FSBO(For Sale By Owner:物件オーナー自身による売却)コンサルティング案件が増加中です。
・バイヤーエージェントの報酬はバイヤーからお支払い頂きたい
・自宅も自分で売却することでリスティングエージェントへの報酬をゼロにしたい
という方はこちらからご連絡ください。
コンサルティング料金は発生しますが、リスティングエージェント雇用よりは大幅に節約が可能です。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
マルチファミリー案件の数字精査において、NOI(Net Operating Income:純収益)を深掘りしています。
昨日から
NOI = 総収入 - 総支出
の式の減数である「総支出」の詳細を見ていますが、ここでは
当物件の支出要因となっている項目
それぞれの項目にかかった数字と収入に対する割合
をざっくりと見ていきます。
昨日の支出一覧を再び掲載します。
Expense | Amount | Per Unit | Per Bldg. SF | % of SGI |
Property Taxes: | $180,656 | $6,022 | $5.17 | 16.71% |
Insurance: | $13,656 | $455 | $0.39 | 1.26% |
Utilities: | $36,120 | $1,204 | $1.03 | 3.34% |
Management Fee: | $32,100 | $1,070 | $0.92 | 2.97% |
Landscaping: | $7,800 | $260 | $0.22 | 0.72% |
Cleaning: | $6,000 | $200 | $0.17 | 0.56% |
Elevator: | $9,000 | $300 | $0.26 | 0.83% |
Alarm Monitoring: | $1,500 | $50 | $0.04 | 0.14% |
R&M: | $10,200 | $340 | $0.29 | 0.94% |
G&A: | $7,956 | $265 | $0.23 | 0.74% |
Advertising: | $3,000 | $100 | $0.09 | 0.28% |
Payroll: | $6,000 | $200 | $0.17 | 0.56% |
TOTAL OPERATING EXPENSE | $313,988 | $10,466.25 | $8.98 | 29.05% |
Expense Ratio: | 29.5% |
改めて、左側に記載されている支出項目を一つ一つ見ていきましょう。
Property Taxes - 不動産税
Insurance - 保険
Utilities - 公共料金
Management Fee - 管理料
Landscaping - 造園
Cleaning - 清掃
Elevator - エレベーター
Alarm Monitoring - 警報監視
R&M - 修理・保守
G&A - 一般管理費・管理一般費
Advertising - 広告
Payroll - 給与
上に記載されるのは本案件の運営にかかっている項目の一覧となり、年間支出が大きい順に上から並んでいます。
この手のエレベーター付きの物件になると結構な保守点検が必要となり、本案件では総額の支出が
Amount $313,988
とされています。
またそれぞれの数字はPer Unitの欄に「1戸にあたりかかっている支出」として記載されています。
30戸あるこの物件に対し、戸別でいえば1戸あたり$10,466.25の支出がかかっていることになります。
こうして分解していると結構な支出があることが分かりますが、だからこそ被減数である総収入の実態を掴むことが大切のです。
ちなみに南カリフォルニアでは16戸以上のマルチファミリー物件では現場に常駐する管理人をもつことが法律上、定められています。
そこで
Payroll: $6,000
この数字を見ると
「当物件には最低1人の管理人がおり、年間に$6,000の給与が支払われている」
ということになりますが、これは少しおかしな数字です。
1ヶ月の給与が$6,000なら分かりますが、年間ということは
$500($6,000 / 12ヶ月)
で、1ヶ月にたったの$500では誰も雇うことが出来ないはず。
このような場合、
「家賃を安くすることで、市場平均賃料との差額を給与の対価としている」
「$32,100の管理費も含まれている」
ということが予想されます。
現地プロパティマネージャーという人を雇う上では給与発行は法律上の義務ですから、給与の数字そのものは小さくして、この上質物件に住まわせることで対価を与えているのかもしれません。
この方法は本質的に
「家賃収入合計を減少させてしまう」
という側面があることは事実ですが、同時に運用側としては収入を低く出来ることも事実です。
いずれにせよ大切な点としては、このように項目と数字を見ていくことで
「なるほど、この部分は○○で解決しているんだろう」
「この支出は後々に悪影響を与えそうだな」
等を推し量ることが出来ます。
そして項目と数字を見ることで「?」と疑問が湧いたらその都度メモしておき、後日売主に事実関係に紐づく資料を提出して頂くのです。
。。。
今回は案件の実例をもって
1.立地をみる
2.数字の概要を見る
3.物件の概要を見る
の3つのステップで大まかに「2」まで見てきました。
繰り返しとなりますが、精査の初期段階で売主から渡される情報は盛った数字であろうことは最初から理解しておきましょう。
そしてこの点は売主との交渉次第ですが、
本契約の前
本契約の最中
のいずれかに、数字概要資料の大元となったはずの資料を全て頂くことになります。
極端でもない例として、最初に渡されたレントロールに対して一つひとつ賃貸契約書を提出してもらって調べようとすると
「実は誰も入居していなかった」
「契約期間中に、賃貸契約は切れてしまう(テナントは更新する予定はない)」
等は普通に発覚するものです。
また支出にしても、渡される本物の資料をつぶさにみていくと
「あれ、これは概要の支出項目に記載されていなかったのでは?」
という、(売主に悪気はなかったとしても)隠された支出が出てきたりもします。
そのため、この最初のNOI(Net Operating Income:純収益)の段階で判断するべきは
「この数字の通りにはいかないだろうけど、それでも魅力的な投資成果が期待できるな」
という場合に限り、本契約へ進めるかを検討するとよいと思います。
投資案件をメールマガジンで無料購読。
下記よりメールアドレスをご登録ください。