こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
本年を締めくくるにあたり、たった今のアメリカ不動産市場の様子についてお伝えしています。
「アメリカ不動産市場では内因で大暴落が発生する可能性は低い」
「価格調整は2023年も進む見込み」
各種統計からそんな傾向が伺える中あわせてredfin.comによる予想値を紹介していますが、その統計からは
⇒ 価格が10%程度下がる場合、アンダーウォーターに至るモーゲージは10%未満
⇒ 10%程度の下げでもほとんどの物件では購入後のキャピタルゲインが保たれている
⇒ 12%以上の下げになるとアンダーウォーターの割合は10%を超え、キャピタルゲインもマイナスに触れる
ということでした。
すなわち資産の変化の意味でベンチマークとなる数字は
「価格下落が12%以下になった時」
です。
とはいえ過去数年の資産バブルと呼ばれた時期に組まれたモーゲージは全て
「プライムローン」
であり、
⇒ 所有物件の価値が下がる
⇒ 物件価値がアンダーウォーターになる
このいずれもプライムローンの返済能力とは無関係であり、ホームオーナーがモーゲージ返済を続ける限りは全く問題はないことになります。
この返済能力が正に
- 2007年以降の不動産価格大暴落
- 2022年以降の不動産価格調整
の2つの違いです。
膨らんだ資産が萎むのは極めて自然のことであり、然るべき物件価値に戻る中で同じく価格の変化は起こるものの、大暴落のような極端な下げが発生する見込みは小さいことになります。
同時に、ここまでに見たようにとりわけ物件価格が12%以上になるとキャピタルゲインがマイナスに触れるパターンが増えるだろうことも事実です。
結果として12%台までの下げになると大半の人々は純資産の減少を経験することになりますが、このような時に大切なのは「慌てて売却しない」ことです。
例外としては
⇒ 借金をしてフリップを実行した
⇒ 借金返済期日が近づいている
⇒ 借金を完済するべく、仕上がった物件を早急に売却しなくてはならない
というフリップ事業を展開している人々です。
この場合はモタモタしていると物件価値が下がり続けるわけですから、損切覚悟で急いで売却を完了させないと利息返済が続くのみならず返済期限がくれば債務不履行となりますから、四の五の言わずに売却を進める必要があります。
最も資産を減らす人々は

そこでここまでに大まかな傾向を掴んできましたが、よくよく統計を見ると
「大暴落のレベルは発生しにくい」
という見立てがつく一方で
⇒ 資産がそれほど減少しない層
⇒ 資産を大きく減らす層
の二極化が見えてきます。
その二つの層とは
- 高所得層
- 中間層
であり、実をいうとこれらの層では資産を減らすのは後者の中間層となる見込みです。
その理由は
「全資産の中でアメリカ不動産が占める割合」
にあり、統計で見るとこれらの層がそれぞれ所有する資産の中でアメリカ不動産の割合は
高所得層 … 27 ~ 30%
中間層 … 約38%
と、中間層の方が全資産に占める不動産割合が多いのです。
不動産資産が占める割合が多いということは不動産価格が下がる場合、不動産資産の割合が多い方が資産を減らすわけですから
「全体として、中間層の方が資産を減らす可能性が高い」
と予想されています。
ちなみに今回の資産バブルでは
「高所得層が更に資産を増やした」
という解釈をよく聞きますが、不動産分野に関してはそんなことはなく過去2年の間に不動産資産を増やした割合は
高所得層 … 2 ~ 3%
中間層 … 4%上昇
と中間層の方が不動産資産割合が上昇しています。
このような背景からもこのまま価格調整が続く場合、高所得層に比べて中間層の方が資産を減らす割合が高いと見込まれるのです。
地域市場毎に変化を占う

かくしてここまで見てきたのはあくまでも全米平均の変化予想ですが、全体を俯瞰するとアメリカ不動産市場が今はどっちのベクトルを指しているかがよく見えてきました。
そしてどの国でも不動産市場は地域市場の塊であり、実際の変化はその地域市場内で独自に発生してきます。
ここまでは全米平均の傾向を見てきましたが、アメリカ国内のそれぞれの地域市場ではどのように変化していくと予想されるのでしょうか。
地域市場の塊とはそのとおりで、2023年以降も
「価格が上昇し続ける見込みの市場」
「価格調整が大きい見込みの市場」
「価格調整は起こるにせよ、ほとんど影響を受けない市場」
等、様々な市場があります。
そこで来年は年明け早々、本年最後に見てきた
- 2022年11月~2023年12月の価格変化
- アンダーウォーターの割合
- 購入時からの価格上昇
等の項目をもってそれぞれの数値から
「2023年に起こり得る地域市場変化の予想」
を引き続き見ていくところから始めましょう。
。。。
末尾になりますが、2022年も1年間当ブログをお読みいただきましてありがとうございました。
本年はアメリカ不動産市場でも大きな変化が現れた年になりましたが、この流れで来年はより大きな変化を目のあたりにすることになりそうです。
毎日体中にあふれ出続けるドーパミン(?)の矛先として、来年も毎日更新を継続してまいります。
「ココなら、アメリカ不動産投資の成果を最大化してもらえる」
そんな認知を世界中の同胞にお持ち頂くべく、2023年も変わらぬペースで走り続けていきたいと思います。
本年一年間、本当にありがとうございました。
皆様、良いお年をお迎えください。
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