と利息の合計金額となる中で、利息は融資を行ったモーゲージ会社の利益となるわけです。
Selling loan(セリングローン)

そして最後のステップはローン債権の売却です。
2つ目のServicing loan(サービシングローン)の段階ですでに債権が誕生してMortgage Banker(モーゲージバンカー)には利息という形で毎月利益が入ることになります。
けれども言い換えると
「Mortgage Banker(モーゲージバンカー)にとって、Servicing loan(サービシングローン)期間の利益は利息しかない」
とも言えるわけで、Origination(オリジネーション)段階の稼ぎと比較すると利息からの稼ぎは微々たるものですから、それよりも
① 債権を投資家に売却する
② 債権を整理して資金を取り戻す
③ その資金をもって次のOrigination(オリジネーション)に取り組む
という方が好まれますし、そうでなければ不動産業界の流れが鈍くなります。
結果としてお金の借り手からすると
「融資を組んだけれども、数週間後に途端に『Servicing Loan担当社が代わります』という通知を受け取った」
というのはよくあることです。
返済先が代わったということは借り手目線では
「自分が組んだ融資の債権がMortgage Banker(モーゲージバンカー)の手を離れた」
ということになり、このタイミングでMortgage Banker(モーゲージバンカー)との取引も完全に終了したことになります。
Noninstitutional Lenders(非制度的レンダー)について、明日に続けます。
投資案件をメールマガジンで無料購読。
下記よりメールアドレスをご登録ください。