昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
近年アメリカで流行り、またここから一層その需要が期待されるCo-Living(コ・リビング)という賃貸スタイルについてお伝えしています。
「家賃は高い」
「けれどもそれなりの生活スタイルを楽しみたい」
そんな層にとっては
共同スペース
共同施設
等がそれなりのレベルで充実しているCo-Living(コ・リビング)が受け入れられています。
同時にアメリカでも「孤独化」は一つの社会問題にも挙げられ、共同スペースで気の合う人々が共に暮らせるライフスタイルが孤独を解消する要因にもなると期待されているのです。
事実、深刻な孤独を経験しているアメリカ人にとってはCo-Living(コ・リビング)の受けの良さは新しいトレンドとして認知されている証拠です。
統計としてはハーバード大学大学院教育学部の研究によると、全アメリカ人の36%、特に
若い子供を持つ母親の51%
若年成人の61%
が孤独を経験にあるとのこと。
社会的孤立は、精神面のみならず健康問題のリスクをも増加させることが指摘されており、実は
喫煙による肉体的損傷からの短命
社会的孤立による精神的ダメージからの短命
この2つの早期死亡要因はほぼ変わらないと言います。
孤独は、不安、うつ病、さらには自殺率が高くなる傾向があることで知られており、Co-Living(コ・リビング)スタイルがその解決に一役買っているというわけです。
とはいえ、もちろんCo-Living(コ・リビング)にも問題はあります。
結論からいえば、大手企業がCo-Living(コ・リビング)の運営に乗り出しているのは間違いなく
「出資に対するリターンが大きい」
からです。
とはいえそこには当然影となる部分も潜んでおり、Co-Living(コ・リビング)スタイルをより普及させる上ではこの影の部分がテーマになっています。
Co-Living(コ・リビング)に関するお伝えの最後として、その陰の部分を見ていきましょう。
本日も続けます。
Co-Living(コ・リビング)モデルの問題点
ほとんどのCo-Living(コ・リビング)企業は
「運営上の問題を完全には解決しきれていない」
と言います。
例を挙げると、他人と共有するCo-Living(コ・リビング)スペースの住民は
衛生上の問題
不十分なセキュリティ
ルームメイト間の仲違い
運営サポートチームからのコミュニケーションの不足
等について、慢性的な苦情が発生しています。
ニューヨークのBungalowのテナントに至っては地元の法律により「鍵のかかっていない寝室」を使わなければならず、
「朝起きたら、見知らぬ人が勝手に部屋で寝ていた。。」
という、かなり治安上問題ありの報告もあるほどです。
また、運営元からの突然の理由不明の賃貸解約や不適切な対応など、公正な対応がなされていないとの不満もあり、中には詐欺として運営会社を相手取っての訴訟にもなりかねないクレームもあるのです。
このような苦情が立て続けに起こる場合は行政としても見て見ぬふりは出来ませんから、Co-Living(コ・リビング)の運営に対して行政がある程度踏み込む必要が出てきます。
「Co-Living(コ・リビング)の規制をある程度緩くする」
「その代わり行政の指導を強める」
という式で、Co-Living(コ・リビング)運営は地域によっては行政管轄の色を強めつつあるのです。
テナントからの不満は、先の例でいえばニューヨークの場合はそれぞれの個室に鍵を許可することで不満解決の一部になりそうですが、それでもテナントからの苦情が正当なもので、同種の苦情が定期的に確認されるであれば、Co-Living(コ・リビング)モデルそのものが地域で禁止される可能性があるわけです。
その一方で、別の例ではフィラデルフィアやミネアポリスなど一部の都市では
「シングルルームオクパンシー」
の賃貸住宅のアイデアを受け入れる向きがあり、マルチファミリーや商業地域でCo-Living(コ・リビング)モデルの展開を許可する法律案も出されています。
様々なCo-Living(コ・リビング)モデル独自の問題を抱えながらも、それを受け入れんとする自治体との狭間に徐々に発展しつつあるのです。
新しい投資機会としてのCo-Living(コ・リビング)
そして最後に投資話で締めくくりますが、Co-Living(コ・リビング)モデルは孤独や手の届かない家賃の解決策のみならず、不動産投資家にとっては全く新しいアセットクラスでもあります。
Co-Living(コ・リビング)ビジネスモデルには未だ問題があるものの、Co-Living(コ・リビング)モデル企業は一般的に従来の賃貸モデルよりも1平方フィートあたりの賃料収入が高いことを知っているのです。
数字にすると、例えばニューヨークでは、Co-Living(コ・リビング)モデルの収益は従来のアパート家賃に比べて40%から50%も高いと報告されています。
またMITの学生によるレポートでは、Co-Living(コ・リビング)の建物は、通常のマルチファミリー住宅よりも景気後退に対して強くなる可能性があると指摘されているのが興味深いところです。
実際、不動産サービス会社Cushman&Wakefieldの調査によると、近年のコロナ禍においてCo-Living(コ・リビング)スペースは比較可能なスタジオアパートメントの平方フィートあたりの賃料と比較して、23.2%も高いプレミアムをたたき出し続けているというのです。
またMITの報告書は、Co-Living(コ・リビング)が地方自治体や住民に広く受け入れられるようになりつつあるとも示しており、Co-Living(コ・リビング)は
「住宅不動産の基本的なアセットクラスになる可能性がある」
とすら結論づけています。
このCo-Living(コ・リビング)モデルはまだ発展途上の段階にあり、前述のような問題はあるものの、特に住宅価格が正味キャッシュフローの達成を困難にしている都市部など、一部の投資家にとっては従来の長期マルチファミリー賃貸住宅にとって代わる投資対象として注目されていることになります。
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