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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
にわか流行に近いトレンドが見えるDSCRローンについてお伝えしてきました。
DSCRローンそのものはここまでにお伝えした通り、その審査の主な要因は
DSCR(Debt Service Coverage Ratio:元利金返済カバー率)
LTV (Loan-To-Value Ratio:不動産の評価額に占める借入金の割合)
FICO (Credit Score:クレジットスコア)
の3点です。
過去のおさらいになりますが、DSCRの式そのものは
DSCR = NOI(純収入) / DEBT(予定の借金)
であり、総収入から総支出を差し引いた数字を借金で割った割合の数字になります。
単純に考えると純収入と借金が同じであれば値は「1」であり、
DSCR = 1
が損益分岐点です。
通常、審査通過の目安としては
「DSCRが1.2以上」
だと審査を通過できる可能性が十分あります。
そして次に来るのが
LTV (不動産の評価額に占める借入金の割合)
ですが、この物件価値に占める借金総額が小さければ小さいほど、融資する側にとってはリスクが少ないわけですから、融資審査を通過する可能性が高いのです。
そして3番目が
FICO (クレジットスコア)
であり、その借入を希望する個人、或いは法人(のメンバー)のクレジットスコアを参考までに審査することになります。
通常の審査では600以上あれば問題ないはずですが、これが融資を希望する申請者のクレジットスコアが全員
700 ~ 800
となると変な借金癖はないはずですから、融資審査を通過する可能性は非常に大きくなるのです。
DSCRローンも変数のコントロール
そこでDSCRローン審査の本質を考えた時に、その実情は通常の個人の返済能力を審査するモーゲージローンと同様に「変数ののコントロール」ということになります。
一戸建てを自宅用に購入する場合、融資申し込み者を審査する側としては当然ながら
「この人、返済はずっと継続してくれそうかな~」
という勘所で判断するはずがなく、そこには感情の入る余地は全くない
⇒ 安定した収入があるか
⇒ クレジットスコアは十分高いか
⇒ 物件の本当の価値は購入価格に見合っているか
といった、数字でのみ判断がなされることになります。
それでも
⇒ リストラの憂き目に会った
⇒ 急病で治療費の為に突然大きな借金をせざるを得なくなった
⇒ 同地域の在庫が一気に増え、急激に価値が下がってきた
等の不測の事態はいくらでも起こり得ます。
要はお金を貸す側としては確率論の元に変数のコントロールをしてリスクを極小化することが大切なテーマになるわけです。
そのような従来の融資審査のあり方と比較する時、DSCRローンの審査も同様に変数のコントロールとはいえ、その焦点が「融資申し込み者」ではなく「投資物件としての可能性」に向けられているのが興味深いところです。
そうすると、やや乱暴にいえば
「個人の信用度はそこそこでも、物件価値さえしっかりしていれば誰にでも可能性がある」
ということになります。
ただし、この従来の個人の信用度ではなく物件の信用度に依存するDSCRローンには、一定のリスクがあるようにも思うのです。
いつか来た道
「融資を受ける個人ではなく、物件価値の価値に期待して融資する」
この言葉、アメリカ不動産投資に少なくとも2000年初期から参入している方々は過去に聞いたことがあるはずです。
これは正に、2007年から本格的に見え始めた陰りが、翌年2008年から一気に転げ始めて加速した「サブプライムローン」に端を発した不動産大暴落の前まで頻繁に聞こえたフレーズです。
あの時も東西海岸部都市の物件を中心に破竹の勢いで不動産価格は上昇し続け、
「このトレンドに乗り遅れるな」
「所有さえすれば勝ち組」
とばかりに誰もがこぞって融資を受け、クレジットスコアの引く人でも
「個人の返済能力は関係ない、物件価値があればよい」
という雰囲気が業界を支配し、そのまま崖に向かて飛び込んでいったのでした。
あの時のサブプライムローンとDSCRローンの明確な違いは
「DSCRローンはクレジットスコアを審査対象にしている」
ということです。
けれども本質的に、クレジットスコアを見るのはある意味儀式のようなもの。
結局のところ融資元に対して借金を返済してくれるのは融資を受ける個人ではなく物件からの家賃収入ですから、必然、DSCRローン審査の比重は物件の収益性に頼ることになります。
ここで私(佐藤)がやや心配に見るのが、DSCRローンがこのままの勢いで完全にトレンド化した場合は
「不動産投資家たちは、融資元にディールを運んでくる働きバチ」
ということになるでしょうし、それはまだしも、この傾向が広がり続けると特に人気の市場ではDSCRローンが乱立し、にわか飽和状態を呈してくることにもなりかねません。
すなわち当地のDSCRローンに引き起こされる過剰な投資熱が物件価値を不必要に高め、最後には落ちるべくして落ち、収益性が極端に悪くなり、デフォルトの連発も起こり得るかもしれません。
またもう一つの不安は
「融資元はクレジットスコアの基準を堅持できるのか?」
です。
特に今のような金利上昇の局面では、DSCRローンは希望の光ともなっています。
そして生き残りをかける金融機関としては、
「競争優位性を保つべく、審査基準のクレジットスコアを〇〇〇にまで下げよう」
という動きが出てこないとも限りません。
物件価値が重要だからといって仮に低いクレジットスコアでの融資を許してしまうと、それこそいつか来た道の再現なのです。
本年はよりこのDSCRローンが注目されるように思いますが、同時に影となり得る部分も見守っていく必要がありそうです。
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