昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
商業賃貸契約の見慣れない/聞き慣れない用語と条項についてお伝えしています。
「よく英語の不動産契約書をスラスラ読めますね」
と過分なお言葉を頂戴することがありますが、これは佐藤の英語力が優れているというよりも単純に
「似たような英語の契約書を何度も繰り返し読んでいるから」
だと思います。
立場上、
- 住居物件売買契約書
- 住居用物件賃貸契約書
- 商業用賃貸契約書
- プロミゾリーノート購入契約書
- モーゲージ契約書
等、およそアメリカ不動産に関するありとあらゆる契約書にそれこそ毎日毎日目を通していますので、否が応でもこの類の文章に目が慣れてくるものです。
似て非なる例で言えば
「母国語以外の男性(女性)と結婚した場合の相手の言葉の理解度」
もそうではないでしょうか。
例えばある知人はアメリカ人男性と結婚された日本人女性ですが、
「主人の話す英語は完璧に分かる」
「でも、街のアメリカ人男性の言ってることは100%は分からない」
とのこと。
アメリカ人のご主人と完璧にコミュニケーションが取れるのは、ほぼ四六時中一緒に暮らすご主人の発音や口癖を繰り返し聞いているからだと思います。
同様に私(佐藤)は不動産関連の文章は読めたとしても自分にとって専門外の
「医学の英語専門書を一発で読解せよ」
と言われたらまず一回の通読では理解しきれないでしょうし、とりわけ似たような英語表現がある場合はその意味の違いを理解するのに時間がかかるはずです。
これと同じでアメリカ不動産関連の用語の中には
「似てる用語だけれども、その違いがよく分からない」
というものがいくつかあります。
賃貸契約書の中でいえば、
Assignment(アサインメント)
Sublease(サブリース)
が典型的な例です。
日本語訳のニュアンスで言えばこのどちらも
「権利をテナントから第三者に移す」
という同じ意味合いになるはずですが、その細かい意味合いには違いがあります。
賃貸契約上の権利移管に関する
Assignment(アサインメント)
と
Sublease(サブリース)
の言葉の違いについて見ていきましょう。
Assignment(アサインメント)
まずはAssignment(アサインメント)からいきますが、Assignment(アサインメント)は日本語では
「譲渡・割り当て・任命」
等に訳されています。
この言葉をアメリカ不動産用語と組み合わせるとAssignment(アサインメント)は
「賃貸契約から派生する権利・規約の割り当て」
というニュアンスになり、概ねこの意味合いで間違いないと思います。
そこで
- 権利
- 規約
の2つで考えた時、前者の権利は先日お伝えした
「占有権」
がそれにあたります。
5つの不動産権の中で唯一テナントに賃貸期間限定で譲渡される権利が占有権であり、Assignment(アサインメント)の場合はこの
「占有権を譲渡」
することなります。
これにより
- 家主(物件オーナー)
- 賃借人(テナント)
- 譲受人(アサイメントを受けた人)
の3者がいるとき、その物件の占有権は譲受人が有することになるのです。
また権利と同時に賃貸契約書に明記されるあらゆる規約もそのまま
賃借人(テナント) ⇒ 譲受人(アサイメントを受けた人)
に渡されることになり、譲り受けた新しいテナントにはそれら規約に対する責任が生じることになります。
結果として譲受人(アサイメントを受けた人)にはもともと
家主(物件オーナー) ↔ 賃借人(テナント)
この2者間で交わされたはずの契約内容に対しその全てを履行する責任が出てくるのです。
ただしAssignment(アサインメント)で覚えておかねばならないのは、確かに
賃借人(テナント) ⇒ 譲受人(アサイメントを受けた人)
の流れで賃貸契約内容に記載される権利と規約は全て譲受人(アサイメントを受けた人)に渡されてしまうことになりますが、だからといって
家主(物件オーナー) ↔ 賃借人(テナント)
この本来の契約関係にあった両者の関係が完全に消失するわけではありません。
法的にはあくまでも
家主(物件オーナー)
賃借人(テナント)
の関係は変わらず、本来の賃借人(テナント)は
「賃貸借契約の履行を完全に放棄します」
とはならないのです。
その為Assignment(アサインメント)はより正確には
「賃貸契約上の権利・規約を全て賃借人(テナント)から譲受人(アサイメントを受けた人)に譲り渡す」
「けれども賃借人(テナント)による従来の賃貸契約履行義務は残る」
ことになります。
例えば毎月の家賃支払いに関してはAssignment(アサインメント)の場合、
譲受人(アサイメントを受けた人) ⇒ 【毎月の家賃】 ⇒ 家主(物件オーナー)
と従来の賃借人(テナント)を飛ばして直接 家主(物件オーナー) に支払いがなされます。
そして仮に家賃不履行があれば家主(物件オーナー)から譲受人(アサイメントを受けた人)に直接請求が発生するのです。
譲受人(アサイメントを受けた人)としも賃貸契約そのものを引き継いだ以上はどこまでも責任が出てきますから、純粋に自分自身が賃貸契約を結んでいることと同義として取り組む必要があります。
その一方で元々の賃借人(テナント)は権利と規約を譲渡した立場であり、その賃貸契約は
譲受人(アサイメントを受けた人) ↔ 家主(物件オーナー)
この両者間で継続されるとはいえ「契約履行責任」そのものは本来の 賃借人(テナント) に残ることになります。
そこで次にこのAssignment(アサインメント)とは明確な違いがあるSublease(サブリース)について、その詳細を見ていきましょう。
明日に続けます。
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